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第26話 クエストをやろう
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クエストを受けるために役場の建物に向かった。窓口にはNPCのお姉さんが座っている。やけにきわどい、襟ぐりの大きく開いた谷間丸見えの服を着ていた。
「全年齢のほうだと、このお姉さんもこんな衣装じゃないんですよね。全体的にいろいろ刺激が強い仕様になってるんです」
スオウが説明してくれた。リュウトの話と若干違う。
「俺が聞いた話だと、アダルト空間も全年齢も見た目がほぼ同じって言われたんだけど」
「まあ、同じと言えば同じでしょうね。衣装が違うぐらいだし」
微妙な差異は省いて話をしただけだったのだろうか。リュウトの話はどこまで信じていいのか、だんだんわからなくなってくる。信頼してついて行ったのに、あんなことになってしまったし。
「現在ナツキさんが受けられるクエストはこのようになっております」
プログラムで組まれた通りのことしか話せないNPCの女性が、一覧を表示した。普通のクエストの中に、妙なクエストが混ざっている。
『触手の森の蔓から粘液を採取する』
ナツキは思わず唸った。
「……なんて命がけな……」
スオウが不思議そうに顔を覗き込んできた。
「あれ? 知ってるんですか、触手の森の蔓」
「殺されそうになった」
「えっ? てことは行ったんですね? 遭遇してるんですね?」
「あ? ああ……」
スオウを見ると、彼はどこか興奮したような顔でナツキを見ていた。
「じゃあ、蔓からあんなことやこんなことを」
「されてるよ。だったらどうなんだよ」
「うああ、想像すると鼻血が出そうです」
スオウが錯乱した様子で頭を抱えた。
「想像するなよ」
ナツキは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「それからどうなったんですか?」
スオウに問いかけられ、ナツキはぎくりとした。
リュウトの話はしたくない。
「どうって……べつに、どうでもいいだろ」
「よくないですよ。気になるじゃないですか」
「いいからもう忘れろ」
蔓にさんざんいいようにされた後、リュウトに長い時間犯されていた。思い出すと顔が赤くなる。粘液のせいとはいえ、頭のおかしい行為だった。ナツキは忘れるために軽く頭を振った。
「じゃあ、もうヴァージンじゃないんですね、残念だなあ」
スオウが妙なことを言う。ナツキは顔をしかめた。
「男なんだから、ヴァージンとかそういうの、どうでもいいし」
「じゃあ、蔓の粘液、採取しに行きます?」
「やだよ」
「体験したなら知ってますよね。蔓の粘液には媚薬のような催淫効果があって、全身が性感帯のようになってしまうんです。もしそんなナツキを目の前に差し出されたら、俺」
「変なこと言ってると、パーティ解除するぞ」
「ええっ、そんなあっ。もう言いません。ごめんなさい」
スオウが慌てて謝ってくる。
そんな彼を尻目に、ナツキはクエスト一覧を眺めた。
『灰色狼の檻で一夜を過ごす』
「なんだこれ」
「それはですね、言葉の通り、灰色狼と一晩過ごすんです」
「食われそうだな」
「食われますよ」
「えっ?」
「アダルト空間ですからね」
「……あ、そっちの意味……」
ナツキは頬を赤らめた。スオウがさらに説明する。
「いわゆる獣姦です。挿れるか挿れられるかについては、もうバトルですよね。まあ、そういう趣味の人しかクリアしてないと思うけど」
「スオウはやったの?」
「俺は断念しました。クエスト受ける前はよくわかってなかったんです。慌ててクエストのキャンセルしましたね」
「あ、キャンセルできるんだ」
「無理なものは無理ですからね」
他にも妙なクエストはある。
『三十匹のスライムに身体の上を這われる』
『傀儡の洞窟でラスボスの言いなりになる』
『エルフの少女と一夜を過ごす』
無茶苦茶な内容のものほど、得られる経験値が高い。
傀儡の洞窟でラスボスの言いなりになるとは、いったい何をされるのやら。
『幻惑の森でレンザニアを採取する』
「これはできそうかな」
ナツキがそう言うと、スオウが複雑そうな顔をした。
「え? 違う?」
「……いや」
「なんだよ。歯切れ悪いな」
「レンザニアというのは植物で、紫色の花です。それを三十個採取するんですよね……」
「じゃあ、できそうじゃないか」
「……そう、ですね」
やはりスオウの歯切れが悪い。いったい何を隠しているのだろう。
