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心配

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リースside


マオが城下町に行きたいと言い出した。
俺もいつかは連れて行ってやろうと思っていた。

その日のために日々騎士団を鍛え上げている。
マオ専属騎士団は騎士達の中でも精鋭ばかりが集められている。

だが、俺からすればまだまだ鍛え上げなければ不安だ。
マオは聖魔法の使い手で、黒目黒髪、華奢な体に、あの美しさだ。

一歩街に入れば混乱が起きることは間違いない。

マオを身体的にも精神的にも傷つける訳にはいかない。
それに、マオ自身が無自覚すぎて不安要素が満載だ。


騎士団の鍛錬度を考えるとギリギリか…。

とりあえず、計画を練るか。
俺は街に行きたいという、マオの願いを叶えるために国王に外出の許可を取りに行った。







「マオが街にか。そうなるとかなり護衛の数を増やさねばならんな。」


「はい。マオ専属騎士団の力は徐々に向上しておりますが、街での護衛となるとギリギリでしょう。全員を配置しても完全とはいきません。」

国王の執務室では俺、国王、ハリス、エイベルで話し合いが行われている。



「あの、発言よろしいでしょうか?」

「どうしたハリス」

「はい、マオ様には変装をしていただくというのはどうでしょう。マオ様もリース殿と2人で楽しみたいご様子ですし、民に変装した騎士達が常に目を光らせておけば安全面でも問題ないかと」


「変装か。その手もあるな」

「そうだな。今回はお忍びということで敢えて民たちには伝えんでよかろう」

「マオ様には外套を深く被って頂き、念のため鬘も用意しましょう。目は誤魔化すことができませんのでなるべく人と目を合わせないように気をつけていただきます」


「うむ。では鬘の用意は頼む」

「かしこまりました」







計画を練ってから1週間が過ぎた。
今日はマオを街に連れて行く日だ。

マオにはお忍びで行くから目立たないようにすると伝えて、平民の服を着せ、金髪の鬘を付けさせた。

外套を深く被り、2人で街へと繰り出した。
2人といっても前後左右には変装した騎士達がいるのだが。





あっリースさんあれはなんですか?
これはどう使うのですか?
この食べ物はどんな味ですか?
ここは何屋さんですか?


街に降りたマオは初めて見るその景色に興奮していた。
手を繋いでいるが、興味を引かれるものがあるとすぐに駆け出そうとするから心配だ。

「マオ、街にはまた来ればいいからそんなに慌てるな」

「ごっごめんなさい。つい楽しくって」

そう言った後も忙しなく動くマオに苦笑する。
城に閉じ込めておくつもりは無いが、やはり危険は出来るだけ避けたい。
だがこんなにも楽しそうな姿を見れるならたまには外に出るのもいいな。


一通り街を見た後、屋台で串に刺さった肉を買い、2人で分け合いながら食べた。

塩味だけの質素な味付けの肉をこんなに美味しいと感じたのはきっとマオが隣にいるからだろうな。









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