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誕生日プレゼントはキスの味

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僕がこの世界に来て1週間が過ぎた。


その間、生活魔法を覚えた僕は洗濯や掃除を手伝い、昼間はリースさんと一緒にギルドに行っていた。

ギルドでは相変わらずリースさんの膝の上です。
なんでだろうね、僕もよくわかんない。



この1週間でこの世界のことをたくさん知った。

まず、リースさんは35歳。ダンさんは28歳。
もともとダンさんは貴族の三男だったけど、後を継ぐのは嫡男だからと家を出たらしい。
そんなときにたまたまリースさんと出会い、頭の切れるヤツが欲しいからとギルマス補佐に抜擢されたんだって。
確かに、ダンさんは言葉遣いも態度も貴族っぽいよね。


そして1日24時間、1週間は7日間、1年365日。
時間に関してはもとの世界と一緒だ。

でも季節は特になく、1年を通して日本の春みたいな気候らしい。

そして今日は7月2日。時間の進みかたが元の世界と同じなら、今日は僕の誕生日だ。

今日で16歳になったんだなぁ。
日本にいたら誰か祝ってくれるかな。

僕は幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚に引き取られた。お義父さんお義母さんは、必要最低限のことはしてくれたけど、愛情は感じられなかった。
誕生日も一応おめでとうって言ってくれるけどプレゼントは1度も貰ったことがない。

でも、男友達はたくさんいたんだ。
みんなスキンシップが激しくて、休み時間は肩を抱かれたり、膝の上に乗せられたりした。
僕は仲良くして貰えて嬉しかった。

でも、なぜか女子とは仲良くなれなかった。
目が合うと睨まれることが多くて、僕も話しかける勇気がなかったから。


元の世界を思い出しながらリースさんと帰路に着く。この1週間、リースさんは何かと僕を抱っこしようとした。
そんなに、抱っこされたら足が弱っちゃうんじゃないかと心配になって、自分で歩きますって言ったらすごく悲しそうな顔をされた。

だから僕はとっさに
「リースさんと手を繋いで歩きたいんです」
って言ったら、嬉しそうに僕を下ろしてくれた。
それからギルドの行き帰りはリースさんと手を繋ぐことが決まりとなった。

そして今日も、仕事を終えたリースさんと家に帰ってきた。リースさんが夕食の支度をしている間に僕はお風呂を済ませ、一緒にご飯を食べる。
その後リースさんがお風呂から上がるのをソファーで待つ。これが僕のルーティンだ。


リースさんがお風呂から上がって一緒にベッドに入る。なぜか僕の部屋はまだ用意されていない。
リースさん曰く、僕の部屋のカーテンがいい柄が見つからないらしい。
カーテンなら何でもいいんだけど、リースさんはこだわりが強いのかな?


そしてさぁ、寝ようと思ったとき
「マオに渡したいものがあるんだ」
と言われ、手の平サイズの小さな箱を渡された。

「なんですか?これ」

「開けてみてくれ」

箱を開けると、リースさんの髪と同じ赤色のピアスが入っていた。

「そろそろ誕生日だと言ってただろう?マオに似合うと思って買ったんだ。受け取ってくれるか?」

「……すごく、すごく嬉しいです。僕プレゼント貰うの初めてです。大切にします。ありがとうございます」
まさか、プレゼントが貰えるなんて思ってなくて、僕は泣きながらお礼を言った。

「喜んでもらえたなら、よかった。できれば、ピアス穴は俺が開けたいんだがいいか?」

「はい。穴開けるのちょっと怖くて自分では出来そうにないのでお願いします」

あらかじめ針を用意していたようで、すぐに開けてくれた。ちょっとだけチクッとしたけど、思ったより痛くなかった。
リースさんはビクビクしてる僕を胡座の間に座らせて、後ろから抱き締められながらだったから安心できた。

両耳にわずかに感じる重さが嬉しい。


「マオ、ピアスのお礼を貰ってもいいか?」
ピアスに触れながらニコニコしてると、リースさんにお礼をねだられてしまった。

「そうですよね。お礼しなくちゃ。でも、僕何も持ってないし、どうしよう」
この世界でまだ自分で稼いだことない僕は、お礼が出来るようなものやお金はもってない。

「俺が欲しいのは、これだ」

「え?リースさ…ん……んんーっ」

リースさんの膝に向かい合わせに座らされたと思ったらいきなり顔が近づき、そのまま唇が合わさった。

突然のことに驚き、固まっている僕の唇をペロリと舐められ、思わず口を開ける。
その隙間に舌を捩じ込まれ、舌を絡めとられる。

膝の上に座っていても、リースさんのほうが高いため唾液が僕の口のなかに流れてくる。それを必死に飲み込もうとするけど、間に合わず顎を通って流れてしまう。

初めてのキスで息の仕方がわからず苦しくなり、ボーッとしてきた。

それに気づいたリースさんが唇を離し、口から溢れた唾液を舐めとっていく。

「悪いな。想像以上にマオの唾液が甘くて、抑えられなかった。今日はここまでにするが、これから少しずつ覚えていこうな」

リースさんが言ってることを半分も理解できないまま、僕は眠りについた。










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