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険悪な朝食タイム
しおりを挟む「…あっあのぉ…おはようございます。ウィリアム王子」
リースさんとウィリアム王子が睨み合っている中で声を描けるのはすごく勇気がいったけど、このままって訳にもいかないから頑張ったよ!
「マオ!おはようございます。昨夜はよく休めましたか?すみません、マオの不安に気づかず1人にしてしまい。これからは私がおりますから頼ってくださいね?」
「え?これからって…僕は今日リースさんのお家に戻る予定ですが」
「それはいけません。マオのような美しい人が街に
住んでは何が起こるかわかりません。マオを危険な目には合わせたくないのです」
「僕は別に美しくなんて…。それにリースさんが傍にいてくれますから大丈夫です」
「マオは自分の容姿に無頓着なのですね。そんなところも愛らしいですが。これからのことは後に話し合いましょう。それより、朝食をご一緒してもよろしいですか?」
「えっ?あっ、はい。リースさんと一緒なら。」
「…わかりました。では3人分用意させましょう。」
なんやかんやで、3人で朝御飯を食べることになったんだけど…。
部屋にある丸いテーブルに豪華なご飯がたくさん並べられて、席に着こうと思ったらリースさんにヒョイっと持ち上げられて膝の上に乗せられた。
王子様の前でさすがにこれは恥ずかしいよぉと思い俯いてると
「リース殿、何をされているのですか?マオを降ろしてください」
ウィリアム王子が鋭い視線をリースさんに飛ばしている。
「殿下ともあろうお方がお気づきにならないのですか?このテーブルはマオには高すぎるんです。私の膝に乗ってちょうどいい高さなんですよ」
ふんっと鼻息荒く、リースさんも王子に対抗する。
リースさん!王子様にそんな態度とって大丈夫なのー?不敬罪とかにならない?
僕がオロオロしていると
「…私としたことが。マオすみません。すぐにマオ用の椅子を準備させますので」
「いっいえ、お気遣いなく。僕が小さいのが悪いんですから」
同級生の女子よりも小さい僕は今日ほど自分の身長を恨んだことはないだろう。
リースさんの家でも僕専用の椅子が置かれている。
よくファミレスとかで見る、小さい子が座るような脚の長い椅子だ。
座高が足らずに四苦八苦してる僕を見てリースさんが用意してくれたんだけど、すごく情けない気持ちになった。でも、せっかく用意してくれたものだし実際その椅子のほうが僕も食べやすいから今では重宝してる。
「殿下、マオは私の膝に乗せますので椅子は不要です。長居もしませんし」
「それは貴方が決めることではないでしょう?マオの意思を尊重してください。それに今日帰ることはできませんよ。陛下がマオと再度会いたいと申されておりますから。今日の午後にもお声がかかるでしょう」
チッ
リースさん舌打ちしちゃった!
絶対王子様にも聞こえてるよね?大丈夫かな…。
とっとにかくこれ以上リースさんの機嫌が悪くならないようにしなくちゃ!!
「あの!ウィリアム王子にはお兄様がいらっしゃるのですよね?」
なんとか話題を変えようと僕頑張ってます!!
「ええ!いずれ紹介しますが、5つ上の兄がおります。すでに父の公務をいくつか引き継いでおり忙しいのでゆっくり会えないかもしれませんが。」
「そうなのですか!ところで王子様はおいくつなんですか?」
「マオ、私のことはウィルと呼んでください。私は19歳です。マオの3つ上になりますね」
「えっと…ウィル様?」
「マオ、殿下とお呼びすればいい。愛称で呼ぶのは親しい間柄だけだ」
リースさんが教えてくれた。
そうだったんだ!じゃあ愛称で呼ぶのはだめだよね。
「リース殿、私が許可しているのですから口を挟まないで頂きたい。マオ、是非ウィルと。」
なんだかまた険悪な雰囲気になっちゃったよぉ。
「えっと…ウィル殿下。」
「まぁ今はそれでいいでしょう。」
よかった。なんとか納得してもらえた。
こうして僕たち3人のギスギスした朝食タイムは終わった。なんだか食べた気がしない。味も分からなかったし。
そして午後からはまた王様に会うのかぁ。
またあの広い謁見室??に行くのかなぁ。
緊張するしなんだか疲れる。
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