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第1話 蝶は夢を見る
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ここはオメガの男だけが暮らしている娼館BLゲームの世界。
BLゲームなので、女という存在はいない。
俺はものごころつく前からここにいた。
生まれた時からなのか、生まれた直後からなのかはわからない。
捨てられたのか、売られたのかもわからない。
もしかしたら、ここで暮らし身体を売る誰かの腹から生まれたのかもしれない。
真実を教えてくれる者など誰もいない。
なにも知らぬまま俺はここで育ち、暮らしている。
初めて身体を開いたのは何歳の時だったか。
記憶は曖昧で、手に届きそうで届かない。まるで霞をつかむように不確かで、そんな現実があったのか、なかったのかさえもよくわからない。
俺はただ、流れのままにここで生きていた。
なにかを疑問に思うこともなく、なにかを信じることもなく。
客が来れば身体を開き、求められるまま尻を振る。
より淫らに、魅惑的に。
それしかここでは価値がないから。
客のほとんどは裕福層のアルファだ。
じいさんから若い男までいる。
中には童貞をここに捨てにくる男もいる。
アルファとは、この世界でもっとも優秀な個体だ。
知力、体力、経済力、すべてを兼ね備えている。
官僚や政治家も多く、国を動かしているのはほとんどアルファだ。
この娼館を作ったのも、アルファなのだろう。
質のいいオメガを集め、気が向いた時にふらりと立ち寄り、享楽に耽る。そのためだけの存在が俺たちだった。
発情期のオメガがもっとも好まれる。
オメガには三ヶ月に一度の割合で、発情期が起こる。
発情期は一週間ぐらい続き、オメガのヒートに当てられたアルファは発情を起こし、狂ったようにオメガを抱く。
一週間ずっと絶倫のように抱き続ける客も中にはいた。
だが、ここで働くオメガたちは高い。
高級娼館だからだ。
なので、アルファの中でもさらに金持ちのアルファにしか、俺たちを抱く権利はなかった。
そんな客たちにおかしなオメガをあてがうわけにはいかないので、俺たちの健康管理は徹底されている。
この世にはアルファ、ベータ、オメガがいる。
唯一、オメガだけが妊娠できる。
万が一のことがあって、客の子を妊娠したりしないように、俺たちオメガは避妊のために毎日ピルという薬を飲むことになっている。
発情抑制剤は飲まない。
客の中にラット抑制剤を飲んでいる人はたまにいる。
アルファとオメガはつがいになることができるが、間違って客に噛まれたりしないように、俺たちオメガの首にはチョーカーがついている。
オメガはアルファにうなじを噛まれたら、つがいになってしまう。
望む望まない関係なく。
つがいになったら永遠の伴侶だ。
好きな相手ならいいが、そうでなかったら地獄だ。
客が気まぐれでうなじに噛みついたりしないように、賠償金が設定されている。
アルファに噛まれたオメガはもう、商売道具としては役に立たなくなるからだ。
オメガはアルファに噛まれた瞬間から、発情期に不特定多数を惹きつけるフェロモンが出なくなる。
フェロモン自体は無くならないが、つがいのアルファにしか効かなくなる。
通常ならなんら問題ないことなのだが、娼館では困る。
なので、噛みついた客は高額な賠償金を支払うか、噛んでしまったオメガを引き取るか、どちらかになる。
この時、噛んだアルファが、やはりオメガはいらないとなった場合、賠償金だけ支払って、オメガは捨てられることになる。
客のアルファからも、娼館からも。
捨てられたオメガの末路は地獄だ。
つがいになったアルファから捨てられたオメガは、発情期はなくならないのに、誰ともセックスできない身体になる。
厳密に言うと、できなくなるわけではないのだが、精神的な強いストレスで苦しむことになる。
つがいのアルファ以外を受け入れられなくなるのだ。
新しいアルファとつがいになるということもできない。
オメガたちは間違って客にうなじを噛まれたりしないよう、細心の注意を払わねばならない。
強引でやばい客がいて噛まれそうな時は、娼館のスタッフにSOSを出せることになっている。
ベッドのよく見えない場所にブザーが用意されており、危険を感じた時はそれを押すことになっていた。
BLゲームなので、女という存在はいない。
俺はものごころつく前からここにいた。
生まれた時からなのか、生まれた直後からなのかはわからない。
捨てられたのか、売られたのかもわからない。
もしかしたら、ここで暮らし身体を売る誰かの腹から生まれたのかもしれない。
真実を教えてくれる者など誰もいない。
なにも知らぬまま俺はここで育ち、暮らしている。
初めて身体を開いたのは何歳の時だったか。
記憶は曖昧で、手に届きそうで届かない。まるで霞をつかむように不確かで、そんな現実があったのか、なかったのかさえもよくわからない。
俺はただ、流れのままにここで生きていた。
なにかを疑問に思うこともなく、なにかを信じることもなく。
客が来れば身体を開き、求められるまま尻を振る。
より淫らに、魅惑的に。
それしかここでは価値がないから。
客のほとんどは裕福層のアルファだ。
じいさんから若い男までいる。
中には童貞をここに捨てにくる男もいる。
アルファとは、この世界でもっとも優秀な個体だ。
知力、体力、経済力、すべてを兼ね備えている。
官僚や政治家も多く、国を動かしているのはほとんどアルファだ。
この娼館を作ったのも、アルファなのだろう。
質のいいオメガを集め、気が向いた時にふらりと立ち寄り、享楽に耽る。そのためだけの存在が俺たちだった。
発情期のオメガがもっとも好まれる。
オメガには三ヶ月に一度の割合で、発情期が起こる。
発情期は一週間ぐらい続き、オメガのヒートに当てられたアルファは発情を起こし、狂ったようにオメガを抱く。
一週間ずっと絶倫のように抱き続ける客も中にはいた。
だが、ここで働くオメガたちは高い。
高級娼館だからだ。
なので、アルファの中でもさらに金持ちのアルファにしか、俺たちを抱く権利はなかった。
そんな客たちにおかしなオメガをあてがうわけにはいかないので、俺たちの健康管理は徹底されている。
この世にはアルファ、ベータ、オメガがいる。
唯一、オメガだけが妊娠できる。
万が一のことがあって、客の子を妊娠したりしないように、俺たちオメガは避妊のために毎日ピルという薬を飲むことになっている。
発情抑制剤は飲まない。
客の中にラット抑制剤を飲んでいる人はたまにいる。
アルファとオメガはつがいになることができるが、間違って客に噛まれたりしないように、俺たちオメガの首にはチョーカーがついている。
オメガはアルファにうなじを噛まれたら、つがいになってしまう。
望む望まない関係なく。
つがいになったら永遠の伴侶だ。
好きな相手ならいいが、そうでなかったら地獄だ。
客が気まぐれでうなじに噛みついたりしないように、賠償金が設定されている。
アルファに噛まれたオメガはもう、商売道具としては役に立たなくなるからだ。
オメガはアルファに噛まれた瞬間から、発情期に不特定多数を惹きつけるフェロモンが出なくなる。
フェロモン自体は無くならないが、つがいのアルファにしか効かなくなる。
通常ならなんら問題ないことなのだが、娼館では困る。
なので、噛みついた客は高額な賠償金を支払うか、噛んでしまったオメガを引き取るか、どちらかになる。
この時、噛んだアルファが、やはりオメガはいらないとなった場合、賠償金だけ支払って、オメガは捨てられることになる。
客のアルファからも、娼館からも。
捨てられたオメガの末路は地獄だ。
つがいになったアルファから捨てられたオメガは、発情期はなくならないのに、誰ともセックスできない身体になる。
厳密に言うと、できなくなるわけではないのだが、精神的な強いストレスで苦しむことになる。
つがいのアルファ以外を受け入れられなくなるのだ。
新しいアルファとつがいになるということもできない。
オメガたちは間違って客にうなじを噛まれたりしないよう、細心の注意を払わねばならない。
強引でやばい客がいて噛まれそうな時は、娼館のスタッフにSOSを出せることになっている。
ベッドのよく見えない場所にブザーが用意されており、危険を感じた時はそれを押すことになっていた。
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