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ハードモードすぎて辛い。
親子の仲を。
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ジオルド アルマディカ。
俺の記憶が正しければ、いずれ、業火の道化師って呼ばれ、その名を世界に轟かせる。はずだ。
なぜ思い出したか?妹が飯の時に
「ジオルド様の攻略ができなくてオールしちゃったよぉ。あの人攻略対象だけど学生じゃないから接点作りにくくて難しいのぉ!お兄ぃきいてよ!ジオルド様はいつもニコニコしてるけど、幼い頃に訳があって…」
とまぁ、飯を食い終わるまでひたすら語っている時があった。残念なことに、興味が無かった俺は、テキトーに聞き流しながら頃合いを見て
「綾音、時間は大丈夫?学校遅刻しちゃうんじゃない?」
と言ってその場を切り抜けた記憶がある。今となってはなぜ聞いてなかったのか、本当に後悔だ。
「あークソっ!初手からヤバそうなやつ引く俺ヤバすぎだろぉ!しかも身内だろ?てか、身内とくっつきたがってる奴を、俺が邪魔する理由あんのか?無いよな?ほんと全ルートやっときゃ良かったぁ!BLゲーム理解できねぇ!」
と、朝っぱらから唸る俺。
あの後ジオルドは用事があるからと、どこかに行ってしまった。
それにしてもゲームの作者よ、悪役令息の身内に攻略対象を作る意味がわからない。
「リンシャ様、失礼します。」
「カーナ、何か用か、俺は今すっごく重要な悩み事をしていてだな…」
渋い顔でキメる俺を無視し、カーナは話し始める。
「ジス様がお帰りになられました。色々改めて話がしたいから書斎に来てくれだそうですよ。」
なるほどな。確かにエミリーの1件の後顔が合わせてなかった。
「わかった。行くよ。」
と言う訳で、今現在、ジスの書斎なうである。
難しそうな顔をするジス。
「ッ……」
これは、どう話を切り出せばいいのか迷っている人間の顔である。俺にはわかる。
しょうがない。
「父上、話とはなんでしょうか?」
俺、なんと優しい事か。
思ったのだが、ジスは精神面が幼い。
きっと物心ついた時から、公爵家の跡取りとして、色んなことを叩き込まれてきたがその結果として、心の成長が乏しいと見た。可哀想だ。
…ま、俺もじゅーぶんに可哀想だがな?
「そ、その……今まで気がついてやれなくて、本当にすまんかった。」
まぁ、大体予想はついていた。このタイミングで俺を呼び、謝らない方が不思議なくらいではないだろうか。
「父上、お顔をあげてください。私は別に気にしていませんよ。全部エミリーの悪魔のせいだったのでしょう?」
「しかし、お前を壊れてしまうまで放置してしまった私は、もう父として…」
ジスはまるで子供のようだった。
子供の様な当主に、悪魔と契約していた妻、悪魔と契約させられた長男に、白豚引きこもり次男。訳アリの塊みたいじゃねーか。こんなのが公爵家で大丈夫なのか?と心配したくなる。俺が言えたことじゃないが。
そんなことを考えながら、ジスの顔を見た俺は、一気にジスの顔に引き込まれる。
「父上?失礼ながら、泣いておられます…か?」
「す、すまない、大の大人がこんな状態で、本当にダメな父親なんだ…」
そう嘆くジスから目が離せなかった。
ジスの背後にある大きな窓から差し込む月明かりと、机に置かれたロウソクの柔らかな光に、ジスの真っ赤な瞳と流れる涙が照らされて煌めきを放っていた。
(あぁ、これ多分ゲームだったらスチルになってるんだろうな。)
心なしか、エミリーからの催眠が解けた影響で、前よりも一段と瞳が澄んで見える。
「わ、私の顔になにかついているか?」
「あ、いえ、すみません。あまりにも父上が綺麗だったもので。」
本心である。
こんな純粋な人を、あそこまで落としいれた悪魔の事が、家族として本当に許せないとおもった。
この時点で、ジスへの嫌悪感は無くなっていた。
「ッ……リンシャ、お前は本当に、いい子に育ったんだな。」
