悠久の大陸

彩森ゆいか

文字の大きさ
上 下
19 / 80

第19話 救出

しおりを挟む
 とにかく助かったらしいことだけを把握し、ナツキはそのままぐったりとして、まぶたを閉じた。もう何も考えたくない。
 だが、近くに何かの気配を感じて、うっすらとまぶたを開けた。リュウトだった。顔を覗き込んでくる。
「大丈夫か?」
「……そう見える……?」
 皮肉混じりの声でナツキは返事をした。喘ぎすぎて喉が嗄れている。疲労困憊でもう何もしたくない。涙やよだれで顔もぐちゃぐちゃだ。尻は得体の知れない液体を放たれて、すっかりぐちょぐちょだ。
「……リュウト、これは、何?」
 透明なクッションをふにふにと揉みながらナツキが問いかけた。
 何も見えないが、確かにここにある。感触だけがある。
「俺の魔法。ゲームだから落ちても死なないけど、一応ね」
「……落ちても死なないのか……」
 ナツキは、ほぅ、と小さく息をついた。震える自分の手を見つめる。
「死ぬっていう恐怖は本物だったけどな……」
「それよりナツキ、その体勢はどうにかできないのか」
「へ?」
 指摘されて、初めてナツキは自分の状態を確認した。
 ズボンと下着を破られて、あられもない状態になっていた。そのままぐったりと、透明なクッションの上でしどけなく仰向けになっていた。
 下腹部もむき出しで、尻からは中に出された粘液が伝い落ちている。さんざんいいようにもてあそばれた孔は、なぜか物欲しそうにひくひくと収縮している。身体だってまだ熱い。
「そんなこと言われても、俺、卑猥な蔓にずっと犯されてたんだから……」
「知ってる。見てたから」
 はっきりと言われてしまうと急に恥ずかしくなってくる。ダメージは大きいが、死にたいと思うほどではなかった。不幸な事故に遭った、そう思うしかなかった。起きた出来事があまりにもひどすぎて、頭が追いついていないだけかもしれない。精神面も今のところはなんとか大丈夫そうだった。冷静でいられている。
 ナツキは透明なクッションの上でゆっくりと身を起こした。
 視線が気になり、顔をあげる。
「……リュウト?」
 彼のナツキを見る目が、何か変だ。そのことに気づいて思わず名前を呼んだ。リュウトがドキリとした顔をする。
「なに?」
「なんか……変な目で俺のこと見てる」
「まさか。気のせいだろ」
「いや、見てる」
 ナツキは、剥き出しになっていた股間を手で隠した。
「絶対変な目で見てる」
「わかったから、とりあえずそこから降りて。俺のローブ貸してやるから村の宿に行こう。そこで風呂をもらって、綺麗にしないと」
「……歩けない」
 ナツキの足腰はガクガクと震えて、すっかり力が入らなくなっていた。
「しょうがない、おぶってやるよ」
 間髪入れずにリュウトが言う。透明のクッションがスッと消えた。
「あっ」
 ナツキが地面に落下して、尻もちをついた。怪我はしていないが、地味に痛い。
 大きな茶色のローブが目の前に出てきて、ナツキを覆った。裾が足首まであるので、確かにこれなら隠せそうだ。
「ほら」
 リュウトがしゃがんで背中を見せた。ナツキは少し気恥ずかしかったが、意を決して全身を預けた。軽々とリュウトが立ち上がる。
「急ぐぞ。また襲われたらたまったもんじゃないからな」
「う、うん」
 リュウトは細身な青年だと思っていたが、こうして密着してみると頼もしかった。しなやかな筋肉で全身が覆われている。
 ナツキを背負っているのに速度が遅くなることもなく、むしろ小走りなのではないかと思えるような早さで森を突っ切って行った。
 やがてウラクの村に着いた。夜なので辺りは寝静まっている様子だった。
 リュウトは迷わず宿屋へ向かった。部屋はほとんど埋まっているが、一部屋だけ空いているということで、そこに案内された。部屋は狭いし、ベッドはひとつしかない。
「ナツキ、ローブを脱いで、こっちに来て」
 リュウトがベッドに腰掛けるなりそう言い出したので、ナツキは一瞬警戒した。
「……え、なんで」
 リュウトはなんでもないような顔で急かしてくる。
「いいから早く。あいつらにいろいろされた身体の様子を確かめるから」
 ナツキは頬を少し赤く染めながら、しぶしぶローブを脱いだ。ひどい有様だった。
 布が破れて剥き出しになった股間が恥ずかしくて、つい両手で隠す。
 そのままベッドに座るリュウトの前に立つと、いきなり腰に手をかけられ、ズボンを脱がされそうになった。ナツキは慌てる。
「えっ、ちょっ、なにすっ」
「いいから、じっとしてろ。見る必要があるんだから」
「……見る……必要……?」
 ナツキはじっと耐えることにした。
 リュウトは照れる様子もなくナツキのズボンに手をかけ、ゆっくりと脱がしてきた。ボロボロになったズボンと下着を床に放られると、ナツキの下半身には何も身につけていない状態になる。
 つい、手で股間を隠すと、リュウトの手で左右にどかされた。
「…………っ」
 ナツキは耐えるように唇を噛み締める。恥ずかしさのあまり心臓はバクバクとするし、冷や汗も吹き出してきた。
 リュウトは黙ったまま、しばらくナツキの股間を眺めていたが、ふいに顎をしゃくった。
「ベッド、乗って」
「えっ?」
 リュウトは真顔で言い放った。
「お尻のほうも確認するから」
「え……」
 ナツキは泣きそうな顔でリュウトを見つめた。
「……やだ……」
「やだ、じゃない。蔓の粘液だらけの股間と尻で何を言ってるんだ」
「……風呂に」
「見るほうが先」
 リュウトは折れなかった。
 ナツキは耐えるように唇を噛み締め、しぶしぶベッドに乗った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

松本先生のハードスパンキング パート1

バンビーノ
BL
 中学3年になると、新しい学年主任に松本先生が決まりました。ベテランの男の先生でした。校内でも信頼が厚かったので、受験を控えた大事な時期を松本先生が見ることになったようです。松本先生は理科を教えていました。恰幅のすごくいいどっしりした感じの先生でした。僕は当初、何も気に留めていませんでした。特に生徒に怖がられているわけでもなく、むしろ慕われているくらいで、特別厳しいという噂もありません。ただ生活指導には厳しく、本気で怒ると相当怖いとは誰かが言っていましたが。  初めての理科の授業も、何の波乱もなく終わりました。授業の最後に松本先生は言いました。 「次の授業では理科室で実験をする。必ず待ち針をひとり5本ずつ持ってこい。忘れるなよ」  僕はもともと忘れ物はしない方でした。ただだんだん中学の生活に慣れてきたせいか、だらけてきていたところはあったと思います。僕が忘れ物に気がついたのは二度目の理科の始業ベルが鳴った直後で、ほどなく松本先生が理科室に入ってきました。僕は、あ、いけないとは思いましたが、気楽に考えていました。どうせ忘れたのは大勢いるだろう。確かにその通りで、これでは実験ができないと、松本先生はとても不機嫌そうでした。忘れた生徒はその場に立つように言われ、先生は一人ずつえんま帳にメモしながら、生徒の席の間を歩いて回り始めました。そして僕の前に立った途端、松本先生は急に険しい表情になり、僕を怒鳴りつけました。 「なんだ、その態度は! 早くポケットから手を出せ!」  気が緩んでいたのか、それは僕の癖でもあったのですが、僕は何気なくズボンのポケットに両手を突っ込んでいたのでした。さらにまずいことに、僕は先生に怒鳴られてもポケットからすぐには手を出そうとしませんでした。忘れ物くらいでなぜこんなに怒られなきゃいけないんだろう。それは反抗心というのではなく、目の前の現実が他人事みたいな感じで、先生が何か言ったのも上の空で聞き過ごしてしまいました。すると松本先生はいよいよ怒ったように振り向いて、教卓の方に向かい歩き始めました。ますますまずい。先生はきっと僕がふてくされていると思ったに違いない。松本先生は何か思いついたように、教卓の上に載せてあった理科室の定規を手に取りました。それは実験のときに使う定規で、普通の定規よりずっと厚みがあり、幅も広いがっしりした木製の一メートル定規です。松本先生はその定規で軽く素振りをしてから、半ば独り言のようにつぶやいたのでした。「いまからこれでケツひっぱたくか……」。  

処理中です...