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第60話 貪欲なカラダ
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マンションを後にし、電車に乗る。その間、那月はずっとぼんやりとしていた。
現実なのに非現実の中にいるような浮遊感。ゲームの世界に長く滞在しすぎていたのだろうか。リアルとヴァーチャルの境目が曖昧になっているような気がする。
なんとか自分の家に着いた。ベッドの中に倒れ込み、そのまま貪るように眠ってしまう。とにかく疲労が強かった。
起きた時は翌朝で、那月はのろのろと起き上がり、大学に行く支度を始めた。
ゲームにはしばらくアクセスをしなかった。平日はやめておこう、金土日だけにしよう。そう心に決めて、大学の講義を受けた。リアルに対応しているうちに、だんだん頭がクリアになってくる。ゲームの世界が遠いもののように感じられるようになり、あのセックスざんまいの日々も夢の中の出来事のように思えてきた。
ただ、キャンパスで辰泰と出会うとそうはいかなくなる。当たり前のように人の来ないトイレへと連れ込まれ、当たり前のようにセックスをした。
脳内だけのセックスしか知らなかった那月に、辰泰は肉欲のセックスを植えつけてくる。否応なく覚えさせられた身体は、ますます貪欲になり、快楽なしでは過ごせなくなりそうだった。
「那月、しばらくログインしてないだろ」
身体の奥を穿ちながら、急に辰泰が問いかけてきた。トイレの壁に両手を着いていた那月は、ドキリとして振り向く。
「……え」
「今週ずっと、ナツキに会えてないからさ。リュウトには会ったよ。不満そうにぼやいてた。しばらくナツキと会えてないって」
「……ああ、うん……金土日だけに、しようと、思って……平日もやると、勉強に支障が出ると思って……」
「まあ俺は、こうして那月と会えてるからいいんだけど」
そう言いながら辰泰は腰を打ちつけてきた。
「あぁっ……」
「ゲームから離れてた那月に、伝えたいことがあって。那月、原作ファンだったよな。今週末、雪平海咲のトークイベントがあるんだって。年齢も性別も明かされてない原作者のイベントだから、激戦なんだけど、リュウトにコネがあって、行きたかったら連れてってやるって言われて」
「えっ……」
那月が振り向いた瞬間、下から強く突き上げられた。
「んぁっ」
「どうする? 行く」
「……行きたい……」
「イキたいの? 行きたいの?」
「……どっち、も……っ」
熱っぽい眼差しで、那月は辰泰を見つめた。辰泰は荒い息を吐きながら、緩やかに那月の腰を揺する。腰をグラインドさせ、那月の尻の中をこねる。
「んぁ、んっ、ぁん……っ」
「じゃあ、リュウトに伝えとく。ナツキにはゲーム内で会えたことにするから。いい?」
「……んっ、ぅん……ぅん」
那月は壊れた人形のように何度もうなずいた。
トークイベントの場所はどこなのかとか、どうしてリュウトにそんなコネがあるのかとか、気になることはまだまだあったが、那月はたちまち考えられなくなった。リズミカルに腰を叩きつけられ、あまりの気持ちよさに脳が溶けそうになる。
どこをどうすればより感じるのか、辰泰にはすべて把握されてしまっていた。那月の前立腺はもはや自分のものではなく、辰泰のものだった。ガツガツと突き上げられ、気が遠くなってくる。
「うっ……ふぁっ、あぁっ……あっ」
「まだイッちゃダメだよ、那月」
辰泰はそう言って、焦らすように動きを緩やかにした。最も感じる場所を避けて、違う場所を突き始める。
「や、だぁ……っ、焦らさ、ないで……」
「いい場所突いてほしいの? 那月のカラダはエッチだなあ」
辰泰は嬉しそうにそう言うと、ますます焦らしてきた。我慢できなくなった那月は、自分から腰を動かし、辰泰の股間に尻を押しつける。軟体動物のように揺れる那月を、辰泰は満足そうに眺めた。
