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怖い
しおりを挟む気づいた時にはたくさんの人が僕のことを見ていた。
フードは外れたのは本当に一瞬で、すぐにリースさんが被せてくれたけどその僅かな時間で僕の正体がみんなにバレてしまった。
たくさんの人が僕たちに押し寄せて、何かわからないけど次々に声をかけられる。
僕はどうしていいかわからなくてリースさんの肩に顔を押し付けながら抱きついている。
抱っこされててよかった。
「ひゃっ!!」
誰かが僕のお尻を触った。
「マオ!!」
すぐさまリースさんが僕のお尻を隠すように抱き直してくれた。
今までこんなに大勢の人たちに囲まれたことがなかったからどうしていいかわからない。
怖い。怖いよ。
お披露目の時はたくさんの人たちの前に立ったけど、国民との距離はすごくあったから緊張はしたけど怖くなかった。
でも今は怖い。
早くここから離れたい。
僕のそんな気持ちが伝わったのかリースさんが
「マオ様はお疲れだ。失礼する」
と言って城に向かって歩き始めた。
リースさんにマオ様って呼ばれるのはなんだか寂しい気持ちになるけど、これはしょうがないことらしい。
僕は異世界人であって王族でも貴族でもないけど、国王様と同等の階級?らしい。
逆にリースさんは僕と夫夫といえども貴族ではないから、公の場では僕を敬わなければいけないらしい。
僕はそんなことしてほしくないんだけど、この国で生きていく以上仕方ないんだって。
あれ?そういえばあんなにたくさんの人たちが押し寄せていたのにリースさんはどうしてこんなにスタスタ歩けるんだろう。
不思議に思って顔を上げると、さっき見た騎士さん達が道を作ってくれていた。
さっきの犯人捕獲に加えてまた仕事をさせてしまった。
せっかくの休日だろうに申し訳ないな。
帰ったら、騎士さん達に今日の代わりに休みをあげてくださいって王様にお願いしてみようかな。
人混みを抜けて馬車に乗る。
この馬車も外見は平民が使うような質素なもの。
でも、中はふわふわの座面で煌びやかなんだよ。
朝乗った時はそのギャップにビックリして、もう一度降りて確認しちゃったくらいだ。
1日街を回ったうえに(半分は抱っこだったけど)、さっきの騒動で僕の疲労はピークを迎えたみたい。
リースさんの膝の上でいつの間にか抱きつくように眠ってしまった。
???side
マオ、マオ。
やっと見つけた。
我は500年もの間、そなたを待ち続けた。
ようやく手に入る。
すぐに迎えにいこう。
待っていてくれ。
今度こそ2人で永遠の時を生き幸せになろう。
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