8 / 49
第7話 狩り人
しおりを挟む
木に繋がれ待機している馬が一頭いた。
茶色の毛並みですらりと引き締まっている。主にとても似ていた。
デュレンはリアナを馬の近くまで運ぶと、そのまま背に乗せた。当たり前のように行動され、リアナが慌てる。
「あのっ、私をどこに連れて行く気……」
「うちの屋敷に決まっている。一人でこんなところにいたら、そのうち死ぬぞ」
死ぬぞと言われて、リアナはサーッと青ざめた。
おとなしくなったリアナの後ろに、デュレンも慣れた様子でサッと乗る。腕の間にリアナを挟んで手綱を握り、ゆっくりと歩き出した。
急にいろいろあって軽いパニックに陥っていたリアナが、ふと疑問を口にする。
「あの、あなたはどうしてこんな場所にいたんですか?」
「狩り人だからだ」
「……狩り人……?」
首をかしげるリアナに、デュレンはそれ以上説明をしなかった。
馬の歩に揺られながら、リアナは遠くの地平線を見つめる。
「狩り人ってなんですか?」
「そんなことも知らないのか」
呆れた口調で返された。リアナはたちまち恥ずかしくなったが、知らないものはしょうがない。
「狩り人とは、その言葉の通り、狩る者のことだ。俺の場合は獣を狩る。狩り人の中には人間を狩る者もいる。人間を狩るのは違法だが、どこの世界にも金になるなら何でもやる奴はいる。通常は獣を狩り、その数の報酬を得る。例えばさっきの狼なら、五頭分の尻尾を証拠として持って行けば、金貨や銀貨と引き換えられる。ただし、依頼がなければ狩ったところで報酬にはならない。あくまでも依頼ありきなんだ。俺が狩るはずだった青狼はもっと森の奥にいたはずで、おまえと出会ってしまったから狩り損ねた。また後日行き直さなきゃならない」
「……ごめんなさい」
つい反射的に謝ってしまった。
「青狼って、さっきの狼とは違うんですか?」
「毛色が青みがかっていて、もっと獰猛だ。狩り人が狩る獣は普通の動物ではない。何かの力で獰猛に変異してしまった動物のみだ。人々の生活が脅かされるから狩るしかない」
言われてみれば先ほどの狼も、普通の狼とはどこか違って見えた。野生の狼でもあれほど獰猛ではないだろう。違和感の正体はそれだったのだ。
例えるなら、テレビゲームに出てくるモンスターだ。ロールプレイングゲームの城や町の周辺で、牙をむいてくるモンスター。プレイヤーは主人公の勇者をコントローラーで操り、向かってくるモンスターたちと次々戦う。
デュレンの言う狩り人とは、きっとそういうものなのだ。
リアナは心の中で納得し、同時にぞわりと怖くなった。ついさっきまで、そんなものがいる森でうろうろしていたのかと思うと、恐ろしさしかなかった。
デュレンと出会わなかったらどうなってしまっていたのか。考えると震えが止まらなくなった。
茶色の毛並みですらりと引き締まっている。主にとても似ていた。
デュレンはリアナを馬の近くまで運ぶと、そのまま背に乗せた。当たり前のように行動され、リアナが慌てる。
「あのっ、私をどこに連れて行く気……」
「うちの屋敷に決まっている。一人でこんなところにいたら、そのうち死ぬぞ」
死ぬぞと言われて、リアナはサーッと青ざめた。
おとなしくなったリアナの後ろに、デュレンも慣れた様子でサッと乗る。腕の間にリアナを挟んで手綱を握り、ゆっくりと歩き出した。
急にいろいろあって軽いパニックに陥っていたリアナが、ふと疑問を口にする。
「あの、あなたはどうしてこんな場所にいたんですか?」
「狩り人だからだ」
「……狩り人……?」
首をかしげるリアナに、デュレンはそれ以上説明をしなかった。
馬の歩に揺られながら、リアナは遠くの地平線を見つめる。
「狩り人ってなんですか?」
「そんなことも知らないのか」
呆れた口調で返された。リアナはたちまち恥ずかしくなったが、知らないものはしょうがない。
「狩り人とは、その言葉の通り、狩る者のことだ。俺の場合は獣を狩る。狩り人の中には人間を狩る者もいる。人間を狩るのは違法だが、どこの世界にも金になるなら何でもやる奴はいる。通常は獣を狩り、その数の報酬を得る。例えばさっきの狼なら、五頭分の尻尾を証拠として持って行けば、金貨や銀貨と引き換えられる。ただし、依頼がなければ狩ったところで報酬にはならない。あくまでも依頼ありきなんだ。俺が狩るはずだった青狼はもっと森の奥にいたはずで、おまえと出会ってしまったから狩り損ねた。また後日行き直さなきゃならない」
「……ごめんなさい」
つい反射的に謝ってしまった。
「青狼って、さっきの狼とは違うんですか?」
「毛色が青みがかっていて、もっと獰猛だ。狩り人が狩る獣は普通の動物ではない。何かの力で獰猛に変異してしまった動物のみだ。人々の生活が脅かされるから狩るしかない」
言われてみれば先ほどの狼も、普通の狼とはどこか違って見えた。野生の狼でもあれほど獰猛ではないだろう。違和感の正体はそれだったのだ。
例えるなら、テレビゲームに出てくるモンスターだ。ロールプレイングゲームの城や町の周辺で、牙をむいてくるモンスター。プレイヤーは主人公の勇者をコントローラーで操り、向かってくるモンスターたちと次々戦う。
デュレンの言う狩り人とは、きっとそういうものなのだ。
リアナは心の中で納得し、同時にぞわりと怖くなった。ついさっきまで、そんなものがいる森でうろうろしていたのかと思うと、恐ろしさしかなかった。
デュレンと出会わなかったらどうなってしまっていたのか。考えると震えが止まらなくなった。
0
お気に入りに追加
1,554
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる