68 / 72
後談 夢の跡の後始末
十三、燃え上がる憎悪
しおりを挟む
「うちの孫達がすまんかったなぁ」
目の前に座るのは、厚い半纏を纏った小柄な老婆。
(危篤状態って噂されていたのは、嘘だったのかしら・・・・・・)
以前と変わらぬ佇まいを見せる水無月家当主を観察しながら、藤花は内心驚いていた。
ぴんと伸びた背筋や鋭い眼差しに、弱々しさは感じられない。
当の本人は『性質の悪い呪いにかかってのぅ』と笑い飛ばしているから、本当に死の淵から復活を遂げたのかもしれないが。
天津家の使用人が血相を変えて飛び込んできたのは、水無月家当主の来訪を知らせるためだった。
渦中の人物の登場に、藤花を始め、その場にいた面々は驚いた。
そして、この邸宅は小さいので、居間で人を寝かすと、当主を招き入れる部屋もない。
仕方がないので、寝込んでいる少女はそのままにして、撫子の私室を使う運びとなってしまった。
当主は従者達を外に待機させ、桐矢、撫子、藤花の四人で輪になる・・・・・・それだけで、部屋が狭い。
「まさか、倅達がここまで拗れていたとはなぁ・・・・・・」
緑茶片手にぽつりと呟く水無月家当主の声には、どこか寂しさを感じた。
水無月の家系は、女子に霊力が高い者が産まれる傾向にあるらしい。
当主の長男や次男より、長女や孫娘達の方が術者として名を上げているとのこと。
次男の方は『仕方がない』と割り切っていたが、長男の方は色々と鬱屈した思いを抱えていたらしく、それが此度の騒動に繋がった――と、水無月家当主は溜め息交じりに語る。
長男には子が二人。
名を元成と朱代という。
朱代の方は幼い頃から優れた霊力を持ち、当主らも目に掛けていた。
だが、それを父と兄は気に入らず、見えぬ所で朱代を虐げていたらしい。
朱代の母――つまり、水無月家当主長男の嫁は早逝しており、朱代は後ろ盾を求めてある令嬢に取り入った。
その令嬢こそが、天津芙蓉・・・・・・式神を従え、天津家でも重要視されていた頃。
力ある令嬢の取り巻きとなることで、朱代は父達から甚振られる事無く平穏を得られたらしい。
しかし、芙蓉が春に問題を起こし取り巻きも含めて叱責を受けたことや、芙蓉が天津家から放逐されたことで朱代も立場を失ったらしい。
これ幸いと父や兄は朱代に暴力を振るい、彼女は半死半生にまで追い込まれた――
(芙蓉様ってそこまで影響力が・・・・・・)
水無月家の当主から真相を聞かされると、何ともやりきれない気持ち。
「うちの馬鹿も関係していたとはなぁ・・・・・・」
桐矢は脱力したように肩を落としている。
「術者の家系は、霊力を重視する・・・・・・儂も長女や孫娘達には色々と手ほどきしておった。それでも、息子達のことを蔑ろにしていたつもりは無かったんだがなぁ」
水無月家では、当主の次に長女が発言権を得ていたが、それを快く思っていなかったのが長男と、次男の嫁だったらしい。
積もりに積もった不満や蟠りが、此度の騒動に繋がったと当主は嘆いていた。
低く見られていた、と日々感じていた次男の嫁が義母に呪いを掛けて謀殺しようと目論んだことが、切っ掛けだったらしい。
当主の手当てに奔走する長女や次男を余所に、長男親子は自分達の地位を確立すべく、優れた婚約者――すなわち撫子の獲得に乗り出したらしい。
放置していた朱代を利用し、強引に婚約を迫る――そのような手段がまかり通るわけではないので、彼等は水無月家内で罰を待っているとのこと。
「許してくれとは言わん。それ相応の賠償も払うでな」
身内のことに心を砕きたいのに、他家との折衝までこなさなければならないのは、当主の辛い所なのだろう。
気落ちした老婆を前に、藤花は何も言えなかった。
撫子を甚振ったことのある少女、言いたいことが無いわけでもない。
しかし、あそこまで傷付いた姿を見ては、どのようにも言えない。
(水無月家に何か言えるのは、撫子様の方だし)
そんな気持ちで主人の方を見るが。
「全て、当主の・・・・・・代行である兄達に任せます」
撫子は、感情を出さずに、そう答えるだけだった。
『詳しい話は大人同士で』と、藤花達は部屋を出された。
・・・・・・撫子の部屋なのに。
「・・・・・・どうすればいいか分からないの」