パチュパチュと音を立てながら、那月は自分の欲望を追いかける。わざと動かなくなった辰泰の肉茎を、自分で抜き差しする。いいところに当たった瞬間、びりびりと電流に飲まれたようになり、しばし動けなくなった。すると、辰泰が那月の腰をつかんで、追い打ちをかけるように突き上げてくる。那月はびくびくと全身を震わせた。
「うあぁああぁ……っ」
絶頂と同時に下腹部が弾けた。飛び散った白濁でトイレの壁を汚してしまう。それでも容赦なく辰泰は背後から貫いてきて、前立腺を突かれるたびに、まだ残っていた白濁が先端から飛び散った。
「リュウトからイベントの詳細を聞いたら、那月のスマホにメッセージ送るから」
「……はぁっ、はっ……はぁっ、ぅん、わか……った」
もう何の話だったのかもよくわからなくなっていたが、那月は素直にうなずいた。
辰泰はずるりと那月の中から抜くと、まだ達していない怒張にトイレットペーパーをかぶせて握った。
「……中に、出さないの……?」
怪訝に思った那月が問いかけると、辰泰が笑った。
「ここで中に出すと後が大変だからさ。今度、俺の家でする時にたっぷり中に出してやるよ」
聞いた瞬間、那月は頬を赤らめた。中に出される快感を思い出してしまい、体内が疼く。今したばかりだと言うのに、なんてあさましい身体なのか。自己嫌悪に陥りつつも、同時に甘美な感覚が蘇り、那月は思わず下腹を手のひらで押さえた。
もはや快楽から逃れられない身体になってしまった那月は、むしろ辰泰を待ちわびるようになっていた。自慰などでは届かないすさまじい悦楽を、彼は容赦なく与えてくれる。
後始末をし、個室から出た。手洗い場で手を洗い、身なりを整える。
鏡に映る自分を眺め、那月は不思議な気持ちになった。こんな顔だったろうか。目元にも口元にも妙に色香が漂い、まるで娼婦のような顔だと思った。セックスの直後だから、こんな風になっているのだろうか。
「那月」
トイレから出ようとしている辰泰から呼ばれ、那月はハッとした。
キュッと唇を引き結び、気持ちを切り替える。卑猥な顔で講義を受けるわけにはいかなかった。
現実なのに非現実の中にいるような浮遊感。ゲームの世界に長く滞在しすぎていたのだろうか。リアルとヴァーチャルの境目が曖昧になっているような気がする。
なんとか自分の家に着いた。ベッドの中に倒れ込み、そのまま貪るように眠ってしまう。とにかく疲労が強かった。
起きた時は翌朝で、那月はのろのろと起き上がり、大学に行く支度を始めた。
ゲームにはしばらくアクセスをしなかった。平日はやめておこう、金土日だけにしよう。そう心に決めて、大学の講義を受けた。リアルに対応しているうちに、だんだん頭がクリアになってくる。ゲームの世界が遠いもののように感じられるようになり、あのセックスざんまいの日々も夢の中の出来事のように思えてきた。
ただ、キャンパスで辰泰と出会うとそうはいかなくなる。当たり前のように人の来ないトイレへと連れ込まれ、当たり前のようにセックスをした。
脳内だけのセックスしか知らなかった那月に、辰泰は肉欲のセックスを植えつけてくる。否応なく覚えさせられた身体は、ますます貪欲になり、快楽なしでは過ごせなくなりそうだった。
「那月、しばらくログインしてないだろ」
身体の奥を穿ちながら、急に辰泰が問いかけてきた。トイレの壁に両手を着いていた那月は、ドキリとして振り向く。
「……え」
「今週ずっと、ナツキに会えてないからさ。リュウトには会ったよ。不満そうにぼやいてた。しばらくナツキと会えてないって」
「……ああ、うん……金土日だけに、しようと、思って……平日もやると、勉強に支障が出ると思って……」
「まあ俺は、こうして那月と会えてるからいいんだけど」
そう言いながら辰泰は腰を打ちつけてきた。
「あぁっ……」
「ゲームから離れてた那月に、伝えたいことがあって。那月、原作ファンだったよな。今週末、雪平海咲のトークイベントがあるんだって。年齢も性別も明かされてない原作者のイベントだから、激戦なんだけど、リュウトにコネがあって、行きたかったら連れてってやるって言われて」
「えっ……」
那月が振り向いた瞬間、下から強く突き上げられた。
「んぁっ」
「どうする? 行く」
「……行きたい……」
「イキたいの? 行きたいの?」
「……どっち、も……っ」
熱っぽい眼差しで、那月は辰泰を見つめた。辰泰は荒い息を吐きながら、緩やかに那月の腰を揺する。腰をグラインドさせ、那月の尻の中をこねる。
「んぁ、んっ、ぁん……っ」
「じゃあ、リュウトに伝えとく。ナツキにはゲーム内で会えたことにするから。いい?」
「……んっ、ぅん……ぅん」
那月は壊れた人形のように何度もうなずいた。
トークイベントの場所はどこなのかとか、どうしてリュウトにそんなコネがあるのかとか、気になることはまだまだあったが、那月はたちまち考えられなくなった。リズミカルに腰を叩きつけられ、あまりの気持ちよさに脳が溶けそうになる。
どこをどうすればより感じるのか、辰泰にはすべて把握されてしまっていた。那月の前立腺はもはや自分のものではなく、辰泰のものだった。ガツガツと突き上げられ、気が遠くなってくる。
「うっ……ふぁっ、あぁっ……あっ」
「まだイッちゃダメだよ、那月」
辰泰はそう言って、焦らすように動きを緩やかにした。最も感じる場所を避けて、違う場所を突き始める。
「や、だぁ……っ、焦らさ、ないで……」
「いい場所突いてほしいの? 那月のカラダはエッチだなあ」
辰泰は嬉しそうにそう言うと、ますます焦らしてきた。我慢できなくなった那月は、自分から腰を動かし、辰泰の股間に尻を押しつける。軟体動物のように揺れる那月を、辰泰は満足そうに眺めた。
パチュパチュと音を立てながら、那月は自分の欲望を追いかける。わざと動かなくなった辰泰の肉茎を、自分で抜き差しする。いいところに当たった瞬間、びりびりと電流に飲まれたようになり、しばし動けなくなった。すると、辰泰が那月の腰をつかんで、追い打ちをかけるように突き上げてくる。那月はびくびくと全身を震わせた。
「うあぁああぁ……っ」
絶頂と同時に下腹部が弾けた。飛び散った白濁でトイレの壁を汚してしまう。それでも容赦なく辰泰は背後から貫いてきて、前立腺を突かれるたびに、まだ残っていた白濁が先端から飛び散った。
「リュウトからイベントの詳細を聞いたら、那月のスマホにメッセージ送るから」
「……はぁっ、はっ……はぁっ、ぅん、わか……った」
もう何の話だったのかもよくわからなくなっていたが、那月は素直にうなずいた。
辰泰はずるりと那月の中から抜くと、まだ達していない怒張にトイレットペーパーをかぶせて握った。
「……中に、出さないの……?」
怪訝に思った那月が問いかけると、辰泰が笑った。
「ここで中に出すと後が大変だからさ。今度、俺の家でする時にたっぷり中に出してやるよ」
聞いた瞬間、那月は頬を赤らめた。中に出される快感を思い出してしまい、体内が疼く。今したばかりだと言うのに、なんてあさましい身体なのか。自己嫌悪に陥りつつも、同時に甘美な感覚が蘇り、那月は思わず下腹を手のひらで押さえた。
もはや快楽から逃れられない身体になってしまった那月は、むしろ辰泰を待ちわびるようになっていた。自慰などでは届かないすさまじい悦楽を、彼は容赦なく与えてくれる。
後始末をし、個室から出た。手洗い場で手を洗い、身なりを整える。
鏡に映る自分を眺め、那月は不思議な気持ちになった。こんな顔だったろうか。目元にも口元にも妙に色香が漂い、まるで娼婦のような顔だと思った。セックスの直後だから、こんな風になっているのだろうか。
「那月」
トイレから出ようとしている辰泰から呼ばれ、那月はハッとした。
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