14 / 49
第13話 ふたりきり
しおりを挟む
ドライヤーが欲しい。タニアとイーシャに客室へと案内されている間、リアナはずっとそう思っていた。長い髪が濡れて重い。この世界では自然乾燥が当たり前なのだろう。とにかく濡れた髪が重い。
電気がないのにドライヤーがあるわけもなく、リアナは乾くまで耐えるしかなかった。
下着をはいていないのも落ち着かない。不便なことだらけだ。
時計もないので今の時刻がわからない。確か到着した時は日が暮れる寸前だった。風呂に入ったのはその後なので、まだ寝るような時間ではないはずだ。
それとも電気のない世界では、早い時間にはもう寝てしまうのだろうか。
長い廊下をさんざん歩き、タニアが客室の扉を開けると、中でデュレンが待っていた。
部屋の中央にテーブルがあり、椅子のひとつにデュレンが待ちくたびれた顔で腰掛けている。
「遅い」
明らかに機嫌が悪かった。
「えっ? 待っ? 待ってたんですか、ずっと?」
リアナは慌てた。まさかデュレンが待っているとは思いもしなかったのだ。
「風呂に入るのにどれだけ時間がかかるんだ。さっと洗ってさっと出ればすぐに戻ってこれるだろう」
「ゆっくり入っていたんです」
「まあいい、もうとっくに冷めてしまったが、とりあえず食え。おまえのためにわざわざ用意させたんだから」
テーブルの上を見ると、そこには豪華な料理が並んでいた。
デュレンの向かい側に空いている椅子がひとつ。どうやらここに座るしかないようだ。
リアナが部屋に入ると、タニアとイーシャが外から扉を閉めた。しんと静まり返る室内。デュレンと二人きりになってしまった。
「早く座れ」
「は、はいっ」
リアナは慌てて椅子に腰掛けた。美味そうな匂いが鼻を刺激する。急に空腹であることを思い出した。
目の前にあるのは何かの肉を使ったステーキのようなものと、皿に乗ったパンがふたつと、白いスープだった。野菜が足りない。
文句を言える立場ではないので、リアナは素直に食べ始めた。が、向かい側に座っているデュレンのことがとても気になる。彼は頬杖をついて、無言でリアナを眺めていた。
「あ、あの、とても食べづらいです」
「どうして?」
「いや、あの、じっと見られていると……」
「気にするな」
気になるから言っているのだ。
電気がないのにドライヤーがあるわけもなく、リアナは乾くまで耐えるしかなかった。
下着をはいていないのも落ち着かない。不便なことだらけだ。
時計もないので今の時刻がわからない。確か到着した時は日が暮れる寸前だった。風呂に入ったのはその後なので、まだ寝るような時間ではないはずだ。
それとも電気のない世界では、早い時間にはもう寝てしまうのだろうか。
長い廊下をさんざん歩き、タニアが客室の扉を開けると、中でデュレンが待っていた。
部屋の中央にテーブルがあり、椅子のひとつにデュレンが待ちくたびれた顔で腰掛けている。
「遅い」
明らかに機嫌が悪かった。
「えっ? 待っ? 待ってたんですか、ずっと?」
リアナは慌てた。まさかデュレンが待っているとは思いもしなかったのだ。
「風呂に入るのにどれだけ時間がかかるんだ。さっと洗ってさっと出ればすぐに戻ってこれるだろう」
「ゆっくり入っていたんです」
「まあいい、もうとっくに冷めてしまったが、とりあえず食え。おまえのためにわざわざ用意させたんだから」
テーブルの上を見ると、そこには豪華な料理が並んでいた。
デュレンの向かい側に空いている椅子がひとつ。どうやらここに座るしかないようだ。
リアナが部屋に入ると、タニアとイーシャが外から扉を閉めた。しんと静まり返る室内。デュレンと二人きりになってしまった。
「早く座れ」
「は、はいっ」
リアナは慌てて椅子に腰掛けた。美味そうな匂いが鼻を刺激する。急に空腹であることを思い出した。
目の前にあるのは何かの肉を使ったステーキのようなものと、皿に乗ったパンがふたつと、白いスープだった。野菜が足りない。
文句を言える立場ではないので、リアナは素直に食べ始めた。が、向かい側に座っているデュレンのことがとても気になる。彼は頬杖をついて、無言でリアナを眺めていた。
「あ、あの、とても食べづらいです」
「どうして?」
「いや、あの、じっと見られていると……」
「気にするな」
気になるから言っているのだ。
0
お気に入りに追加
1,554
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる