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ウィル殿下の相談

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今日の仕事を終えてお城に戻ってきた。

部屋に入るとリースさんがいてお昼ご飯が準備されていた。

「ただいま…ってあれ??リースさん騎士団の方に行ったんじゃ??」

「昼飯はマオと一緒に食おうと思ってな。戻ってきたんだ。食い終わったらまた仕事に戻るさ」

「そうなんですね。夕方まで会えないと思ってたので嬉しいです」

やっぱりリースさんと離れてると寂しい。
治療中は集中してるから大丈夫だけど、ふとしたときにリースさんのことを考えてしまう。

だからちょっとの時間でも会えると嬉しい。

「そんなこと言われちゃ、仕事に行きたくなくなるな。さぼるか!」

「ダッダメですよ!!お仕事はきちんとしないと」

「わかってるさ。でも、離れてるとマオのことばかり考えちまってな。心配なんだよ」

「僕にはダンさん、エルマさん、護衛の方もいてくれますから大丈夫ですよ!安心してください」

「いやぁ、周りが気を付けていても肝心の本人が無自覚じゃなぁ…」

「え?なんですか?」

「なんでもねぇよ。それより飯食おうぜ。それと午前中の話も聞かせてくれ」


僕は僕専用の座面が高い椅子に座り、ご飯を食べながら今日の仕事内容を話した。

患者を4人治療したことを話すと、よくやったなって褒められた。

えへへ。褒められるとやっぱり嬉しいよね!
この調子でどんどんお小遣いを貯めるんだ。
早くリースさんにピアス渡したいなー。





そして、昼ご飯を食べ終えたリースさんは騎士団の方へ戻っていった。
何かあればすぐに知らせるんだぞって耳にタコができそうなくらい言われたけど、午後は部屋でゆっくりするつもりだから何も起こらないよ。

リースさん心配性だなぁ。







ダンさんは、今日の僕の仕事内容を書類にまとめて陛下に報告しなくちゃいけないらしくて、部屋を出ていった。
僕が自分でやりますって言ったら
「書類仕事は得意なので任せて下さい。これも補佐の仕事ですから」
って手を出させて貰えなかった。



エルマさんに紅茶を入れてもらって寛いでいると、扉がノックされた。

「マオ、私です。入ってもいいですか?」

この声はウィリアム王子だ!!

「ウィル殿下!どうぞ!」


相変わらずキラキラしてる王子様を前に少し緊張しちゃう。

「殿下。お久しぶりです。どうされましたか?」

「久しぶりですね。会いたかったですよ。実はマオに相談がありまして。」

「相談…ですか?」

「はい。あまり人に聞かれたくない内容なのでできれば2人きりで話したいのですが」

殿下が僕に相談って何だろう。
しかも何だか殿下の元気がなさそう。
そんなに深刻な悩みなのかな。

僕が力になれるか分からないけど、話を聞くことはできる。

「わかりました。僕なんかで良ければ」

「ありがとうございますマオ!!」

エルマさんに殿下の分の紅茶も用意してもらって、部屋には2人きりになった。

エルマさんと護衛のハリスさんは心配そうだったけど、内容を聞かれる訳にはいかないし部屋を出てもらった。





ソファーに向かい合って座ると、殿下が持参してきてくれた焼き菓子を勧められたから食べながら聞くことにする。

「マオは今日から教会ではたらいているんですよね。どうでしたか?」

僕は今日の事を話して、それから何気ない会話が続き…。



ウィル殿下どうしたんだろう。
相談って言ってたけど、今のところ世間話しかしてないよね。
そんなに言いにくいことなのかな。


「あの…ウィル殿下?僕に相談といのは…」

「あぁ、そうでしたね。相談というのは……」

その時僕は自分の身体に違和感を覚えた。
何だかクラクラするし、手足が痺れる。
それに身体が熱い。

身体に力が入らず、手に持っていた焼き菓子を床に落としてしまった。

「でっ殿下…すみません…なんだか…からだ…が…おかしくて…誰か呼んで…くれま…せんか?」

息を切らしながら殿下に伝えると、にっこり笑いながら
「それは大変ですね。ベッドで休みましょう」
と、僕を抱き上げ寝室へ向かった。


その時の殿下の顔は到底僕を心配しているようには見えなかった。











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