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第24話 新しい出会い
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宿屋のベッドからのゲーム再開だった。リュウトの姿はない。
ログアウトするとその姿は消えてしまう。再ログインするまで見えなくなるのだ。逃げるなら今だった。
ナツキは左手首の端末を操作して、リュウトとのパーティを解除し、フレンド登録も解除した。ブロックするかしないか迷って、それはやめておく。
破れてしまった服は、壊れたアイテムになってしまうので、予備のものを身につけた。後でまた新しい装備を買い直そう。修理することもできるが、少々お高い。
「よし、普通にゲームやるか」
まずはこのアダルト空間からの脱出だ。自由に行き来できるらしいが、どうやって全年齢のほうへ戻るのだろう。戻り方がわからない。
催淫効果は完全に切れており、問題なく冷静に行動できそうだった。
宿屋から外に出るとこちらも朝だった。ゲームの時間とリアルの時間は進み方が違う。リアルで一日が過ぎる間に、ゲームでは何日も過ぎて行く。
なので、時間の感覚が少しおかしくなる。
アダルト空間とは言え、一応最初の村なので、出てくるモンスターの強さは全年齢のほうと変わらない。触手の森の蔓のようなモンスターは他にもいるのだろうか、と考えて、ナツキはぞっとした。アダルト空間は何が起こるかわからないので怖い。ウロウロすればするほど危険に遭遇しそうだ。
しかし全年齢空間へはどうすれば戻れるのか、さっぱりわからないままだ。リュウトに聞いておけばよかったと後悔する。
ナツキはまず、武器屋に行こうと足を踏み出した。
「あっ!」
いきなり大声をあげてこっちを見た男がいたので、ナツキは心底から驚いた。
その男はどこかで見たことがあるような気もするし、見たことがないような気もした。
若い青年だが、がっしりしていて、とても強そうだ。眉目秀麗で精悍な顔つきをしている。武器も防具もレベルが高そうだった。
なぜ強そうなのに、最初の村にいるのだろう。
「あのっ」
青年は迷わずナツキに寄ってきた。どぎまぎしている様子だ。
「お一人ですか?」
「……? 一人ですけど……」
「あの、俺とパーティ組みませんか。できればフレンド登録も」
「ええ?」
これから一人でゲームを楽しもうとしていたのに、また変なのが寄ってきた。
「一人は危ないですよ。ここはアダルト空間ですから」
「君といたほうが危なかったりしてね」
冗談のつもりで言ったのだが、青年はぎくりとした顔を見せた。リュウトに続き、また下心満載で寄って来た男なのか……。
うんざりしながらナツキは口を開いた。
「俺は一人で遊びたいの。純粋にゲームを楽しみたいの。男とセックスする趣味は持ち合わせてないの」
「俺の前に誰か寄って来たんですね?」
図星をつかれてナツキは思わず顔を赤らめた。逃げ出すように走り出す。青年が慌てた。
「あっ、待ってくださいっ。本当に一人は危ないんですってばっ」
腕をつかまれる。しぶしぶナツキは立ち止まった。
そうだ、と思いつく。全年齢空間への戻り方をこの男に聞けばいいのでは。
「聞きたいことあるんだけど、アダルト空間から全年齢空間に戻るにはどうしたらいいのか知ってます?」
「え? 戻れないですよ?」
「……え?」
ナツキはぽかんと青年を見つめた。彼はとても真面目な顔でナツキを見返していた。
「一度こっちに来たらある条件をクリアしない限り戻れないんです。自由に行き来できるのは、その条件を満たした人だけですよ。ちなみにレベル五十以上ないと無理です」
「……マジか」
やられた、と思った。リュウトは自由に行き来できる話しかしなかった。ナツキができないことは知っていたはずだ。それなのに言わなかったのか。
ログアウトするとその姿は消えてしまう。再ログインするまで見えなくなるのだ。逃げるなら今だった。
ナツキは左手首の端末を操作して、リュウトとのパーティを解除し、フレンド登録も解除した。ブロックするかしないか迷って、それはやめておく。
破れてしまった服は、壊れたアイテムになってしまうので、予備のものを身につけた。後でまた新しい装備を買い直そう。修理することもできるが、少々お高い。
「よし、普通にゲームやるか」
まずはこのアダルト空間からの脱出だ。自由に行き来できるらしいが、どうやって全年齢のほうへ戻るのだろう。戻り方がわからない。
催淫効果は完全に切れており、問題なく冷静に行動できそうだった。
宿屋から外に出るとこちらも朝だった。ゲームの時間とリアルの時間は進み方が違う。リアルで一日が過ぎる間に、ゲームでは何日も過ぎて行く。
なので、時間の感覚が少しおかしくなる。
アダルト空間とは言え、一応最初の村なので、出てくるモンスターの強さは全年齢のほうと変わらない。触手の森の蔓のようなモンスターは他にもいるのだろうか、と考えて、ナツキはぞっとした。アダルト空間は何が起こるかわからないので怖い。ウロウロすればするほど危険に遭遇しそうだ。
しかし全年齢空間へはどうすれば戻れるのか、さっぱりわからないままだ。リュウトに聞いておけばよかったと後悔する。
ナツキはまず、武器屋に行こうと足を踏み出した。
「あっ!」
いきなり大声をあげてこっちを見た男がいたので、ナツキは心底から驚いた。
その男はどこかで見たことがあるような気もするし、見たことがないような気もした。
若い青年だが、がっしりしていて、とても強そうだ。眉目秀麗で精悍な顔つきをしている。武器も防具もレベルが高そうだった。
なぜ強そうなのに、最初の村にいるのだろう。
「あのっ」
青年は迷わずナツキに寄ってきた。どぎまぎしている様子だ。
「お一人ですか?」
「……? 一人ですけど……」
「あの、俺とパーティ組みませんか。できればフレンド登録も」
「ええ?」
これから一人でゲームを楽しもうとしていたのに、また変なのが寄ってきた。
「一人は危ないですよ。ここはアダルト空間ですから」
「君といたほうが危なかったりしてね」
冗談のつもりで言ったのだが、青年はぎくりとした顔を見せた。リュウトに続き、また下心満載で寄って来た男なのか……。
うんざりしながらナツキは口を開いた。
「俺は一人で遊びたいの。純粋にゲームを楽しみたいの。男とセックスする趣味は持ち合わせてないの」
「俺の前に誰か寄って来たんですね?」
図星をつかれてナツキは思わず顔を赤らめた。逃げ出すように走り出す。青年が慌てた。
「あっ、待ってくださいっ。本当に一人は危ないんですってばっ」
腕をつかまれる。しぶしぶナツキは立ち止まった。
そうだ、と思いつく。全年齢空間への戻り方をこの男に聞けばいいのでは。
「聞きたいことあるんだけど、アダルト空間から全年齢空間に戻るにはどうしたらいいのか知ってます?」
「え? 戻れないですよ?」
「……え?」
ナツキはぽかんと青年を見つめた。彼はとても真面目な顔でナツキを見返していた。
「一度こっちに来たらある条件をクリアしない限り戻れないんです。自由に行き来できるのは、その条件を満たした人だけですよ。ちなみにレベル五十以上ないと無理です」
「……マジか」
やられた、と思った。リュウトは自由に行き来できる話しかしなかった。ナツキができないことは知っていたはずだ。それなのに言わなかったのか。
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