16 / 72
第二章 花散る所の出涸らし姫
六、絶たれていた温もり
しおりを挟む
「どうして・・・・・・邪魔をするの・・・・・・」
藤花達が騒ぎを起こしていた時も、撫子は浴槽で座したままであった。
とにかく、体を温めないと――と、藤花が抱え上げて部屋まで運ぶ途中、ぽつりと呟いた。
体を拭いている時、彼女は静かに涙を流していた。
「私は・・・・・・出涸らしだから・・・・・・役目を果たすために・・・・・・霊力を得ないといけないのに・・・・・・」
「・・・・・・でも、先に死んじゃうんじゃ・・・・・・」
新しい服を撫子に着せている最中、譫言のように呟いていた彼女に反応する。
このような劣悪な環境で、よく今まで生きていたものだ――と、藤花は思う。
「なあ、ちっこい姫」
傍に座っていた紅鏡が口を開く。
「そこの馬毛の言葉が正しいぞ。霊力とは、術者の生命力や気力が合わさったもの・・・・・・今の其方は、確かに『出涸らし』だ」
(失礼な猫ちゃんねぇ)
遠慮のない物言いを聞いて藤花が抗議する前に、紅鏡が尻尾で隅を指し示す。
そこには、組紐の台座がおかれていた。
「其方は、常に力を吸い上げられている状態、謂わば搾りかすのようなもの・・・・・・このまま続けていたら死ぬぞ」
(うんうん、そうよね)
内容はよく理解していないが、『死ぬぞ』という紅鏡の言葉には同意できる。
しかし、二者の視線を受けた撫子は、ゆっくり頷くだけであった。
「・・・・・・死んでもいいわ」
「私、産まれた時から無能で・・・・・・お母様を泣かせてばかりで・・・・・・お兄様やお姉様にも嫌われて・・・・・・お父様も、私を見限って会いに来てくれないの・・・・・・だから、いなくなった方が・・・・・・」
「え、そんな事言わないで」
思わず、撫子の手を取る。
「良夜様や、霜凪葵様は、撫子様のことを心配しているのですよ? だから、私が雇われたんです」
藤花の言葉に、撫子は目を丸くした。
「葵様が・・・・・・? あの方は、私みたいな無能がいる家に嫁ぐのは嫌だと言っているって・・・・・・だから、良夜お兄様も仕方なく、私の成長を確認しに来ているって・・・・・・使用人が・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
撫子が思わず謝ったのは、藤花の怒りを察したからであろう。
(今度出会ったら塩水をかけて差し上げるわ)
本当に悍ましいのは魑魅魍魎より人間ではないのか・・・・・・藤花の、天津家への信用は地に落ちていた。
「まあ、とにかく、撫子様は、まず健康になることから始めましょう!」
「え、は、はい」
藤花の気迫に押されたのか、撫子が恐る恐る頷く。
「私はお風呂を沸かしてみるから、取りあえずは・・・・・・」
(待っている間に、食べてもらおうかしら)
自分の持ってきた荷物の中から、おにぎりの包みを撫子に差し出した。
「うちの余りでつくったおにぎりで・・・・・・中身も出し殻の昆布と鰹節なのですけど・・・・・・」
お嬢様に残り物をお渡しするなんて・・・・・・という罪悪感もあり、少ししどろもどろになってしまう。
しかし、当の撫子は、目を丸くして二つの塊を見つめていた。
「これが、おにぎり? 私、食べたことがないの」
(え、そうなの?)
まさか、天津家にいた時も、あんな薄い粥だけで過ごしていたのか――藤花は内心嘆いた。
(いいお家のはずなのに、私よりも貧相な食生活しているじゃない)
撫子は躊躇う様子を見せていたが、一つを手に取って、恐る恐る口に入れる。
ほんの少し、口の中で咀嚼していたかと思えば、次からは勢いよく噛り付いた。
出された水を飲みながら、あっという間に一つ目を平らげていた。
「う・・・・・・うっ」
その瞳からは、大きな雫が。
「穢れを取り込むことはいけないって・・・・・・食べ過ぎたらいけないって・・・・・・思っているのに・・・・・・でも、美味しいの・・・・・・」
嗚咽が止まらぬ撫子の膝の上に、紅鏡がそっと乗る。
「それで良い。心を込めてつくった物には力が宿る・・・・・・其方が編んだ組紐のように・・・・・・この馬毛の世話を受け、こいつの霊力を取り込め。それが其方の力になる」
尻尾で撫子の目元を拭う姿に、少し前の事を思い出す。
(何だかんだ、優しい猫ちゃんねぇ)
先程、人間を害するような強い術を使っていた猫とは思えない。
ここは飼い猫に任せていいだろうと判断し、藤花は部屋を後にした。
風呂の沸かし、夕飯の準備も必要。
それに――
紅鏡がちらりと、『我の飯はないのか?』と言いたげな目で此方を見ていたからだ。
そんな仕草をされると、藤花も空腹を思い出す。
(ま、私達はふかし芋でも食べましょ)
「わ、私が、入ってもいいの?」
湯を沸かした浴槽を、撫子は恐る恐る見つめていた。
「勿論です、ささ、どうぞ」
藤花に背を押され、撫子は帯に手を掛ける。
じろじろ見ては失礼かと、藤花は風呂場を後にした。
着替えさせた時に確認したが、撫子の体に傷跡のようなものは殆ど見られなかった。
肩口の所に、古い、痣とも火傷跡とも判別つきにくい小さな何かがあったのみ。
暴力の類を受けていないことは、救いであった。
(まあ、許せるわけではないけど)
天津家の仕打ちには、本当に腹が立つ。
(この家ぐらいは、撫子様の過ごしやすいように整えないと・・・・・・葵様にお手紙を出して・・・・・・)
色々と思案しつつ、火の様子を確認しに屋外へと向かう。
途中、紅鏡の耳がぴくりと動いた。
「・・・・・・来たか」
「何が?」
「・・・・・・雌猫が・・・・・・五匹ぐらいおるかの」
(化け猫って、他の猫ちゃんの気配も分かるのね)
のんびりと考えていると、紅鏡は門扉の方へと向かっていた。
「少し遊んでくるぞ」
そう呟くと、軽々と門扉を越えて出て行った。
(不潔だわ)
女性と、しかも五人を相手にだなんて――なんて悍ましい。
藤花は、過去の事もあり、少々潔癖すぎるきらいがあった。
そんな汚らわしいことはさっさと忘れ、藤花は作業に取り組むことにした。
この邸宅はかなり昔に建てられたらしく、水回りの近代化がなされていない。
撫子に湯加減を確認しつつ、薪の在庫を確認していると――
「何かしら?」
猫の鳴き声とも、女性の叫び声とも、何とも判別しづらい声が聞こえた。
方角は門扉のある所。
先程、紅鏡が出て行った場所。
「何よこれ!?」
「やめなさーい!」
近付くにつれ、声の内容がはっきりと聞こえてくるようになる。
どうやら、猫ではなく女性・・・・・・しかも、聞き覚えのある声も。
(さっきの人達かしら)
門扉を少し開け、そっと覗くと――
「お、覚えてなさーい!」
女性達が、何かに怯えるように逃げ去って行く所であった。
数は五人。皆が服や髪の一部を焦がしている。
「ふん、つまらん」
藤花の足元には、欠伸をする紅鏡の姿。
「ひょっとして・・・・・・あの人達、戻って来たの?」
後ろ姿と声で、先程の使用人達がいたことを察する。
「ああ、小賢しく仲間を引き連れてな」
何事も無かったかのように紅鏡は笑う。
(お家を守っていてくれたのね・・・・・・)
しかし、五人が相手でも敵わないとは――
「貴方って本当に凄いのね・・・・・・」
「そうとも。我は大陸の帝を誑かした女狐を征伐したこともあるからな」
「すごい・・・・・・うん、すごい」
(・・・・・・疑ってごめんなさい)
感謝と謝罪の意を込めて、紅鏡の頭を撫で続けた。
藤花達が騒ぎを起こしていた時も、撫子は浴槽で座したままであった。
とにかく、体を温めないと――と、藤花が抱え上げて部屋まで運ぶ途中、ぽつりと呟いた。
体を拭いている時、彼女は静かに涙を流していた。
「私は・・・・・・出涸らしだから・・・・・・役目を果たすために・・・・・・霊力を得ないといけないのに・・・・・・」
「・・・・・・でも、先に死んじゃうんじゃ・・・・・・」
新しい服を撫子に着せている最中、譫言のように呟いていた彼女に反応する。
このような劣悪な環境で、よく今まで生きていたものだ――と、藤花は思う。
「なあ、ちっこい姫」
傍に座っていた紅鏡が口を開く。
「そこの馬毛の言葉が正しいぞ。霊力とは、術者の生命力や気力が合わさったもの・・・・・・今の其方は、確かに『出涸らし』だ」
(失礼な猫ちゃんねぇ)
遠慮のない物言いを聞いて藤花が抗議する前に、紅鏡が尻尾で隅を指し示す。
そこには、組紐の台座がおかれていた。
「其方は、常に力を吸い上げられている状態、謂わば搾りかすのようなもの・・・・・・このまま続けていたら死ぬぞ」
(うんうん、そうよね)
内容はよく理解していないが、『死ぬぞ』という紅鏡の言葉には同意できる。
しかし、二者の視線を受けた撫子は、ゆっくり頷くだけであった。
「・・・・・・死んでもいいわ」
「私、産まれた時から無能で・・・・・・お母様を泣かせてばかりで・・・・・・お兄様やお姉様にも嫌われて・・・・・・お父様も、私を見限って会いに来てくれないの・・・・・・だから、いなくなった方が・・・・・・」
「え、そんな事言わないで」
思わず、撫子の手を取る。
「良夜様や、霜凪葵様は、撫子様のことを心配しているのですよ? だから、私が雇われたんです」
藤花の言葉に、撫子は目を丸くした。
「葵様が・・・・・・? あの方は、私みたいな無能がいる家に嫁ぐのは嫌だと言っているって・・・・・・だから、良夜お兄様も仕方なく、私の成長を確認しに来ているって・・・・・・使用人が・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
撫子が思わず謝ったのは、藤花の怒りを察したからであろう。
(今度出会ったら塩水をかけて差し上げるわ)
本当に悍ましいのは魑魅魍魎より人間ではないのか・・・・・・藤花の、天津家への信用は地に落ちていた。
「まあ、とにかく、撫子様は、まず健康になることから始めましょう!」
「え、は、はい」
藤花の気迫に押されたのか、撫子が恐る恐る頷く。
「私はお風呂を沸かしてみるから、取りあえずは・・・・・・」
(待っている間に、食べてもらおうかしら)
自分の持ってきた荷物の中から、おにぎりの包みを撫子に差し出した。
「うちの余りでつくったおにぎりで・・・・・・中身も出し殻の昆布と鰹節なのですけど・・・・・・」
お嬢様に残り物をお渡しするなんて・・・・・・という罪悪感もあり、少ししどろもどろになってしまう。
しかし、当の撫子は、目を丸くして二つの塊を見つめていた。
「これが、おにぎり? 私、食べたことがないの」
(え、そうなの?)
まさか、天津家にいた時も、あんな薄い粥だけで過ごしていたのか――藤花は内心嘆いた。
(いいお家のはずなのに、私よりも貧相な食生活しているじゃない)
撫子は躊躇う様子を見せていたが、一つを手に取って、恐る恐る口に入れる。
ほんの少し、口の中で咀嚼していたかと思えば、次からは勢いよく噛り付いた。
出された水を飲みながら、あっという間に一つ目を平らげていた。
「う・・・・・・うっ」
その瞳からは、大きな雫が。
「穢れを取り込むことはいけないって・・・・・・食べ過ぎたらいけないって・・・・・・思っているのに・・・・・・でも、美味しいの・・・・・・」
嗚咽が止まらぬ撫子の膝の上に、紅鏡がそっと乗る。
「それで良い。心を込めてつくった物には力が宿る・・・・・・其方が編んだ組紐のように・・・・・・この馬毛の世話を受け、こいつの霊力を取り込め。それが其方の力になる」
尻尾で撫子の目元を拭う姿に、少し前の事を思い出す。
(何だかんだ、優しい猫ちゃんねぇ)
先程、人間を害するような強い術を使っていた猫とは思えない。
ここは飼い猫に任せていいだろうと判断し、藤花は部屋を後にした。
風呂の沸かし、夕飯の準備も必要。
それに――
紅鏡がちらりと、『我の飯はないのか?』と言いたげな目で此方を見ていたからだ。
そんな仕草をされると、藤花も空腹を思い出す。
(ま、私達はふかし芋でも食べましょ)
「わ、私が、入ってもいいの?」
湯を沸かした浴槽を、撫子は恐る恐る見つめていた。
「勿論です、ささ、どうぞ」
藤花に背を押され、撫子は帯に手を掛ける。
じろじろ見ては失礼かと、藤花は風呂場を後にした。
着替えさせた時に確認したが、撫子の体に傷跡のようなものは殆ど見られなかった。
肩口の所に、古い、痣とも火傷跡とも判別つきにくい小さな何かがあったのみ。
暴力の類を受けていないことは、救いであった。
(まあ、許せるわけではないけど)
天津家の仕打ちには、本当に腹が立つ。
(この家ぐらいは、撫子様の過ごしやすいように整えないと・・・・・・葵様にお手紙を出して・・・・・・)
色々と思案しつつ、火の様子を確認しに屋外へと向かう。
途中、紅鏡の耳がぴくりと動いた。
「・・・・・・来たか」
「何が?」
「・・・・・・雌猫が・・・・・・五匹ぐらいおるかの」
(化け猫って、他の猫ちゃんの気配も分かるのね)
のんびりと考えていると、紅鏡は門扉の方へと向かっていた。
「少し遊んでくるぞ」
そう呟くと、軽々と門扉を越えて出て行った。
(不潔だわ)
女性と、しかも五人を相手にだなんて――なんて悍ましい。
藤花は、過去の事もあり、少々潔癖すぎるきらいがあった。
そんな汚らわしいことはさっさと忘れ、藤花は作業に取り組むことにした。
この邸宅はかなり昔に建てられたらしく、水回りの近代化がなされていない。
撫子に湯加減を確認しつつ、薪の在庫を確認していると――
「何かしら?」
猫の鳴き声とも、女性の叫び声とも、何とも判別しづらい声が聞こえた。
方角は門扉のある所。
先程、紅鏡が出て行った場所。
「何よこれ!?」
「やめなさーい!」
近付くにつれ、声の内容がはっきりと聞こえてくるようになる。
どうやら、猫ではなく女性・・・・・・しかも、聞き覚えのある声も。
(さっきの人達かしら)
門扉を少し開け、そっと覗くと――
「お、覚えてなさーい!」
女性達が、何かに怯えるように逃げ去って行く所であった。
数は五人。皆が服や髪の一部を焦がしている。
「ふん、つまらん」
藤花の足元には、欠伸をする紅鏡の姿。
「ひょっとして・・・・・・あの人達、戻って来たの?」
後ろ姿と声で、先程の使用人達がいたことを察する。
「ああ、小賢しく仲間を引き連れてな」
何事も無かったかのように紅鏡は笑う。
(お家を守っていてくれたのね・・・・・・)
しかし、五人が相手でも敵わないとは――
「貴方って本当に凄いのね・・・・・・」
「そうとも。我は大陸の帝を誑かした女狐を征伐したこともあるからな」
「すごい・・・・・・うん、すごい」
(・・・・・・疑ってごめんなさい)
感謝と謝罪の意を込めて、紅鏡の頭を撫で続けた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
※5話は3/9 18時~より投稿します。間が空いてすみません…
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。
視える宮廷女官 ―霊能力で後宮の事件を解決します!―
島崎 紗都子
キャラ文芸
父の手伝いで薬を売るかたわら 生まれ持った霊能力で占いをしながら日々の生活費を稼ぐ蓮花。ある日 突然襲ってきた賊に両親を殺され 自分も命を狙われそうになったところを 景安国の将軍 一颯に助けられ成り行きで後宮の女官に! 持ち前の明るさと霊能力で 後宮の事件を解決していくうちに 蓮花は母の秘密を知ることに――。

魔法使いの名付け親
玉響なつめ
キャラ文芸
母子家庭で育った女子高生の柏木可紗は、ある日突然、母を亡くした。
そんな彼女の元に現れたのは、母親から聞いていた彼女の名付け親。
『大丈夫よ、可紗。貴女の名前はね、ロシアの魔法使いにつけてもらったんだから!』
母親に頼まれていたと語る不思議な女性、ジルニトラとその執事により身寄りもない可紗は彼らと暮らすことになる。
そして、母親の死をゆっくりと受け入れ始め、彼らとの新しい『家族』のカタチを模索していると――?
魔法使いと、普通の女子高生が織りなす穏やかな物語。
今まで気づかなかった世界に気がついた時、彼女は自分の中で閉じ込めていた夢を再び取り戻す。
※小説家になろう にも同時掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる