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リースside
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マオが泣きつかれて眠ってしまった。
俺を離さねぇように小さな手で服をぎゅっと握っている。
「陛下。マオが眠ってしまったので部屋に戻っても宜しいでしょうか。先程の話は一旦保留ということで」
「あぁもちろんだ。それより、ワシはマオに嫌われてしまったかもしれん。このように愛らしい子に嫌われては立ち直れん」
おいおい陛下ともあろうお方が何を言い出すんだ。
人に嫌われるのを気にするようなお方ではないだろうに。
「マオはまたワシに会ってくれるであろうか。」
ブツブツと独り言を言っているがそんなものに付き合うつもりはない。
早く部屋に戻りマオを休ませてやらねば。
「では陛下失礼いたします」
まだ何か言いたそうだったが気づかぬ振りをして執務室を出た。
俺たちの部屋に向かっていると前方から糞王子…ウィリアム王子が歩いてきた。
心の中で舌打ちしながら、道を譲る。
まぁマオの姿をみて素通りするわけねぇよな。
「マオ!父上との話は終わったのですか?」
マオが寝ていることに気づかず話しかける糞おう…ウィリアム王子。
「殿下、マオは寝ているんです。起きてしまいますから大きな声を出さないでください」
「寝ているのですか?なんと可愛らしい。ならば私が抱き上げましょう。」
「ご冗談を。マオは私の服を掴んでいますので無理矢理剥がすような可哀想なことはしないで頂きたい」
「ん…うぅ…ふぇ…」
俺たちの声でマオがグズリ始めた。
「マオ。大丈夫だ。まだ寝てろ」
背中をトントン叩いてやるとスースーとまた寝始めた。
「殿下、早くマオを休ませたいので失礼します」
殿下の返事も聞かずにさっさと部屋に戻る。
ベッドに寝かせるときも俺の服を離そうとしねぇからピッタリくっついて俺も横になる。
マオの頭を撫でながら先程の陛下の話を思い出す。
陛下の言うとおり、ヴェルディでマオの姿を見たものは多い。いくら箝口令を敷いたとしてもいずれ噂は広がるだろう。現に陛下の耳まで届いているんだ。
中途半端に隠すよりも公にした方がいいのは分かる。
しかし、あの家でマオと二人で暮らせなくなるのは俺が耐えられねぇ。
もし、マオが城で暮らすことになったら俺も住まわせてもらおう。
それが無理なら、この話はチャラだ。
マオが起きたらもう一度話をしてみよう。
しばらくマオの寝顔を見つめていると、マオの呼吸がだんだん苦しそうになってきた。
「マオ?どうしたんだ?苦しいのか?」
呼び掛けても反応はない。
顔も少し赤い気がする。
額に触れると微熱がある。
早く治癒師を呼ばなければ!!
部屋の外で護衛をしている騎士に
「マオが熱を出した!治癒師を呼んできてくれ」
と伝え、寒くないように布団を肩まで掛ける。
バタバタと騎士が走っていく音が聞こえる。
それから5分ほどして50代くらいの治癒師が来た。
マオの脈を計り、状態を確認していく。
「黒の君様は、心身ともにお疲れのご様子です。私たち治癒師は傷や骨折などの外傷は治すことができますが身体の内側には干渉できませぬ。熱冷ましの薬をお渡ししますので、食後に服用してください。汗をかくと思いますので着替えをこまめにお願いします。これから熱が上がる可能性がございますので私は近くの部屋に待機しております。」
「わかった。すまねぇな」
1日以上馬車に揺られ疲れているときに身体を繋げてしまった。
さらには、慣れない環境で気も休まらなかっただろうし、さっきはあんなにも泣かせてしまった。
くそっ!マオは体力がねぇんだ。もっと俺が気を付けていれば苦しませることもなかったはずだ。
俺は何をやってんだ!もっとちゃんとマオを守らねぇと!
だが今は後悔してる場合じゃねぇ。
マオの額に水で冷やしたタオルを乗せ、汗を拭いてやる。
ときどきぼんやりと目を開けるマオに口移しで水を飲ませる。夕食は食べれそうになかったから薬だけ飲ませた。
夜中になると治癒師の言うとおり段々熱が上がってきた。震えるマオを抱き締め、着替えさせる。
もう一度治癒師を呼び、水分摂取が間に合っていないと言われ、点滴をすることになった。
この世界は魔法があるが万能ではない。
治癒魔法ではどうにもならないこともあるため、薬の開発も進んでいる。
この点滴も水分と解熱作用がある。経口摂取するよりも効率がいい。
これで少しましになってくれよ。マオが苦しむ姿はみたくねぇ。
夜通し看病し、点滴のおかげか朝には少し熱も下がっていた。だがまだ完全じゃねぇ。
無理をするとまだ上がっちまう。
昼になってマオがハッキリと目を覚ました。
「リース…さん?ゴホゴホッ」
喉を痛めているんだろう、掠れた声で俺の名前を呼ぶ。
「マオ!目が覚めたか?とりあえず水飲め」
マオの背にクッションをたくさん積めて起き上がらせる。マオにコップを持たせようとしたが、力が入らないのか上手く持てない。
寝ているときのように口移しで飲ませてやるとコクコクとうまそうに飲む。余程喉が乾いていたのか
「もっと」と言われ何回も繰り返した。
「まだ熱があるからな無理しちゃいけねぇぞ」
「僕熱出してたんですね。ご迷惑お掛けしました」
声の掠れはマシになったようだ。よかった。
「迷惑なんかじゃねぇよ。それよりすまなかった。俺がもっと気をつけていればマオを苦しませるようなことにならなかったんだ」
「そんなっ、リースさんのせいじゃありません。僕が弱いから。」
「これからはマオの体調管理は俺がちゃんとするからな。」
「ありがとうございます。僕も気をつけますね」
「とりあえず明後日までベッドから出るのは禁止だ。わかったな?」
「え?明後日まで…ですか?それはさすがに長すぎでは…?」
「ダメだ!俺が許可するまで出るな。もし破ったらお仕置きするからな?」
「ひぇっ!?わっわかりました。」
まぁお仕置きとして、マオが治ってから色々するのも楽しみだがな。
俺を離さねぇように小さな手で服をぎゅっと握っている。
「陛下。マオが眠ってしまったので部屋に戻っても宜しいでしょうか。先程の話は一旦保留ということで」
「あぁもちろんだ。それより、ワシはマオに嫌われてしまったかもしれん。このように愛らしい子に嫌われては立ち直れん」
おいおい陛下ともあろうお方が何を言い出すんだ。
人に嫌われるのを気にするようなお方ではないだろうに。
「マオはまたワシに会ってくれるであろうか。」
ブツブツと独り言を言っているがそんなものに付き合うつもりはない。
早く部屋に戻りマオを休ませてやらねば。
「では陛下失礼いたします」
まだ何か言いたそうだったが気づかぬ振りをして執務室を出た。
俺たちの部屋に向かっていると前方から糞王子…ウィリアム王子が歩いてきた。
心の中で舌打ちしながら、道を譲る。
まぁマオの姿をみて素通りするわけねぇよな。
「マオ!父上との話は終わったのですか?」
マオが寝ていることに気づかず話しかける糞おう…ウィリアム王子。
「殿下、マオは寝ているんです。起きてしまいますから大きな声を出さないでください」
「寝ているのですか?なんと可愛らしい。ならば私が抱き上げましょう。」
「ご冗談を。マオは私の服を掴んでいますので無理矢理剥がすような可哀想なことはしないで頂きたい」
「ん…うぅ…ふぇ…」
俺たちの声でマオがグズリ始めた。
「マオ。大丈夫だ。まだ寝てろ」
背中をトントン叩いてやるとスースーとまた寝始めた。
「殿下、早くマオを休ませたいので失礼します」
殿下の返事も聞かずにさっさと部屋に戻る。
ベッドに寝かせるときも俺の服を離そうとしねぇからピッタリくっついて俺も横になる。
マオの頭を撫でながら先程の陛下の話を思い出す。
陛下の言うとおり、ヴェルディでマオの姿を見たものは多い。いくら箝口令を敷いたとしてもいずれ噂は広がるだろう。現に陛下の耳まで届いているんだ。
中途半端に隠すよりも公にした方がいいのは分かる。
しかし、あの家でマオと二人で暮らせなくなるのは俺が耐えられねぇ。
もし、マオが城で暮らすことになったら俺も住まわせてもらおう。
それが無理なら、この話はチャラだ。
マオが起きたらもう一度話をしてみよう。
しばらくマオの寝顔を見つめていると、マオの呼吸がだんだん苦しそうになってきた。
「マオ?どうしたんだ?苦しいのか?」
呼び掛けても反応はない。
顔も少し赤い気がする。
額に触れると微熱がある。
早く治癒師を呼ばなければ!!
