悠久の大陸

彩森ゆいか

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第69話 新しいおもちゃ

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 宿屋の二階の一番奥の部屋。
 いきなりベッドインではなく、ひとまずお茶を飲んだ。
「なるほど」
 スオウが深くうなずいた。近々新しく搭載される、家を持てるシステムの話をリュウトから聞いたのだ。
「まだ公式発表されてない情報を、なんでおまえは知ってるんだ?」
 スオウが核心を突く。リュウトはへらっと笑った。
「こういう情報は漏れるもんなんだ。俺は見ての通り、ゲームやり込み度マックスな男だしな」
「ほう?」
 懐疑的な眼差しをスオウが送る。
「実は関係者なんじゃねぇだろうな?」
「ははは、どうなんだろうね」
 リュウトは適当に受け流してしまう。スオウとナツキは互いの正体を知っているが、リュウトの正体は誰も知らない。オンラインゲームとしてはそれで正しいのだが、いったい何者なのだろう。
 ナツキはベッドに腰掛けてマグカップでお茶を飲んでいた。温かくて美味くて癒される。戦いやセックスの疲れが押し寄せてきて、今にも眠りたくなってくる。
「そうそうナツキ、これは課金アイテムなんだけど、どれがいい?」
 ふいにリュウトが隣にやってきて、端末から浮き上がっている映像を見せてきた。アイテムリストだった。アダルトグッズだった。
「…………っ」
 瞬時にナツキの目が覚めた。
 リストに並んでいるのはディルドやアナルバイブやルーターやニップルクリップや貞操帯などだった。あやうくお茶を吹き出しそうになる。
「いゃっ、えっ、あっ」
 頬を赤く染めて焦るナツキを、リュウトが面白そうに眺めている。
「最近のは端末から遠隔操作もできるんだ。すごいだろ?」
「性感ステータスの高いナツキがそんなもん使ったら、おかしくなっちまうんじゃねぇの?」
 二人を眺めていたスオウが口を挟んできた。
 リュウトがニヤリとする。
「かもね」
(かもね、じゃねぇ……っ)
 ナツキは心底から焦った。
「お、俺はほんのり快感のほうが好きかな。あんまり快感がキツすぎると、つらいし苦しいから」
 リュウトに思いとどまってもらいたくて、そんな風に言ってみる。
 聞いているのかいないのか、リュウトはアイテムリストを触れない程度に指さした。
「これはちょっと無骨でかわいくないけど、こっちは小ぶりでかわいいだろ? 自動でピストンやスイングするタイプと、震えるだけのバイブタイプがあるんだけど、どっちが好き? ちなみにディルドは形だけで電動じゃないタイプ。俺が考えてるのは、ピストンするアナルバイブを挿れながら、ルーターで乳首とペニスを可愛がりたい。ニップルクリップもつけたいな。エッチな服もあるぞ。コスプレする?」
「いや、あの」
 聞いているだけでナツキはくらくらとしてきた。
「そういう道具よりも、俺は生のほうがいいな……」
 しまった。変なことを言ってしまった。ナツキがふたりを見ると、彼らは目を輝かせている。どうやら、ときめかせてしまったらしい。
「ホントにかわいいな、おまえ」
 リュウトにあごをつかまれる。唇を寄せてきた。
「……んっ……ん」
 濃厚な口づけ。弾力のある舌が、ナツキの舌をさらっていく。
「でも、俺はこれが欲しいから買うね」
 リュウトがリストの商品をポチッと押した。ナツキの目に入ったそのアイテムは、ランダムにピストンもスイングもする無骨だが柔らかい素材のアナルバイブだった。しかも遠隔操作もできる。以前使われてしまった装着タイプとはまた違う。さらにリュウトは、ローターもニップルクリップも追加していく。さらに革製の手枷、局部と尻に穴のあいているボクサーパンツ。
 何をされるのか想像ついて、ナツキの息があがった。性感のステータスが高いせいで、すぐに変な気分になってしまう。
 アイテムは購入したら、一瞬で手元に届く。デジタルなゲーム内ならではだ。
「さ、ナツキ。服を脱いでこれを穿いて。自分で脱ぐのが嫌だったら、俺が脱がせてやるよ」
 リュウトが手にしているのは、局部と尻に穴のあいたボクサーパンツだ。とてつもなく恥ずかしい構造に、ナツキはいやいやと左右に首を振った。
「無理」
「無理じゃないよ。きっとすごくかわいいから」
「俺も手伝う」
 ずっと眺めていたスオウが、急に参戦してきた。
 勝手にナツキの足からズボンを引き抜いていく。素足がさらされた。次に下着が奪われていく。何も身につけていない下半身になった。
「やっ……」
 リュウトから受け取った穴のあいたパンツを、スオウが装着していく。股間の穴からまだ萎えているものが飛び出し、その恥ずかしさからナツキの思考が停止した。全裸よりも恥ずかしい。
「上も脱ごうね」
 スオウが勝手にナツキの服に手をかけ、脱がしていく。あれよあれよという間に、ナツキは穴のあいたパンツのみの姿になった。
「え、なんか、やだ」
 ナツキは頬を染めてうなだれる。
 リュウトとスオウは嬉しそうだ。
「俺たちの目の保養にはなってるぞ」
「こんなんが?」
 ただただ恥ずかしいだけだった。
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