51 / 62
外出条件
しおりを挟むリースさんと妊活を初めてから3週間が経った。
初日はすごく激しくて途中で気絶しちゃったし、そのあと熱も出しちゃって大変だったけど、初日以降は次の日に疲れが残らない程度に抑えてもらっている。
仕事も順調で、落ち着いた日々を過ごしている。
今日も午前中の仕事を終えて、昼食をとり今はリースさんの訓練指導を見学している。
と言っても僕は騎士団の詰所に作られた僕の部屋から外を見ているだけだ。
以前、外のベンチで見学していたら日差しが強くて熱中症になってしまい倒れてしまった。
それ以降外での見学は禁止されてしまった。
外で見た方が迫力があって興奮するんだけど、興奮しすぎて自分の体調にも気付けないからダメなんだ。
僕ってとことん弱いよね。
鍛えようとしてもそもそも体力が幼児並みの僕ができることはあまりにも少なすぎて早々に諦めた。
「マオ様、今城下で流行っている菓子です。召し上がりますか?」
窓から外を眺めていたら従者のエルマさんがお菓子を勧めてくれた。
一口サイズの丸いお菓子だ。カラフルな色でとても可愛い。
一つ食べてみると口の中で溶けていってとても美味しい。
「これすごく美味しいです。こういったものが城下にはたくさんあるんですか?」
「えぇそうですね。お菓子だけでなく様々な物がありますよ」
「そうなんですね。僕城下に行ってみたいです!!」
思えば城に来てから一度も城下に出たことがない。
お城には大きな庭もたくさんあって退屈はしないけど、城下への興味はある。
きっと日本とは全く違う景色なんだろうな・・・。
ヴェルディの街もそこそこ大きい街だったけど城下町はもっと賑わってるはずだよね。
「じょっ城下にですか??」
エルマさんが困ったような顔をした。
「どうしたの?・・・もしかして街に行っちゃダメとか??」
「いえ・・・ダメというわけではありませんが、行くとなると相応の警備が必要になりますのですぐにとはいきませんね」
「え?警備?大丈夫だよ?一人では行かないしリースさんにもついて来てもらえるようお願いしてみるから」
みんなでゾロゾロ歩くと邪魔になりそうだし、僕も気を使うからね。
「もちろんリース様もご一緒でしょうが、マオ様はすでに民にお披露目されておりますのでお顔がバレてしまっています。マオ様の周りを騎士たちで固めなければ、街がパニックになってしまいますよ?」
「え?パニック?どうして?」
「・・・マオ様は、聖魔法の使い手で尊い黒をお持ちです。マオ様を近くでみたいと思っている民は多いのです。」
「僕を近くで見たって何もないのにね?」
「マオ様・・・」
エルマさんがなんだか残念な子を見るような目で僕を見ている。
どうして?だって本当に僕を近くで見たって何もないのに。
「とにかくリース様に相談いたしましょう。」
「はい!!」
「だめだ!!!」
リースさんに相談したら速攻で却下された。
「え?どうしてですか?僕街を見てみたいんです。」
「街に行くこと自体はダメじゃねぇ。だが、俺とマオだけで行くわけにはいかねぇ。もちろんマオのことは俺が守る。だがないくら俺でも四方八方から押し寄せる人を遠ざけることはできねぇ。」
「大丈夫です。みんな僕に興味なんてありませんよ。」
見つかったとしても、あいつが聖魔法使うやつかー。チビだなって思われるくらいだよ。
チビって思われるのは悔しいけど、事実だから言い返せないだろうな。
「はぁーーー。とにかくしばらく考えさせてくれ。」
とっても大きなため息をついたリースさんを不思議に思いながら僕は城下に行ける日が待ち遠しくワクワクしている。
長らく更新を休んでしまい申し訳ありません。
こんなに休むつもりはなかったのですがプライベートが何かと忙しくこのようなことに。
これからは隔日で更新してまいります!
加えて今までの話を所々修正しております。
内容は大きく変わっておりませんが、辻褄があってなかったり言葉使いがおかしかったところをなおしています。
今までのストーリー忘れちゃったっていう人は是非最初から読んでみてください!
63
お気に入りに追加
2,484
あなたにおすすめの小説
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
転生したら従者になった話
涼音
BL
異世界に転生してしまった主人公は、20の誕生日に交通事故で死んだ。
死んだ筈が目を開けたら赤ん坊だった
20で事故に遭い死んだ事を鮮明に記憶に残しながら
その世界は、小説とかによくある魔法や剣の世界【イルヴィアーナ】
主人公の家系は代々王族に仕えている。
ユーラス・シュリアンとして生まれた主人公は王子の従者としてまともに働けるのか
総攻めのハーレムモノになってしまう可能性も無きにしも非ず
side ユアン →なし
side シアン →*
「第三王子の従者になります」の改定版です。
こちらで今度から更新していきますのでよろしくお願いします
がっつり内容が変わるかもしれませんが、そこは御許しください
【報告】タグに主人公攻め入れていたんですが、何か書いてる内に雲行きが怪しくなって来たので外しました。攻めか受けはもう少し後から考えます。
BL「いっぱい抱かれたい青年が抱かれる方法を考えたら」(ツイノベBL風味)
浅葱
BL
男という性しか存在しない世界「ナンシージエ」
青年は感じやすい身体を持て余していた。でも最初に付き合ったカレシも、その後にできたカレシも、一度は抱いてくれるもののその後はあまり抱いてくれなかった。
もうこうなったら”天使”になって、絶対に抱かれないといけない身体になった方がいいかも?
と思ってしまい……
元カレ四人×青年。
天使になってしまった青年を元カレたちは受け入れるのか?
らぶらぶハッピーエンドです。
「抱かれたい青年は抱いてもらう方法を考えた」の別バージョンです。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
目覚めたらヤバそうな男にキスされてたんですが!?
キトー
BL
傭兵として働いていたはずの青年サク。
目覚めるとなぜか廃墟のような城にいた。
そしてかたわらには、伸びっぱなしの黒髪と真っ赤な瞳をもつ男が自分の手を握りしめている。
どうして僕はこんな所に居るんだろう。
それに、どうして僕は、この男にキスをされているんだろうか……
コメディ、ほのぼの、時々シリアスのファンタジーBLです。
【執着が激しい魔王と呼ばれる男×気が弱い巻き込まれた一般人?】
反応いただけるととても喜びます!
匿名希望の方はX(元Twitter)のWaveboxやマシュマロからどうぞ(^^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる