上 下
29 / 62

険悪な朝食タイム

しおりを挟む

「…あっあのぉ…おはようございます。ウィリアム王子」

リースさんとウィリアム王子が睨み合っている中で声を描けるのはすごく勇気がいったけど、このままって訳にもいかないから頑張ったよ!

「マオ!おはようございます。昨夜はよく休めましたか?すみません、マオの不安に気づかず1人にしてしまい。これからは私がおりますから頼ってくださいね?」

「え?これからって…僕は今日リースさんのお家に戻る予定ですが」

「それはいけません。マオのような美しい人が街に
住んでは何が起こるかわかりません。マオを危険な目には合わせたくないのです」

「僕は別に美しくなんて…。それにリースさんが傍にいてくれますから大丈夫です」

「マオは自分の容姿に無頓着なのですね。そんなところも愛らしいですが。これからのことは後に話し合いましょう。それより、朝食をご一緒してもよろしいですか?」

「えっ?あっ、はい。リースさんと一緒なら。」

「…わかりました。では3人分用意させましょう。」

なんやかんやで、3人で朝御飯を食べることになったんだけど…。

部屋にある丸いテーブルに豪華なご飯がたくさん並べられて、席に着こうと思ったらリースさんにヒョイっと持ち上げられて膝の上に乗せられた。

王子様の前でさすがにこれは恥ずかしいよぉと思い俯いてると

「リース殿、何をされているのですか?マオを降ろしてください」

ウィリアム王子が鋭い視線をリースさんに飛ばしている。

「殿下ともあろうお方がお気づきにならないのですか?このテーブルはマオには高すぎるんです。私の膝に乗ってちょうどいい高さなんですよ」

ふんっと鼻息荒く、リースさんも王子に対抗する。

リースさん!王子様にそんな態度とって大丈夫なのー?不敬罪とかにならない?

僕がオロオロしていると
「…私としたことが。マオすみません。すぐにマオ用の椅子を準備させますので」

「いっいえ、お気遣いなく。僕が小さいのが悪いんですから」

同級生の女子よりも小さい僕は今日ほど自分の身長を恨んだことはないだろう。

リースさんの家でも僕専用の椅子が置かれている。

よくファミレスとかで見る、小さい子が座るような脚の長い椅子だ。

座高が足らずに四苦八苦してる僕を見てリースさんが用意してくれたんだけど、すごく情けない気持ちになった。でも、せっかく用意してくれたものだし実際その椅子のほうが僕も食べやすいから今では重宝してる。

「殿下、マオは私の膝に乗せますので椅子は不要です。長居もしませんし」

「それは貴方が決めることではないでしょう?マオの意思を尊重してください。それに今日帰ることはできませんよ。陛下がマオと再度会いたいと申されておりますから。今日の午後にもお声がかかるでしょう」

チッ

リースさん舌打ちしちゃった!
絶対王子様にも聞こえてるよね?大丈夫かな…。

とっとにかくこれ以上リースさんの機嫌が悪くならないようにしなくちゃ!!

「あの!ウィリアム王子にはお兄様がいらっしゃるのですよね?」

なんとか話題を変えようと僕頑張ってます!!

「ええ!いずれ紹介しますが、5つ上の兄がおります。すでに父の公務をいくつか引き継いでおり忙しいのでゆっくり会えないかもしれませんが。」

「そうなのですか!ところで王子様はおいくつなんですか?」

「マオ、私のことはウィルと呼んでください。私は19歳です。マオの3つ上になりますね」

「えっと…ウィル様?」

「マオ、殿下とお呼びすればいい。愛称で呼ぶのは親しい間柄だけだ」
リースさんが教えてくれた。

そうだったんだ!じゃあ愛称で呼ぶのはだめだよね。

「リース殿、私が許可しているのですから口を挟まないで頂きたい。マオ、是非ウィルと。」

なんだかまた険悪な雰囲気になっちゃったよぉ。

「えっと…ウィル殿下。」

「まぁ今はそれでいいでしょう。」

よかった。なんとか納得してもらえた。

こうして僕たち3人のギスギスした朝食タイムは終わった。なんだか食べた気がしない。味も分からなかったし。


そして午後からはまた王様に会うのかぁ。
またあの広い謁見室??に行くのかなぁ。
緊張するしなんだか疲れる。










しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

処理中です...