美少年は異世界でヤンデレに囲われます

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マオが傷つけられた

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リースside



どうしてこうなった。
どうしてこんなにマオが泣かなくちゃいけねぇんだ。

俺はマオを守ると誓ったはずなのに。

俺の腕の中で泣きじゃくった末に気を失うように眠ったマオを抱き締めながらマオの側を離れたことを後悔する。









今日はマオの初仕事の日。
俺も騎士団での指導が始まる。

朝緊張したマオと朝食を食べ、ダンを補佐とすることを説明しそれぞれの職場へと向かった。


騎士団での剣術を指導している間もマオのことは心配だったが、俺は自分に与えられた仕事をこなそうと頑張った。
さすが騎士団。普段からよく鍛えられている。
しかし実戦の経験が少ないのか、臨機応変な対応ができていない。
不意打ちなどを仕掛けながら指導していく。




そして昼になり、一旦城の部屋に戻った。

昼食を準備してもらいマオを待っていると、満足げな表情をしたマオが帰ってきた。

どうやら初仕事はうまくいったようだな。

マオは俺が部屋にいることに驚いていたが、会えて嬉しいと言ってくれた。

会いたいと思っていたのが自分だけじゃなくて良かった。
わずか3時間だがやはり離れていると落ち着かない。常に俺の目の届くところにいねぇと不安だ。


そんな思いを抱えながらも渋々午後の仕事を再開するため再び騎士団の訓練場へと向かった。




午前と同じように指導しているとマオ付きの護衛が此方に走ってきた。

なんだ?何かあったのか??
嫌な予感がする。

「リース殿。ご報告があります。先程、ウィリアム王子がマオ様の部屋を訪ねて来られて、相談事があるとのことで2人きりにしてほしいと言われたのです。もちろんずっと部屋の外で待機しておりましたが暫く経っても出てこられず、扉をノックしても反応がないのです。我々が王子の命令に背いて部屋に入ることはできず、困っております」

「なんだと?あのクソおう…殿下はマオに求婚したことがあるんだぞ!そんなヤツと2人きりにしちゃ危ねぇじゃねぇか!!」


マオの身に何か起こっているかもしれない。
想像するだけで腸が煮えくり返りそうだ。

マオに指1本でも触れてみろ、地獄を見せてやる。


全速力で部屋まで戻ると、エルマとハリスが扉の前で右往左往している。
入りたいけど入れない。そんな状況だ。

俺はそんな状況なんか無視して部屋に入った。
テーブルにお茶や菓子が置かれているがマオの姿がない。

そのとき、わずかにマオの声が聞こえた。
寝室からか!?

慌てて寝室の扉を開けると、そこには…

服を脱がされ、泣きじゃくりながら上から押さえつけられているマオの姿が…。

俺の怒りは頂点に達し、相手が王族だとかそんなこと考える余裕もなく思いきり殴り飛ばした。

クソ王子は壁に頭をぶつけ気を失った。

俺は真っ先にマオに駆け寄り震える身体を抱き締めた。
マオは必死に何かを言おうとしているが、嗚咽でまともに喋れていない。

俺はすぐに助けてやれなかったことを詫びながら背中を擦る。


泣きじゃくるマオを抱き締めてどれほど経っただろう。だんだんと泣き声が小さくなりマオは気を失うように寝てしまった。


その間にクソ王子は護衛に運ばれていき、治癒師が呼ばれた。


マオには俺の上着を被せ寝台に寝かせた。
治癒師の診断結果は、両手首をきつく押さえられたことによる鬱血痕と、薬物の使用の疑いがあるとのことだった。

治癒師が王子が持参した焼き菓子を調べると、痺れ薬と媚薬が混入されていたことがわかった。

自分より遥かに体格のよい男に押さえつけられ、尚且つ痺れている身体ではろくに抵抗も出来なかっただろう。
大声をだしたくても出せなかったはずだ。

マオが感じたであろう恐怖を考えると、怒りと後悔が押し寄せ、俺は爪がめり込み血が流れるのも構わず拳を強く握った。


薬の後悔が切れるまでは目を覚まさない方がいいだろうと、マオには鎮静剤が打たれた。

今日はもう目を覚まさないだろう。


俺は仕事を抜けてきたが到底戻ることはできない。

マオが目を覚ますまでずっと側にいる。
クソ王子のことは後で陛下に相談しよう。
マオを傷つけてただでは済ませない。

地獄を見せてやる。



それより心配なのはマオが目を覚ましたときだ。
おそらくパニックになるだろう。

自分を責めなければいいが。

もう決して離れたりしない。








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