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魔力鑑定

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リースさんに抱っこされた状態でギルドの中に入ると人もまばらだった。もっとたくさん人がいるんだと思ってたから身構えてたんだけど、そんな必要なかったかな。
そんな考えが顔にでていたのか
「今の時間は飯時じゃねぇし、あんまり人はいないぜ。依頼は早朝に張り出されるから早いもんがちだしな。早朝と飯時以外はこんなもんだ。」
とリースさんが教えてくれた。

そのままギルドの2階にある執務室まで行き、大きな机の前に向かい合って配置されているソファーにゆっくり下ろされた。

「マオ、さっそくだが水晶を使ってマオの魔力鑑定をするぞ。ダン、用意を頼む」

「かしこまりました」

ダンさんは一旦執務室を出て、すぐに戻ってきた。その手には拳二つ分くらいの大きさの水晶がある。
「マオ君、この水晶に手をかざしてみてください」

「わかりました。かざすだけでいいんですか?」

「えぇ、この水晶では魔力量と属性、氏名、年齢しかわかりませんから。高性能の水晶ですと、魔力をこめる必要があるのですが、今日はかざすだけで構いませんよ」

そう言われてほっとした。いきなり魔力を流せとか言われたらやり方もわからないし、どうしようかと思ってたからね。よし、さっそくかざしてみよう。

僕が水晶に手をかざすと、水晶が光だして目の前に透明のパネルみたいなのが写し出された。



名前:マオ・サトウ

年齢:15歳

魔力量:∞

属性:聖属性









「……」

「……」

「???あの、聖属性って何ですか?」

「おい、ダン。お前今見たことは絶対外に漏らすなよ」リースさんがダンさんをギロりと睨む。

「…ええ、わかっておりますよ。絶対に口外しないと誓います」

「あ、あのー?どうしたんですか?」
2人のやり取りの意味がわからず、自分の属性がとんでもないものかもしれないと、不安になる。

「あぁ、すまないマオ。ちーっと驚きすぎてな。一つずつ説明するからな。まず、魔力量が無限って言うのは今だかつて聞いたことがないんだ。つまりどれだけ魔力を消費しても減らないってことだ。次に聖属性についてだが、この属性をもっていた人物は過去に1人だけいる。500年前にマオと同じような黒目黒髪をした人だ。その人は聖属性からなる聖魔法を使って魔王を封印したとされている。聖魔法の主な使い道は治癒だ。光魔法も治癒とされているが、命に関わるような傷や、毒にはほとんど効果がないんだ。それに比べて聖魔法での治癒はどんな傷でもどんな毒でも副作用なく跡形もなく治すことができる。さすがに死人を生き返らせることはできないがな」

「えっと、つまり??」

「つまり、マオの魔力量と属性はどの国も喉から手が出るほどに欲しがるものということだ。マオを守るためにはこの情報は決して誰にも知られてはいけない。わかるか?」

「わ、わかります。僕の聖魔法は厄介なものということですよね」
聖魔法をもっているというだけで、リースさんにもダンさんにも迷惑をかけてしまうんだ。

「マオ、そうではない。聖魔法はとても特別で誇るべきものなんだ。ただ、それを悪用しようとするヤツがいるということだ。マオは胸を張っていいんだぜ」
そっか、僕が悪い訳じゃないんだね。聖魔法に誇りをもっていいんだね。よかった。

「ありがとうございます。そう言っていただけて安心しました。」

「マオ君。とりあえずマオ君に魔力があることは確認できた訳ですし、まずは生活魔法を取得していきましょう」
ダンさんが、優しく微笑みながら僕の背中を撫でてくれる。リースさんもダンさんもとても優しいな。異世界にきて最初に出会ったのがこの人たちで本当によかった。僕はこんな優しい人たちに恵まれているんだから感謝しなくちゃ。

「僕、魔法のことはまだよくわかりませんが、聖魔法を使えるように頑張りたいです。もし、リースさんやダンさんが怪我をしたときにすぐに治癒できるようになりたいんです。僕に魔法を教えてください。お願いします。」
体力もお金もない僕にできることはこれくらいしかないんだから、何かあったときに2人を助けられるようにならなくちゃ。

「マオ、ありがとうな。でも気負いすぎるなよ。ゆっくりでいいし、もしできなくてもマオが傍に居てくれるだけで俺は十分なんだぜ」
リースさんの優しい言葉に、異世界から来てずっと不安だった僕の気持ちが涙になって表れる。
そんな僕をリースさんは泣き止むまで優しく抱き締めてくれた。















マオの年齢については次回に持ち越しです。

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