ひとりでこっそり暮らしていた僕はクマ獣人と幸せになります

mmm

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怪しい獣人

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馬車に揺られることしばらく・・・
窓がなく外が見えない状況で車輪の動きしかわからない。
最初はあまり揺れることがなく整備された道を走っているのがわかったが時間と共に揺れが激しくなり道が悪いことがわかる。


僕は荷物に捕まりながらなんとかその揺れに耐えていた。



「坊主!ついたぜ。」

馬車が止まり、荷台の扉が外から開けられた。
「あの、僕ここで待っていますので用事を済ませてきてください」

僕が行きたいのは街だ。
今止まったのはこの狐獣人の用事を済ますため。

「いや、坊主にも一緒に来てもらいたいんだ」

「え?僕もですか?」

狐獣人はなんだかニヤニヤしてきみの悪い笑みを浮かべている。
最初は無料で乗せてくれたいい人だと思ったけど、もしかしたら違うのかもしれない。
でも今まで獣人と関わりのなかった僕は、狐獣人はこういうものなのかもしれないと思った。

人の笑みを気味が悪いなんて思ったら失礼だよね。


「坊主に頼みたいことがあってな。」

「・・・無料で乗せていただいてますし僕にできることならしますが、力仕事はあまり得意ではないのですが」

「あぁ大丈夫だ。ついて来てくれるだけでいいからよ」

「・・・わかりました」

荷台から降りて、周りを見渡すと深い森の中だった。
こんなところに用事ってなんだろう。
不思議に思いながら、狐獣人の後ろをテクテクついていく。

道なき道を歩くこと15分ほど、石造の古い建物についた。


「あの・・・ここは?」

「ここは俺たちの職場みてぇなところだ」

「ここが・・・職場?」

職場といは言えないような、不気味な建物が怖くて無意識に後ずさった。
そんな僕の背中を押して、建物に無理やり入らされそうになる。

「あの・・・僕やっぱり馬車で待っています。ごめんなさい!」

「なんだ?勘づいたのか?めんどくせぇな」


僕が拒否した途端、男の態度が代わり僕をぎろりと睨んできた。
それがさらに僕の恐怖を煽り、その場から逃げ出そうとした時、首の後ろに衝撃を感じ目の前が黒く染まっていく。
何が起きなのかわからないまま、僕は意識を失った。







冷たい床の感触で目が覚めた。
「・・・ここは?」

周りを見渡すと石床に転がされていることがわかった。
目の前には鉄格子がありまるで牢屋のような作りだ。

その鉄格子に手をかけようとして腕を上げた時、金属が擦れるような音がして手元を見た。

「!!!これ・・・」

僕の両手首に枷が付けられており鎖で繋がれていた。
その鎖は首輪とも繋がれており、その姿は

「・・・まるで奴隷だ。どうして・・・嘘だ!」

今まで人族とバレないように過ごしてきたのは奴隷になるのが嫌だったから。
この18年間、ただひたすら恐怖に怯え孤独に耐えてきた。

なのに・・・なのに・・・結局こうなってしまうのか。


自分の置かれた状況に涙と震えが止まらない。
服も、ボロ切れ一枚を体に巻きつけたような格好でお世辞にも服とは呼べないものだ。

僕の人生はここで終わるのか・・・。

「ルーカスさん・・・」


僕は無意識に名を呼んでいた。











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感想 12

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みんなの感想(12件)

ε
2024.02.22 ε

1年以上更新されてないけど続き楽しみにしてます!!

解除
にゃんた
2022.11.10 にゃんた

更新待ってました~!
ありがとうございます🥺

やっぱ駄目な方の獣人だった…

2022.11.16 mmm

最近何かと忙しく、約束していた更新再開が遅れてしまいました。
こらからも亀更新ですがよろしくお願いします!

これからルーカスがどうするのかお楽しみです!

解除
るりまま
2022.09.09 るりまま

うわっ❣️暫くは我慢ですね。

作者様 更新楽しみにしております😭

2022.09.09 mmm

ありがとうございます!
1週間後必ず再開しますので、お待ちください(>人<;)

解除

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