「えぇ、父上の子ですから。」
こうして、長年凍りついていた親子の絆が元に戻り始めたのである。
俺の記憶が正しければ、いずれ、業火の道化師って呼ばれ、その名を世界に轟かせる。はずだ。
なぜ思い出したか?妹が飯の時に
「ジオルド様の攻略ができなくてオールしちゃったよぉ。あの人攻略対象だけど学生じゃないから接点作りにくくて難しいのぉ!お兄ぃきいてよ!ジオルド様はいつもニコニコしてるけど、幼い頃に訳があって…」
とまぁ、飯を食い終わるまでひたすら語っている時があった。残念なことに、興味が無かった俺は、テキトーに聞き流しながら頃合いを見て
「綾音、時間は大丈夫?学校遅刻しちゃうんじゃない?」
と言ってその場を切り抜けた記憶がある。今となってはなぜ聞いてなかったのか、本当に後悔だ。
「あークソっ!初手からヤバそうなやつ引く俺ヤバすぎだろぉ!しかも身内だろ?てか、身内とくっつきたがってる奴を、俺が邪魔する理由あんのか?無いよな?ほんと全ルートやっときゃ良かったぁ!BLゲーム理解できねぇ!」
と、朝っぱらから唸る俺。
あの後ジオルドは用事があるからと、どこかに行ってしまった。
それにしてもゲームの作者よ、悪役令息の身内に攻略対象を作る意味がわからない。
「リンシャ様、失礼します。」
「カーナ、何か用か、俺は今すっごく重要な悩み事をしていてだな…」
渋い顔でキメる俺を無視し、カーナは話し始める。
「ジス様がお帰りになられました。色々改めて話がしたいから書斎に来てくれだそうですよ。」
なるほどな。確かにエミリーの1件の後顔が合わせてなかった。
「わかった。行くよ。」
と言う訳で、今現在、ジスの書斎なうである。
難しそうな顔をするジス。
「ッ……」
これは、どう話を切り出せばいいのか迷っている人間の顔である。俺にはわかる。
しょうがない。
「父上、話とはなんでしょうか?」
俺、なんと優しい事か。
思ったのだが、ジスは精神面が幼い。
きっと物心ついた時から、公爵家の跡取りとして、色んなことを叩き込まれてきたがその結果として、心の成長が乏しいと見た。可哀想だ。
…ま、俺もじゅーぶんに可哀想だがな?
「そ、その……今まで気がついてやれなくて、本当にすまんかった。」
まぁ、大体予想はついていた。このタイミングで俺を呼び、謝らない方が不思議なくらいではないだろうか。
「父上、お顔をあげてください。私は別に気にしていませんよ。全部エミリーの悪魔のせいだったのでしょう?」
「しかし、お前を壊れてしまうまで放置してしまった私は、もう父として…」
ジスはまるで子供のようだった。
子供の様な当主に、悪魔と契約していた妻、悪魔と契約させられた長男に、白豚引きこもり次男。訳アリの塊みたいじゃねーか。こんなのが公爵家で大丈夫なのか?と心配したくなる。俺が言えたことじゃないが。
そんなことを考えながら、ジスの顔を見た俺は、一気にジスの顔に引き込まれる。
「父上?失礼ながら、泣いておられます…か?」
「す、すまない、大の大人がこんな状態で、本当にダメな父親なんだ…」
そう嘆くジスから目が離せなかった。
ジスの背後にある大きな窓から差し込む月明かりと、机に置かれたロウソクの柔らかな光に、ジスの真っ赤な瞳と流れる涙が照らされて煌めきを放っていた。
(あぁ、これ多分ゲームだったらスチルになってるんだろうな。)
心なしか、エミリーからの催眠が解けた影響で、前よりも一段と瞳が澄んで見える。
「わ、私の顔になにかついているか?」
「あ、いえ、すみません。あまりにも父上が綺麗だったもので。」
本心である。
こんな純粋な人を、あそこまで落としいれた悪魔の事が、家族として本当に許せないとおもった。
この時点で、ジスへの嫌悪感は無くなっていた。
「ッ……リンシャ、お前は本当に、いい子に育ったんだな。」
「えぇ、父上の子ですから。」
こうして、長年凍りついていた親子の絆が元に戻り始めたのである。
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