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イケメンの正体

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ここが異世界だと確信した真生。とたんに不安になり泣きそうになる。
でも会ったばかりの人の前で泣くのはさすがに恥ずかしい。
とりあえず、もとの世界に帰れる方法を見つけなくちゃ。これが小説だと、帰れる方法はないってなるんだろうけど、望みはすてちゃだめだ。
気合いを入れ直しパンパンと自分のほっぺを叩いていると、
「何か事情があるみたいだな。よかったら俺の家へくるか?今から街に行くには少し時間が遅いし、みたところ金も持ってなさそうだしな」

イケメンが優しく声をかけてくれた。
これからどうしようと途方にくれていた真生にはありがたい話だ。

「いいんですか?僕どうしたらいいのかわからなくて不安で…。今は何も持ってないですけど必ず恩返ししますので」
深々と頭を下げる真生を見てイケメンはふっと笑みをこぼす。

「まぁ恩返しは別にいらないが、そうだな家事を手伝ってもらえるとありがたいな」

真生の頭をポンポンと撫でながらイケメンは爽やかに笑った。

「とりあえず、俺の家に行こうぜ。ここからそんなに遠くねぇから」

そういってイケメンは突然真生を、子供のように縦抱きにした。

「わぁ、あっあの下ろしてください、自分で歩けますから」

「だめだ!靴も履いてないじゃねぇか。それに足の裏も怪我してる。そんな状態で歩かせるわけにはいかない」

有無を言わさず、といった感じでイケメンはスタスタ歩き出す。
異世界にきた不安で気づかなかったが真生は裸足で長時間歩き回ったせいで足裏をけがしていた。

けがを自覚したとたんにズキズキと痛み出し、思わず顔をしかめてしまう。

「傷が痛むか?家についたら手当てしてやるからそれまで我慢してくれ」
イケメンが心配そうに真生の顔を覗き込む。

「少し痛いですけど大丈夫です。それよりさっそくご迷惑おかけしてすいません。重かったら下ろしてくださいね」

「迷惑じゃねぇよ。それに心配になるほどの軽さだ。育ち盛りなんだからちゃんと飯食わねぇとだめだぞ」

育ち盛りと言われて真生の気分はズーンと落ちる。中学二年生の時から全然身長が伸びずに現在152センチ。日本でも小学生に間違われることがある。
それに比べてこのイケメンはずいぶんと背が高い。真生より頭2つ分以上は高い。真生が頑張って背伸びをしてもギリギリ胸元に届くくらいだ。

自分の身長が全く伸びないことに落ち込んでいると「そういえば、まだ名前を聞いてなかったな。俺の名前はリースだ。君の名前を聞いてもいいか?」と声をかけられた。

自分がまだ名前も名乗っていなかったことに気付き慌てて頭を下げる。
「すいません、まだ名乗っていなかったですね。僕の名前は、さと……真生といいます。」

フルネームで名乗ろうかと思ったが以前呼んだ小説で家名があるのは貴族だけだと書いてあったのを思い出して下の名前だけを伝えることにした。

「マオというのか。いい名前だな。」

名前を褒められて嬉しくて、ふにゃりと笑ってしまった。するとリースが突然足を止めマオの顔をみて
目を見開いている。

「リースさん?どうしたんですか?」

「いっいや、なんでもない」

リースさんの顔が赤い気がするが夕日のせいかなと思い気にしないことにした。しばらくするとリースさんはもとに戻り、再び歩き出したので真生は気になっていることを聞くことにした。

「リースさんは一人暮らしなんですか?」

「あぁ、俺は一人で住んでる。その方が気が楽だしな。仕事柄家を空けることもあるし。」

「リースさんはどんなお仕事をされているんですか?」

「俺はヴェルディにあるギルドでギルドマスターをしているんだ。今日は仕事の合間に散歩がてら草原に来てたんだ」

え?ギルドマスター??それってめちゃくちゃ強くてえらい人じゃないの?

イケメンの正体を知って驚きを隠せない真生はリースの腕の中でオロオロしてしまった。

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