自室を出て数歩、廊下を歩く途中で撫子は呟いた。
「あの子達のことは好きになれないけど、あんな目に合って欲しかったわけじゃないし・・・・・・あの子も、必死だったんだって知っちゃったし・・・・・・」
そんな撫子を慰めるように、藤花はそっと頭を撫でた。
撫子はまだ十歳の少女であるし、術者の世界に足を入れたばかり。
色々な柵など、これから学んで行けばいいのだから。
「私は居間に行きますけど、お嬢様は台所でお茶でも――」
朱代の顔を見るのも辛いだろうと、藤花は撫子を台所に送るつもりだった。
だから、その台所の扉を開けて、件の少女が顔を出すなんて予想していなかったし。
彼女が、憎悪に満ちた顔で此方を見ているなんて、予想もしていなかった。
「あんた達の所為で・・・・・・」
「ひっ」
思わず顔を背けたくなるような形相であった。
撫子は藤花の腰にしがみ付き、朱代の顔を見ないようにしている。
そんな此方の様子など気にも留めず、朱代は両手を翳す。
目も眩むほどの強い光は、彼女の怒りを表すような紅蓮の色。
その光にも負けぬ輝きを帯びた炎は、藤花達を包み込んだ。
「下らんことをっ」
すかさず紅鏡が炎の中に飛び込むと、何事も無かったかのようにそれは消えた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「・・・・・・うん」
皮膚に少しちりつくような熱さは感じたし、狭い廊下も少し焦げた跡は残るが、撫子に怪我が無さそうなので、一先ずは安心した。
「どうした!?」
「朱代、何をしておる!?」
騒ぎが聞こえたらしく、撫子の部屋から二人が出てくる物音も聞こえる。
「あんた達がいたから、みんな・・・・・・なくなっちゃったじゃない」
朱代の方は周囲の声も聞かず、ただ、此方を見つめながら『あんた達が』と呟き続けている。
彼女の事情は与り知らぬが、芙蓉の後ろ盾を無くしたことで、辛い目に合ったことは想像できる。
朱代が手を振りかざすと、再び藤花達は炎に囲まれた。
「無駄だ」
紅鏡に何度も術を消されようと、それに負けず朱代は何度でも術を放ってくる。
「あんた達がいなければ・・・・・・」
「っ」
彼女の手元に、炎や霊力とは異なる白い輝きを見つけ、藤花は息を呑んだ。
(まさか)
どうして朱代が台所から出て来たのか――その答えを察したが、撫子にしがみ付かれて身動きが取れない。
絶えず迫る炎や、絶望の色が見える朱代の表情・・・・・・色々考えてしまって。
(仕方ない、かな)
多少の犠牲もやむなし――それが、自分の使命だと、腹を括った。
「紅鏡、撫子様を絶対に守って」
藤花の言葉に、紅鏡はぴくりと反応する。
「おんし、急にどうし――」
飼い主の行動が予測できなかったのだろう、飼い猫は動きを止めた。
あんぐりと口を開いた顔は、その場に似つかわしくなくて、つい笑ってしまいそうになった。
(撫子様、お許しください)
腰にしがみ付いていた撫子の手を振りほどき、突き飛ばした。
目の前に座るのは、厚い半纏を纏った小柄な老婆。
(危篤状態って噂されていたのは、嘘だったのかしら・・・・・・)
以前と変わらぬ佇まいを見せる水無月家当主を観察しながら、藤花は内心驚いていた。
ぴんと伸びた背筋や鋭い眼差しに、弱々しさは感じられない。
当の本人は『性質の悪い呪いにかかってのぅ』と笑い飛ばしているから、本当に死の淵から復活を遂げたのかもしれないが。
天津家の使用人が血相を変えて飛び込んできたのは、水無月家当主の来訪を知らせるためだった。
渦中の人物の登場に、藤花を始め、その場にいた面々は驚いた。
そして、この邸宅は小さいので、居間で人を寝かすと、当主を招き入れる部屋もない。
仕方がないので、寝込んでいる少女はそのままにして、撫子の私室を使う運びとなってしまった。
当主は従者達を外に待機させ、桐矢、撫子、藤花の四人で輪になる・・・・・・それだけで、部屋が狭い。
「まさか、倅達がここまで拗れていたとはなぁ・・・・・・」
緑茶片手にぽつりと呟く水無月家当主の声には、どこか寂しさを感じた。
水無月の家系は、女子に霊力が高い者が産まれる傾向にあるらしい。
当主の長男や次男より、長女や孫娘達の方が術者として名を上げているとのこと。
