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僕はただの日本人です

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ソファーでくつろぎながらリースさんを待っていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。誰だろう、リースさんなら自分で鍵を開けて入ってくるよね。ドアを開けてはいけないとリースさんにきつく言われているから、申し訳ないけど居留守を使おう。そう思い息を潜めていると、もう一度ノックの音が聞こえた。

急ぎの用事だったらごめんなさいと心の中で謝りながら客人が帰っていくのを待っていると、しばらくして静かになった。
「帰ったのかなー?」
外を確認しようと窓からこっそり玄関の外を見ると、そこに立っている青髪金眼の20台後半くらいの男性とばっちり目が合ってしまった。

その男性は僕と目があった瞬間、眼と口をこれでもかと言う程開けてこっちを凝視している。
「どうしよ、居留守がばれちゃった。ドア開けた方がいいのかな。でも危険な人かもしれないし。うー、リースさん早く帰ってきて」
泣きそうになりながら、身を縮こませていると、玄関の鍵をガチャガチャ開ける音が聞こえた。

「え?うそ、入ってくるの?どうしよどうしよ」

オロオロしているうちにドアが開いちゃった。
もうだめだ、たすけてリースさん!

頭を抱えてソファーの下で丸まっていると
「マオ!どうしたんだ?何かあったのか?」

「え?リースさん?」

「どうしたんだ?頭が痛いのか?」
リースさんは僕を抱き上げて背中をさすってくれる。

「いえ……、あの、しらない人が入ってきたと思って怖くて…」

「しらない人?あぁ!こいつのことか?」

そう言われてリースさんの後ろにいる男性に眼を向けるとさっき外にいた人だった。

「マオ、驚かせたみたいですまなかった。こいつは俺の補佐をしてくれているダンだ。昨日、散歩から帰ってこず、今日の朝もギルドに顔を出さない俺を心配して来てくれたみたいだ。ダン、この子はマオだ。昨日草原に1人でいるところを俺が保護した。」
リースさんに紹介されたダンさんは、いまだに僕のことをみて口をパクパクさせている。

「あっ、あの!はじめましてマオといいます。さっきは居留守してしまってごめんなさい。リースさんから絶対にドアを開けちゃダメだって言われていたので。」

「え、あ、ははじめまして。ギルマス補佐をしていますダンといいます。こちらこそ驚かせてしまったみたいですいません」
ダンさんは丁寧に頭を下げて挨拶をしてくれた。

「と、ところで、その、君の髪は染めているのですか?」ダンさんが僕の髪をまじまじと見ながら聞いてきたので染めていないことを伝えると
「う、うそでしょ?黒目黒髪初めてみました。」
と、驚いている。

「あ、あの僕の髪と眼の色は珍しいのですか?」
日本人はほどんどが黒目黒髪だ。僕も純日本人で、もとの世界では一般的だった。でもこんなに驚かれるなんて、この世界では黒は珍しいのかな?

「マオ、この世界に黒目黒髪の人はいないんだ」

え?いない?

「500年前に魔王を封印した人物が黒目黒髪だったと言われているが、それ以降、黒を持つものは現れていないんだ」

え?僕はただの日本人ですよ??





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