部屋の外で護衛をしている騎士に
「マオが熱を出した!治癒師を呼んできてくれ」
と伝え、寒くないように布団を肩まで掛ける。
バタバタと騎士が走っていく音が聞こえる。
それから5分ほどして50代くらいの治癒師が来た。
マオの脈を計り、状態を確認していく。
「黒の君様は、心身ともにお疲れのご様子です。私たち治癒師は傷や骨折などの外傷は治すことができますが身体の内側には干渉できませぬ。熱冷ましの薬をお渡ししますので、食後に服用してください。汗をかくと思いますので着替えをこまめにお願いします。これから熱が上がる可能性がございますので私は近くの部屋に待機しております。」
「わかった。すまねぇな」
1日以上馬車に揺られ疲れているときに身体を繋げてしまった。
さらには、慣れない環境で気も休まらなかっただろうし、さっきはあんなにも泣かせてしまった。
くそっ!マオは体力がねぇんだ。もっと俺が気を付けていれば苦しませることもなかったはずだ。
俺は何をやってんだ!もっとちゃんとマオを守らねぇと!
だが今は後悔してる場合じゃねぇ。
マオの額に水で冷やしたタオルを乗せ、汗を拭いてやる。
ときどきぼんやりと目を開けるマオに口移しで水を飲ませる。夕食は食べれそうになかったから薬だけ飲ませた。
夜中になると治癒師の言うとおり段々熱が上がってきた。震えるマオを抱き締め、着替えさせる。
もう一度治癒師を呼び、水分摂取が間に合っていないと言われ、点滴をすることになった。
この世界は魔法があるが万能ではない。
治癒魔法ではどうにもならないこともあるため、薬の開発も進んでいる。
この点滴も水分と解熱作用がある。経口摂取するよりも効率がいい。
これで少しましになってくれよ。マオが苦しむ姿はみたくねぇ。
夜通し看病し、点滴のおかげか朝には少し熱も下がっていた。だがまだ完全じゃねぇ。
無理をするとまだ上がっちまう。
昼になってマオがハッキリと目を覚ました。
「リース…さん?ゴホゴホッ」
喉を痛めているんだろう、掠れた声で俺の名前を呼ぶ。
「マオ!目が覚めたか?とりあえず水飲め」
マオの背にクッションをたくさん積めて起き上がらせる。マオにコップを持たせようとしたが、力が入らないのか上手く持てない。
寝ているときのように口移しで飲ませてやるとコクコクとうまそうに飲む。余程喉が乾いていたのか
「もっと」と言われ何回も繰り返した。
「まだ熱があるからな無理しちゃいけねぇぞ」
「僕熱出してたんですね。ご迷惑お掛けしました」
声の掠れはマシになったようだ。よかった。
「迷惑なんかじゃねぇよ。それよりすまなかった。俺がもっと気をつけていればマオを苦しませるようなことにならなかったんだ」
「そんなっ、リースさんのせいじゃありません。僕が弱いから。」
「これからはマオの体調管理は俺がちゃんとするからな。」
「ありがとうございます。僕も気をつけますね」
「とりあえず明後日までベッドから出るのは禁止だ。わかったな?」
「え?明後日まで…ですか?それはさすがに長すぎでは…?」
「ダメだ!俺が許可するまで出るな。もし破ったらお仕置きするからな?」
「ひぇっ!?わっわかりました。」
まぁお仕置きとして、マオが治ってから色々するのも楽しみだがな。
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