次男の方は『仕方がない』と割り切っていたが、長男の方は色々と鬱屈した思いを抱えていたらしく、それが此度の騒動に繋がった――と、水無月家当主は溜め息交じりに語る。
長男には子が二人。
名を元成と朱代という。
朱代の方は幼い頃から優れた霊力を持ち、当主らも目に掛けていた。
だが、それを父と兄は気に入らず、見えぬ所で朱代を虐げていたらしい。
朱代の母――つまり、水無月家当主長男の嫁は早逝しており、朱代は後ろ盾を求めてある令嬢に取り入った。
その令嬢こそが、天津芙蓉・・・・・・式神を従え、天津家でも重要視されていた頃。
力ある令嬢の取り巻きとなることで、朱代は父達から甚振られる事無く平穏を得られたらしい。
しかし、芙蓉が春に問題を起こし取り巻きも含めて叱責を受けたことや、芙蓉が天津家から放逐されたことで朱代も立場を失ったらしい。
これ幸いと父や兄は朱代に暴力を振るい、彼女は半死半生にまで追い込まれた――
(芙蓉様ってそこまで影響力が・・・・・・)
水無月家の当主から真相を聞かされると、何ともやりきれない気持ち。
「うちの馬鹿も関係していたとはなぁ・・・・・・」
桐矢は脱力したように肩を落としている。
「術者の家系は、霊力を重視する・・・・・・儂も長女や孫娘達には色々と手ほどきしておった。それでも、息子達のことを蔑ろにしていたつもりは無かったんだがなぁ」
水無月家では、当主の次に長女が発言権を得ていたが、それを快く思っていなかったのが長男と、次男の嫁だったらしい。
積もりに積もった不満や蟠りが、此度の騒動に繋がったと当主は嘆いていた。
低く見られていた、と日々感じていた次男の嫁が義母に呪いを掛けて謀殺しようと目論んだことが、切っ掛けだったらしい。
当主の手当てに奔走する長女や次男を余所に、長男親子は自分達の地位を確立すべく、優れた婚約者――すなわち撫子の獲得に乗り出したらしい。
放置していた朱代を利用し、強引に婚約を迫る――そのような手段がまかり通るわけではないので、彼等は水無月家内で罰を待っているとのこと。
「許してくれとは言わん。それ相応の賠償も払うでな」
身内のことに心を砕きたいのに、他家との折衝までこなさなければならないのは、当主の辛い所なのだろう。
気落ちした老婆を前に、藤花は何も言えなかった。
撫子を甚振ったことのある少女、言いたいことが無いわけでもない。
しかし、あそこまで傷付いた姿を見ては、どのようにも言えない。
(水無月家に何か言えるのは、撫子様の方だし)
そんな気持ちで主人の方を見るが。
「全て、当主の・・・・・・代行である兄達に任せます」
撫子は、感情を出さずに、そう答えるだけだった。
『詳しい話は大人同士で』と、藤花達は部屋を出された。
・・・・・・撫子の部屋なのに。
「・・・・・・どうすればいいか分からないの」
自室を出て数歩、廊下を歩く途中で撫子は呟いた。
「あの子達のことは好きになれないけど、あんな目に合って欲しかったわけじゃないし・・・・・・あの子も、必死だったんだって知っちゃったし・・・・・・」
そんな撫子を慰めるように、藤花はそっと頭を撫でた。
撫子はまだ十歳の少女であるし、術者の世界に足を入れたばかり。
色々な柵など、これから学んで行けばいいのだから。
「私は居間に行きますけど、お嬢様は台所でお茶でも――」
朱代の顔を見るのも辛いだろうと、藤花は撫子を台所に送るつもりだった。
だから、その台所の扉を開けて、件の少女が顔を出すなんて予想していなかったし。
彼女が、憎悪に満ちた顔で此方を見ているなんて、予想もしていなかった。
「あんた達の所為で・・・・・・」
「ひっ」
思わず顔を背けたくなるような形相であった。
撫子は藤花の腰にしがみ付き、朱代の顔を見ないようにしている。
そんな此方の様子など気にも留めず、朱代は両手を翳す。
目も眩むほどの強い光は、彼女の怒りを表すような紅蓮の色。
その光にも負けぬ輝きを帯びた炎は、藤花達を包み込んだ。
「下らんことをっ」
すかさず紅鏡が炎の中に飛び込むと、何事も無かったかのようにそれは消えた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「・・・・・・うん」
