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第11話 スキル磨き
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ナツキの行動範囲はまだ村とその周辺のみだった。村の外には洞窟などのダンジョンがあるのだが、そこはまだモンスターが強すぎて行けない。村の中にも初心者用のダンジョンがあり、ナツキはほぼそこの出入りを繰り返しているだけだった。
この頃になると、ナツキのレベルは十になっていた。初めのうちはレベルがあがるのも早い。だが、モンスターと戦ってばかりでは飽きるので、少し寄り道をすることにした。
技術スキルを上げるため、料理をしてみたり、裁縫をしてみたり、農作業をしてみたり、楽器を練習してみたり、発掘をしてみたり、商売をしてみたり、植物を採取してステータス回復のさまざまなポーションを作ってみたり、金塊を掘ってみたり、金属から武器や防具を作ってみたり、アイテム作成をしてみたり、あらゆるスキルのレベル一の段階のものだけ一通りかじったが、最終的に落ち着いたのは村の中にある釣り堀での釣りだった。
釣った魚は売り買いすることもできる。実際に店舗を持つのではなく、左手首の端末からデータ上だけに存在する架空の店を作り、そこにアイテムを登録して値段をつけて出品するのだ。買いたい人は自分の端末から大量の店にアクセスして、欲しい商品をリーズナブルな価格、あるいは高級なレアアイテムを大金をはたいて購入する。
とはいえそれらはゲーム内通貨のロンだけでやりとりをしているので、現実のお金が動くわけではない。
魚も料理も薬草類も武器もなんでも置ける。ゲームなので腐ることもない。村の店に売ることもできるが、出品したほうが高値で売れることもある。
ナツキはちょっと試しに作ってみたアイテムを登録してみたが、ゲーム初期の頃に作れるものはすべてのプレイヤーが作れるものでもあるので、当然ながら売れるわけがなかった。ただ、魚介類は料理スキルに使う人がいるのか、意外と売れる。
最終的に釣りにはまったのは売れるせいもあるのだが、釣りゲーム自体も面白かった。やはりそこはゲームなので、いつまでも釣れずに待ちぼうけになるようなこともなく、一定時間以上が経過すると必ず何かが引っかかるのだが、もっと高級な魚を釣りたかったら、釣り竿も高級なものを買う必要がある。課金すれば買えないこともないのだが、ナツキはそこまでしなかった。初心者用の安い釣り竿でも楽しいので、今はこれで満足だ。
だが、これらアイテムには耐久力というものがあり、使いすぎると最終的には壊れるようになっている。壊れたら修理に出すこともできるのだが、それが結構高い。
釣った魚をすべて売りさばいたが、初級レベルで釣れる魚なんてたかが知れている。思っていたよりもロンは増えておらず、高い武器や防具は買えそうになかった。これならモンスターと地道に戦ったほうが、よっぽどロンが増える。
しかし釣りスキルはあがった。さらにスキルの数値をあげるには、膨大な時間をかける必要があるのだが、さんざん釣りをして気が済んだナツキは次のことをしようと思った。
アイテム所持枠がまだ三十枠ぐらいしかないので、すぐにいっぱいになってしまうのが軽いストレスになっていた。
課金……。脳裏によぎった。二千円ほど出せば、アイテム所持枠があと二十枠は増やせられる。二千円なら出せない金額ではない。
だが、まだ当分は課金なんてしないだろうと思っていたナツキは、クレジットカードを登録していなかった。それをするためには、一回ゲームを中断して現実世界に戻らなくてはならない。
「うーん。しょうがないか」
ナツキは観念してゲームを中断した。
セーブは自動セーブなので何も操作はいらない。左手首の端末を操作してパネルを開き『ゲームを終了する』を選べばいいだけだ。たとえば家族に起こされ強引に中断されるなどの強制終了でも、それまでの記録は自動的にセーブされている。親切設計なのだ。
この頃になると、ナツキのレベルは十になっていた。初めのうちはレベルがあがるのも早い。だが、モンスターと戦ってばかりでは飽きるので、少し寄り道をすることにした。
技術スキルを上げるため、料理をしてみたり、裁縫をしてみたり、農作業をしてみたり、楽器を練習してみたり、発掘をしてみたり、商売をしてみたり、植物を採取してステータス回復のさまざまなポーションを作ってみたり、金塊を掘ってみたり、金属から武器や防具を作ってみたり、アイテム作成をしてみたり、あらゆるスキルのレベル一の段階のものだけ一通りかじったが、最終的に落ち着いたのは村の中にある釣り堀での釣りだった。
釣った魚は売り買いすることもできる。実際に店舗を持つのではなく、左手首の端末からデータ上だけに存在する架空の店を作り、そこにアイテムを登録して値段をつけて出品するのだ。買いたい人は自分の端末から大量の店にアクセスして、欲しい商品をリーズナブルな価格、あるいは高級なレアアイテムを大金をはたいて購入する。
とはいえそれらはゲーム内通貨のロンだけでやりとりをしているので、現実のお金が動くわけではない。
魚も料理も薬草類も武器もなんでも置ける。ゲームなので腐ることもない。村の店に売ることもできるが、出品したほうが高値で売れることもある。
ナツキはちょっと試しに作ってみたアイテムを登録してみたが、ゲーム初期の頃に作れるものはすべてのプレイヤーが作れるものでもあるので、当然ながら売れるわけがなかった。ただ、魚介類は料理スキルに使う人がいるのか、意外と売れる。
最終的に釣りにはまったのは売れるせいもあるのだが、釣りゲーム自体も面白かった。やはりそこはゲームなので、いつまでも釣れずに待ちぼうけになるようなこともなく、一定時間以上が経過すると必ず何かが引っかかるのだが、もっと高級な魚を釣りたかったら、釣り竿も高級なものを買う必要がある。課金すれば買えないこともないのだが、ナツキはそこまでしなかった。初心者用の安い釣り竿でも楽しいので、今はこれで満足だ。
だが、これらアイテムには耐久力というものがあり、使いすぎると最終的には壊れるようになっている。壊れたら修理に出すこともできるのだが、それが結構高い。
釣った魚をすべて売りさばいたが、初級レベルで釣れる魚なんてたかが知れている。思っていたよりもロンは増えておらず、高い武器や防具は買えそうになかった。これならモンスターと地道に戦ったほうが、よっぽどロンが増える。
しかし釣りスキルはあがった。さらにスキルの数値をあげるには、膨大な時間をかける必要があるのだが、さんざん釣りをして気が済んだナツキは次のことをしようと思った。
アイテム所持枠がまだ三十枠ぐらいしかないので、すぐにいっぱいになってしまうのが軽いストレスになっていた。
課金……。脳裏によぎった。二千円ほど出せば、アイテム所持枠があと二十枠は増やせられる。二千円なら出せない金額ではない。
だが、まだ当分は課金なんてしないだろうと思っていたナツキは、クレジットカードを登録していなかった。それをするためには、一回ゲームを中断して現実世界に戻らなくてはならない。
「うーん。しょうがないか」
ナツキは観念してゲームを中断した。
セーブは自動セーブなので何も操作はいらない。左手首の端末を操作してパネルを開き『ゲームを終了する』を選べばいいだけだ。たとえば家族に起こされ強引に中断されるなどの強制終了でも、それまでの記録は自動的にセーブされている。親切設計なのだ。
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