ひとりでこっそり暮らしていた僕はクマ獣人と幸せになります

再会

あれから３ヶ月経った。
今日はまた街に降りる日。

いつものように身支度を整える。
もうすぐ寒くなるから防寒用の服と毛布も買い替えたい。
あと救急箱の中が乏しくなってきたから、絆創膏や包帯、消毒液なんかも買い足したい。

僕は一人暮らしだし、怪我をしても治療を受けに行くと人族だとバレる可能性があるので自分で治している。
と言っても大きな怪我はしたことないし、数日包帯を巻いておけば治るような怪我ばかりだ。

その怪我も植物の管理をしているときに葉や茎で傷つく程度だ。


治療を受けられない僕は大きなけがを負うこともできない。
でも健康でいるに越したことはないから結果オーライだよね。


そんな感じで今回は買いたいものがたくさんあるし、日が暮れる前に戻ってきたいから少し早めに出発することにした。

街について、シエルさんに野菜を買い取ってもらって、まずは服屋さんだ。
もちろん大人の獣人サイズは僕には大きすぎるので子供用の服を買う。

その後毛布や日用品を買い込んで、最後に薬局にきた。



扉を開けてカロンコロンと客を知らせる鈴が鳴る。
包帯と絆創膏と消毒液を探そうと店内を見渡すと、店主とバッチリ目があった。
「「あっ！！！」」

二人の声が揃った。
そうこの前僕に話しかけてきたデッカイ男の人だ。
どうしてここにいるんだ？
前にもこの薬局に来たことはあったけど、店主はもっと歳をとった老人だったはず。

僕が戸惑っていると、男はカウンターから出てきてびっくりするほどの笑顔で話しかけてきた。

「まさか、お店に来てくれるなんて嬉しいよ！！」

「え？いや、僕は救急箱の中身を買いに・・・」

「そうなのか？でも会えて嬉しい。あれからも君が次いつ街に来るかとソワソワしながら待ってたんだ。八百屋に行きすぎて店主のシエルさんに呆れられちゃったよ。・・・それより、どこか怪我しているのかい？救急箱の中身を買いに来たんだろう？」

「・・・いえ今はどこも怪我していません。怪我した時になかったら困るから買い足しておこうと思って。」

「そうか！君が怪我をしているわけじゃなくてよかったよ。それで何が欲しいんだい？」

「えっと、絆創膏と包帯と消毒液を」

「わかった。ちょっと待ってて！」

デカ男（背のでかい男）は店内の棚からそれぞれの品を出し袋に詰めてくれた。

「ありがとうございます。お代はいくらですか？」

「料金はいいよ。」

「え？そういうわけには・・・」

「ん～じゃあ、次街に来たときもお店に寄ってよ！！その時に今日の代金をもらうよ」

正直、今日はたくさん物を買ったから残金が心許なかったんだ。
代金が次でもいいのは助かるけど、また会いに来なくちゃいけないのか・・・。
でも、悪人じゃなさそうだし外套を外さず俯いていれば問題ないかも。

「わかりました。では次回払いに来ます」

「うん待ってるよ！」

ニコニコ笑いながら手をブンブン振るデカ男にペコリと頭を下げて僕は家に帰った。