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第5話 出会い
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逃げるのは到底不可能だと思われた。生まれ変わったばかりでもう死んでしまうのか。リアナは絶望的な気分で狼たちを見つめる。まるで、リアルなファンタジー系RPGに出てくるモンスターのようだ。
このまま喰われてしまうのか。牙や爪でズタズタにされ、内臓を引きずり出されてしまうのか。悪い考えばかりがリアナの脳裏を占める。
寿命が尽きていないはずなので、また新しい命に生まれ変わるのかもしれない。いや、どうだろう。すでにリアナは十八年生きているのだ。もしかしたら寿命はここで終わりなのかもしれない。
今できるのは、神に祈ることだけだろうか。
リアナの両親のことも思い出せないまま、こんな場所で終わってしまうのか。どうしてこんな森の中にいるのか判明しないまま、力尽きてしまうのか。
グルルルと唸りながら狼が近づいてくる。
その時だった。
「おい」
背後から声をかけられた。大人の男の声だ。ビクッと全身で跳ねたリアナだったが、狼から視線をはずすのが怖くて振り向けない。はずした途端、襲いかかってきそうな気がしたのだ。
「……はいっ」
返事をするだけで精一杯だった。
「こんなところで何をしているんだ」
「み、見てわかりませんか。狼と向かい合ってるんです」
「どうして」
「どうしてと言われても、こっちが聞きたいぐらいです」
「そういう趣味があるのか」
男は決してふざけているわけではなく、真面目な口調で言っている。リアナは話の進まなさをもどかしく思い始めたが、根気よく続けた。
「気づいたらこの森にいて、気づいたら狼に狙われてたんです」
「ずいぶん間抜けだな」
なんだこの男は。口が悪いのか。性格が悪いのか。呑気に話していないで助けてくれようとは思わないのか。
顔を見たいが、狼から視線をはずすことができない。じりじりと後ずさっていると、ドンとぶつかった。思っていた以上に男との距離は近かったらしい。
スッと前後が入れ替わった。背後にいたはずの男がリアナの前に出てきたのだ。
その後が早かった。
男はふわりと跳躍すると、狼たちのほうめがけて何かを振り下ろした。よく見ると剣だった。狼の断末魔が聞こえる。リアナは思わず手で両耳を塞いで、目を強くつむった。その場にしゃがみ込む。現実とは思えない出来事が起こっている。恐怖で身動きができない。
肉を斬る音と狼の悲鳴がしばらく続いた。
やがて音がやむ。ガタガタと震えているリアナの元に、男の足が近づいた。
「終わったぞ」
その声につられるように、リアナは顔をあげた。
このまま喰われてしまうのか。牙や爪でズタズタにされ、内臓を引きずり出されてしまうのか。悪い考えばかりがリアナの脳裏を占める。
寿命が尽きていないはずなので、また新しい命に生まれ変わるのかもしれない。いや、どうだろう。すでにリアナは十八年生きているのだ。もしかしたら寿命はここで終わりなのかもしれない。
今できるのは、神に祈ることだけだろうか。
リアナの両親のことも思い出せないまま、こんな場所で終わってしまうのか。どうしてこんな森の中にいるのか判明しないまま、力尽きてしまうのか。
グルルルと唸りながら狼が近づいてくる。
その時だった。
「おい」
背後から声をかけられた。大人の男の声だ。ビクッと全身で跳ねたリアナだったが、狼から視線をはずすのが怖くて振り向けない。はずした途端、襲いかかってきそうな気がしたのだ。
「……はいっ」
返事をするだけで精一杯だった。
「こんなところで何をしているんだ」
「み、見てわかりませんか。狼と向かい合ってるんです」
「どうして」
「どうしてと言われても、こっちが聞きたいぐらいです」
「そういう趣味があるのか」
男は決してふざけているわけではなく、真面目な口調で言っている。リアナは話の進まなさをもどかしく思い始めたが、根気よく続けた。
「気づいたらこの森にいて、気づいたら狼に狙われてたんです」
「ずいぶん間抜けだな」
なんだこの男は。口が悪いのか。性格が悪いのか。呑気に話していないで助けてくれようとは思わないのか。
顔を見たいが、狼から視線をはずすことができない。じりじりと後ずさっていると、ドンとぶつかった。思っていた以上に男との距離は近かったらしい。
スッと前後が入れ替わった。背後にいたはずの男がリアナの前に出てきたのだ。
その後が早かった。
男はふわりと跳躍すると、狼たちのほうめがけて何かを振り下ろした。よく見ると剣だった。狼の断末魔が聞こえる。リアナは思わず手で両耳を塞いで、目を強くつむった。その場にしゃがみ込む。現実とは思えない出来事が起こっている。恐怖で身動きができない。
肉を斬る音と狼の悲鳴がしばらく続いた。
やがて音がやむ。ガタガタと震えているリアナの元に、男の足が近づいた。
「終わったぞ」
その声につられるように、リアナは顔をあげた。
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