よくわからないが、引き止められるわけでもないので、ナツキはこれをやることにした。経験値や報酬の内容がとてもよかったのだ。
「全年齢のほうだと、このお姉さんもこんな衣装じゃないんですよね。全体的にいろいろ刺激が強い仕様になってるんです」
スオウが説明してくれた。リュウトの話と若干違う。
「俺が聞いた話だと、アダルト空間も全年齢も見た目がほぼ同じって言われたんだけど」
「まあ、同じと言えば同じでしょうね。衣装が違うぐらいだし」
微妙な差異は省いて話をしただけだったのだろうか。リュウトの話はどこまで信じていいのか、だんだんわからなくなってくる。信頼してついて行ったのに、あんなことになってしまったし。
「現在ナツキさんが受けられるクエストはこのようになっております」
プログラムで組まれた通りのことしか話せないNPCの女性が、一覧を表示した。普通のクエストの中に、妙なクエストが混ざっている。
『触手の森の蔓から粘液を採取する』
ナツキは思わず唸った。
「……なんて命がけな……」
スオウが不思議そうに顔を覗き込んできた。
「あれ? 知ってるんですか、触手の森の蔓」
「殺されそうになった」
「えっ? てことは行ったんですね? 遭遇してるんですね?」
「あ? ああ……」
スオウを見ると、彼はどこか興奮したような顔でナツキを見ていた。
「じゃあ、蔓からあんなことやこんなことを」
「されてるよ。だったらどうなんだよ」
「うああ、想像すると鼻血が出そうです」
スオウが錯乱した様子で頭を抱えた。
「想像するなよ」
ナツキは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「それからどうなったんですか?」
スオウに問いかけられ、ナツキはぎくりとした。
リュウトの話はしたくない。
「どうって……べつに、どうでもいいだろ」
「よくないですよ。気になるじゃないですか」
「いいからもう忘れろ」
蔓にさんざんいいようにされた後、リュウトに長い時間犯されていた。思い出すと顔が赤くなる。粘液のせいとはいえ、頭のおかしい行為だった。ナツキは忘れるために軽く頭を振った。
「じゃあ、もうヴァージンじゃないんですね、残念だなあ」
スオウが妙なことを言う。ナツキは顔をしかめた。
「男なんだから、ヴァージンとかそういうの、どうでもいいし」
「じゃあ、蔓の粘液、採取しに行きます?」
「やだよ」
「体験したなら知ってますよね。蔓の粘液には媚薬のような催淫効果があって、全身が性感帯のようになってしまうんです。もしそんなナツキを目の前に差し出されたら、俺」
「変なこと言ってると、パーティ解除するぞ」
「ええっ、そんなあっ。もう言いません。ごめんなさい」
スオウが慌てて謝ってくる。
そんな彼を尻目に、ナツキはクエスト一覧を眺めた。
『灰色狼の檻で一夜を過ごす』
「なんだこれ」
「それはですね、言葉の通り、灰色狼と一晩過ごすんです」
「食われそうだな」
「食われますよ」
「えっ?」
「アダルト空間ですからね」
「……あ、そっちの意味……」
ナツキは頬を赤らめた。スオウがさらに説明する。
「いわゆる獣姦です。挿れるか挿れられるかについては、もうバトルですよね。まあ、そういう趣味の人しかクリアしてないと思うけど」
「スオウはやったの?」
「俺は断念しました。クエスト受ける前はよくわかってなかったんです。慌ててクエストのキャンセルしましたね」
「あ、キャンセルできるんだ」
「無理なものは無理ですからね」
他にも妙なクエストはある。
『三十匹のスライムに身体の上を這われる』
『傀儡の洞窟でラスボスの言いなりになる』
『エルフの少女と一夜を過ごす』
無茶苦茶な内容のものほど、得られる経験値が高い。
傀儡の洞窟でラスボスの言いなりになるとは、いったい何をされるのやら。
『幻惑の森でレンザニアを採取する』
「これはできそうかな」
ナツキがそう言うと、スオウが複雑そうな顔をした。
「え? 違う?」
「……いや」
「なんだよ。歯切れ悪いな」
「レンザニアというのは植物で、紫色の花です。それを三十個採取するんですよね……」
「じゃあ、できそうじゃないか」
「……そう、ですね」
やはりスオウの歯切れが悪い。いったい何を隠しているのだろう。
よくわからないが、引き止められるわけでもないので、ナツキはこれをやることにした。経験値や報酬の内容がとてもよかったのだ。
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