皮膚に少しちりつくような熱さは感じたし、狭い廊下も少し焦げた跡は残るが、撫子に怪我が無さそうなので、一先ずは安心した。
「どうした!?」
「朱代、何をしておる!?」
騒ぎが聞こえたらしく、撫子の部屋から二人が出てくる物音も聞こえる。
「あんた達がいたから、みんな・・・・・・なくなっちゃったじゃない」
朱代の方は周囲の声も聞かず、ただ、此方を見つめながら『あんた達が』と呟き続けている。
彼女の事情は与り知らぬが、芙蓉の後ろ盾を無くしたことで、辛い目に合ったことは想像できる。
朱代が手を振りかざすと、再び藤花達は炎に囲まれた。
「無駄だ」
紅鏡に何度も術を消されようと、それに負けず朱代は何度でも術を放ってくる。
「あんた達がいなければ・・・・・・」
「っ」
彼女の手元に、炎や霊力とは異なる白い輝きを見つけ、藤花は息を呑んだ。
(まさか)
どうして朱代が台所から出て来たのか――その答えを察したが、撫子にしがみ付かれて身動きが取れない。
絶えず迫る炎や、絶望の色が見える朱代の表情・・・・・・色々考えてしまって。
(仕方ない、かな)
多少の犠牲もやむなし――それが、自分の使命だと、腹を括った。
「紅鏡、撫子様を絶対に守って」
藤花の言葉に、紅鏡はぴくりと反応する。
「おんし、急にどうし――」
飼い主の行動が予測できなかったのだろう、飼い猫は動きを止めた。
あんぐりと口を開いた顔は、その場に似つかわしくなくて、つい笑ってしまいそうになった。
(撫子様、お許しください)
腰にしがみ付いていた撫子の手を振りほどき、突き飛ばした。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
四葩の華獄 形代の蝶はあいに惑う
響 蒼華
キャラ文芸
――そのシアワセの刻限、一年也。
由緒正しき名家・紫園家。
紫園家は、栄えると同時に、呪われた血筋だと囁かれていた。
そんな紫園家に、ある日、かさねという名の少女が足を踏み入れる。
『蝶憑き』と不気味がる村人からは忌み嫌われ、父親は酒代と引き換えにかさねを当主の妾として売った。
覚悟を決めたかさねを待っていたのは、夢のような幸せな暮らし。
妾でありながら、屋敷の中で何よりも大事にされ優先される『胡蝶様』と呼ばれ暮らす事になるかさね。
溺れる程の幸せ。
しかし、かさねはそれが与えられた一年間の「猶予」であることを知っていた。
かさねにだけは不思議な慈しみを見せる冷徹な当主・鷹臣と、かさねを『形代』と呼び愛しむ正妻・燁子。
そして、『花嫁』を待っているという不思議な人ならざる青年・斎。
愛し愛され、望み望まれ。四葩に囲まれた屋敷にて、繰り広げられる或る愛憎劇――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
~巻き込まれ少女は妖怪と暮らす~【天命のまにまに。】
東雲ゆゆいち
ライト文芸
選ばれた七名の一人であるヒロインは、異空間にある偽物の神社で妖怪退治をする事になった。
パートナーとなった狛狐と共に、封印を守る為に戦闘を繰り広げ、敵を仲間にしてゆく。
非日常系日常ラブコメディー。
※両想いまでの道のり長めですがハッピーエンドで終わりますのでご安心ください。
※割りとダークなシリアス要素有り!
※ちょっぴり性的な描写がありますのでご注意ください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜
菰野るり
キャラ文芸
皇帝陛下はお年頃。
まわりは縁談を持ってくるが、どんな美人にもなびかない。
なんでも、3年前に一度だけ出逢った忘れられない女性がいるのだとか。手がかりはなし。そんな中、皇太后は自ら街に出て息子の嫁探しをすることに!
この物語の皇太后の名は雲泪(ユンレイ)、皇帝の名は堯舜(ヤオシュン)です。つまり【後宮物語〜身代わり宮女は皇帝陛下に溺愛されます⁉︎〜】の続編です。しかし、こちらから読んでも楽しめます‼︎どちらから読んでも違う感覚で楽しめる⁉︎こちらはポジティブなラブコメです。
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる