1 / 1
幻花啼鳥
しおりを挟む初春の清けき朝を行く鶴の空を割くごと言祝ぎのうた
朝露の夢む世界の幸福は白鷺の立つ田野の果てに
子を連れて蒲公英を食む寒立馬天つ御空に明日を願ひて
なまめかし梅雨の初めのかきつばた茎の緑の艶やかなれば
月影に蓮華の開く夏端月こだちに響く誰の子守唄
瑠璃びたき青葉若葉の陰に立ち微睡を呼ぶ風を眺めん
片時雨甘く匂える藤浪の下で乙女は天使と踊る
夏未明ひかり遥けし蒼穹に憧る鳥の声よ遥々
梟の独り言ちたる恋ごころ深山嫁菜は忍び咲きたり
卯の花の揺るる岬に鳴き交わす磯鵯は黎明に恋う
雨催い口を開いた燕の子我よ我よと甘えた声で
口づけをねだる雲雀は花笑みの絶佳に夢の中と知りつつ
旅をする冠鷲よ藍色の小さな花はあなたを待つの
日の暮れて寂しさ匂う畦道に二羽の雀が吾を慰む
風吹いて燕の低く飛び行けば雨降り花は雨を待ち待ち
ブランコは野良猫のもの麗春の小夜にひときわ花影の静か
零れ梅はらり繍眼児は声もなく梢にぽつり恋の終わりに
黄梅の棟に虚空のさんざめく涙も果ててしまえる朝は
もう生きられぬとぞ思ふ悲しみをかき消すがごと花錦かな
西風の冷たき朝に花見鳥月淡く添う空の深さよ
枯れ尾花かきわけ行けば庵室あり祭囃子の遠く聞こゆる
秋爽や色なき風と花すすき鴫は河原に別れを告げて
賑やかに波間を染める朝焼けを眺めつくした鷗はうたう
人知れず瑞花の微笑ささやかに海のあちらに光芒のさす
雲そめし逢魔が時の山並みに飛ぶは一羽の八咫烏かな
見上げれば星冴え冴えと穏やかに川辺に憩う合鴨の群れ
切り株に白鶺鴒の眠る庭乙女椿の円かなるかな
爛漫と誇る桜を隠すように春の霙は淑やかにふる
湖の月凪ぎて密かにとこしえの花の咲くらむ鳥の鳴くらむ
咲き匂う桃源郷を裂くように夢幻の空に鶏が啼く
1
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる