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僕の公表
しおりを挟むエルマさんに紅茶を入れて貰って、まったりしている。
お城に来てから僕何もしてないんだけど、仕事とかしなくていいのかな?
ご飯も服も全部タダで貰ってるのに何もしないのは気が引けちゃう。
そういえば、リースさんはギルドの仕事どうするんだろう。
「リースさん。ギルドのお仕事は大丈夫なんですか?」
「あぁ、城に住むって決めたからなぁ。ヴェルディには頻回に帰れねぇしギルマスは辞めようと思ってる」
「ええ??辞めちゃうんですか?…ごめんなさい。僕のせいですよね」
「そうじゃねぇよ。俺がマオから離れたくねぇんだからよ。俺の我が儘だ。気にするな」
「でっでも…」
「それに新しい仕事も見つけたしな」
「え?そうなんですか?どんな仕事ですか?」
「実は陛下から、騎士団の剣術指導をしてくれないかと頼まれたんだ。俺も書類仕事より身体を動かす方が好きだからよ。受けることにしたんだ」
「そうなんですか!さすがリースさんですね。では日中は騎士団の方に行くんですね?」
「あぁ。といっても騎士団の訓練場は城の敷地内にあるしいつでも会えるぞ。本当はずっとマオと一緒に居たいんだが、むさ苦しい男たちの中に連れていくわけにはいかねぇからな。マオはこの部屋で俺の帰りを待っていてくれ」
「…あの、僕にも出来る仕事はないでしょうか?何もせずにずっと部屋にいるのもなんだか悪い気がして。」
「マオは働きたいのか?」
「はい!でも僕は体力ないし力仕事は出来ないかもしれませんが」
「なら陛下に相談してみよう。」
その数日後、僕は王都の教会で働けることになった。
週3日、1日3時間、護衛付きという条件つきだけど僕も人の役に立てると思うと嬉しい。
教会には病人や怪我人が治癒を求めて来るらしく僕は治療のお手伝いだ!
出勤は僕の御披露目がされてかららしい。
そして僕の仕事が決まってから3日後ついに僕の御披露目の日がやってきた。
朝からエルマさんに足首まである白いロングドレスを着させられて肩からは薄手の白いショールが掛けられた。
さすがにリースさんはドレスを着させたことはないらしく今日だけはエルマさんに任せていた。
僕は最初ドレスを見たとき、こんなの着れないよっと思ったけど、僕だけの特注品ですって言われて、渋々着たんだ。
男の僕がドレスなんて似合うわけないのに…。
「マオ様、とてもお似合いでございます!このドレスを着こなせるのはマオ様しかおられません!なんとお美しいのでしょう」
エルマさんが褒めてくれるけど、僕は恥ずかしくてムズムズしちゃう。
すると、突然リースさんに抱き締められた。
「今日の御披露目は中止だ!こんな愛らしく美しいマオを人目に晒すことなんてできねぇ!下衆どもの視線でマオが汚れる!」
「えぇ?リースさん、中止はダメですよ。それに僕なんて見たってなんの得にもなりませんよ。」
「はぁ…。マオはいつになったら自覚するんだ」
「え?なんですか?」
「いや、なんでもない。マオ、御披露目が終わったら覚悟しておけよ?そのドレスを脱がせるのは俺だからな」
ボンッ!!と自分の顔が赤くなっているのが分かる。
リースさんはニヤニヤしてる。
つまり…その…イタシマスってことだよね?
「リース様!マオ様のこのような顔を見られても宜しいのですか?すぐに御披露目の時間なのですよ!」
リースさんがエルマさんに怒られてる。
「むっ!それはダメだ!マオそんなかわいい顔をしちゃいけねぇ!」
誰のせいだと思ってるの?もぉ!!
そんなこんなで御披露目の時間になり、城のバルコニーに連れていかれた。
バルコニーの下は噴水のある大きな広場となっており、貴族平民関係なくたくさんの人が集まっている。
予想以上の人数にバクバクと緊張しちゃう。
そんな僕の肩をリースさんが優しく抱き寄せてくれる。
段々と落ち着いてくる。やっぱりリースさんは僕の特別だね。
そして王様の挨拶が始まる。
「諸君、今日は我が国にとってとても尊い人物を紹介する。彼に危害を加える者、またはそのような計画を企てた者には貴族であろうと厳しい罰を処する。みな心に留めとくように。ではマオ前に!」
王様に招かれ、バルコニーの最前に行くと
わぁーーーー!!!と凄い歓声が上がった。
「黒の君様ー!」
「お美しい!」
「小さくて可愛らしい!」
あちこちから色んな声が聞こえる。
ビックリしたけど、よかった。みんな僕の格好に引いてなさそう。
「えっと…マオと申します。みなさまよろしくお願いします」
ホッとしたことで無意識に微笑んでたみたい。
「マオ様が俺に微笑んでくださった!」
「何言ってんだ!俺に笑い掛けてくださったんだ」
「お前らアホか!俺に決まってんだろ」
なっなんだか喧嘩が始まってる。大丈夫かな?
僕は一言発しただけですぐに後ろに下がったけど、そのあとも喧嘩は続いてるみたい。
僕は役目を終えて、リースさんにお姫様抱っこされて早々に部屋に戻ってきた。
そのままベッドに下ろされ、すぐさまリースさんが僕を跨いで見下ろしてきた。
「これからは俺だけのマオの時間だからな」
そう言って口づけされる。
今日もトロトロにされちゃうのかなぁ
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