62 / 62
ピアス
しおりを挟む僕の妊娠生活が始まってから1週間が過ぎた。
悪阻は続いてるというか酷くなって食事が喉を通らない。
リースさんが過剰に心配するから無理やり胃に入れてるけど結構辛い。
でも、僕はあるミッションを達成するためにこれ以上心配させるわけにはいかないんだ!
そのミッションとは…ずばりピアスの購入だ。
教会の仕事で得られた給金がそこそこ貯まっておりこれだけあれば満足のいくピアスを購入できると思う。
結婚してしばらく経ったけどやっと目処がたった。
リースさんにはだいぶ待たせちゃったけど妥協はしたくなかったからね。
そのピアスを買うためには城を出ないと行けない。
商人に城に来てもらう方法もあるらしいけど、リースさんにはサプライズにしたいからバレるわけにはいかない。
でも、僕1人で城どころか自分の部屋から出ることもできないし、どうしよう。悪阻もあるからリースさんが常にそばにいるし…。
誰か協力者がいてくれればな。
そうだ!こういう時はダンさんに相談しよう。
ピアスの色は黒って決まっているけど、デザインはまだ未定だしその相談にも乗ってもらおう。
ダンさんはずっとリースさんと一緒に働いてきた訳だし好みも知っているはず。
そういえば妊娠がわかってから教会での仕事はお休みしているけど、僕の補佐であるダンさんは今何をしてるんだろう。
せっかく僕のために城に来てくれたのに仕事がなくなってしまったんじゃ…。
もしそうなら、じいじに頼んで他の仕事を紹介してもらおうかな。
でもダンさんが働きたいって言ったらにしよう。
もしかしたら暫くはゆっくりしたいって言うかもしれないし。
「??マオ、どうしたんだ?」
「いっいえ、何でもありません!少し考え方をしていて。」
「そうか?体調が悪いなら訓練指導は休んでマオのそばにいるぞ」
「本当に大丈夫です。それに僕リースさんの仕事姿見るの好きなので今日も連れて行ってください。その方が気が紛れて悪阻もマシなんです」
「ならいいが、無理はするなよ」
「はい!」
相変わらずリースさんの過保護は続いている。
リースさんの訓練指導の時間になり訓練場にある僕の待機部屋に移動する。
リースさんが仕事中はエルマさんとダンさんがそばにいてくれる。
僕はリースさんが剣を振るう姿を見ながらダンさんに話しかけた。
「ダンさん、ちょっと相談に乗って欲しいことがあるんですが」
「相談ですか?私でよければ是非乗りましょう」
ダンさんは不思議そうにしながらも快諾してくれた。
そうだよね。相談ならリースさんにすればいいのにわさわざダンさんにするって、そりゃ不思議がられるよね。
「実は、リースさんにピアスをプレゼントしたいと思って。僕は随分前にもらったんですけど、どうしても自分のお金で買いたくて給金が貯まるまで待ってもらってたんです。それでそろそろ満足がいく額が貯まったので買いに行きたいのですが、できればサプライズにしたくて、何かいい方法はないでしょうか」
「…なるほど。リースさんには内緒でですか。マオくんは妊娠中ですからまず外出は無理でしょうね」
ダンさんは渋い顔でそう言った。
「そうですよね。僕も心配をかけたいわけではないので、どうしても無理なら外出は諦めます」
「信用できる商人を城に呼びますか?」
一緒に聞いてくれていたエルマさんがそう提案してくれた。
「でも、城にいる間はずっとリースさんが側にいるので秘密にするのは無理だと思います。」
「では、今の時間。つまりリース殿が訓練中なら密かに購入できるのでは?商人をあらかじめこの訓練所の詰所に呼んでおいて、リース殿が離れている隙に済ませるのです」
なるほど、時間は限られてしまうけどそれしか方法は無さそうだ。
「わかりました。ではそうします。でも僕には商人の知り合いなんていませんしどうすれば」
「そこは私にお任せください。信用できるものを連れて参ります」
エルマさんに任せておけば大丈夫だろう。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
なんとか実現できそうでホッとした。
早くその日が来ないかな。
皆様お久しぶりです。
子育てに追われて更新できていませんでした。
これからもノロノロ更新になりますがよろしくお願いします。
313
お気に入りに追加
2,499
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(12件)
あなたにおすすめの小説


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。


美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きありがとうございます〜〜〜!!!!
子育て中だっあのに…ありがたい…!!!
ほんとに無理のないように更新お願いしたいです…!!!
すごくイイ…デス…
も〜すき!!!大好物です!!!ありがとうございます!!!!
これから先ももっとデレデレしてほしいのですが更新が二年前…?で止まっておられて…(´;ω;`)
お時間ございましたら更新よろしくお願いしたいです…(´;ω;`)
マオくんがたくさん溺愛されていて見てるこっちも凄く心が温まります!!
お体に気をつけて更新なさってください!
続き楽しみです!