6 / 21
ハードモードすぎて辛い。
前世でBLノベルゲームプレイしたことある気がする俺。
しおりを挟む
結局の所、最後まで読んだ。ぶっ通しで夜中に読んだ。
普通に面白かったのだ。
「不覚にもキュンとした…」
いや俺何言ってんの、無いから、全然ありえないから。
何とも自分のチョロさにため息がでる。
あれ、前にも確かこんなことがあったような。なんだっけ、思い出せ俺……
「ん、なんだこれ。」
たまたま学校が休みだった春乃は、朝ポストを確認すると何か入っているのを発見した。
「王立エリアス魔法学園!ネバーランド物語……?なんだそれ、やたらとカタカナと漢字を混ぜるじゃないか。」
どうやら学園物のノベルゲームの様だ。
春乃は暇だったのでそのゲームをプレイしてみることにした。
「うぅ、なんて良い奴なんだ!王子ぃ!こんな俺を褒めてくれるのかぁ!」
この男、泣いている。ちょろい。
主人公がどんなに失敗してもカバーをし、慰めてくれる。成功したらそりゃもう信じられないくらい褒める。
春乃のメンタルはほぼ死んでいた。忙しい家族に心配かけまいと普通にしているが、一人の時は完全な鬱だった。
そんな彼に、全肯定してくれる王子は刺さる。
「俺男だけど、王子惚れたよ!ん、まてよ?俺、男、主人公の一人称、俺…」
今までなんの違和感も感じていなかったが、今になって気がついたようだ。
そう。王子も、主人公も、皆男である。
「……BLゲーム、?」
衝撃を受けた。
今まで乙女ゲームだと思っていた。
随分とボーイッシュな主人公だと思っていた。
まぁ、面白かったのは事実なので気にするのを辞めることにした。
「にしてもこの悪役令息、救いようがないな、頭弱そうだし。典型的な当て馬って感じ。」
そんなことを考えていたら、下の階が騒がしい。
何かあったのかと思ったら、誰かが階段をのぼってきて俺の部屋のドアを叩いた。
「お兄ぃ!開けるよ!」
なんとも慌てた表情でドアを開けたのは妹だった。
両者の間に気まずい空気が流れる。
まぁそうだろう。なんたって自分の兄がBLゲームをプレイしていたわけだ。
気まずい。非常に気まずい。
「お、お兄ぃ、そのゲーム、お、面白かった…?」
恐る恐る口を開く妹。
もしかしたらこれは妹のゲームだったのかもしれない。
「そうだね。面白かったよ。特にこの王子。俺は好きだよ。」
春乃は意地でも可愛い妹の前では、爽やかなイケメンのイメージを崩すまいと爽やかに返した。
この男、シスコンである。
春乃の返事を聞き、どこかほっとした様子の妹を見て自身も一息つく。
「そ、そっかぁ!お兄ぃはヴィクトル王子が好みなのかぁ!い、意外だなぁ!」
その後も妹は早口で語る。
どうやらヴィクトル王子は王道キラキラ王子様なため、属性完全丸かぶりな兄とは合わなさそうだ。と言う事らしい。
しかし春乃の本質は、キラキラ王子なんかと程遠い、根暗なメンヘラとでも言っておこうか。とりあえずキラキラしてるのは人前だけである。
「そう言う綾音は、誰が好みなんだい?」
少し気になったので聞いてみた。
そしたらこちらも意外な返事が。
「わ、私はリンシャ様が好きだよ!まぁ、王子ルートしかやってないお兄ぃには理解し難いかなw」
その後も妹はブツブツとリンシャ様とやらの事を話している。隠しルートが~、とか、元がいいから痩せたら死ぬほど美人で~、とか、声が小さかったのであまり聞こえなかった。
しかし驚いた。あの白豚が好きだと、妹もしかしてデブ専だったの!?とか考えてしまった春乃。
直ぐにそんな考えを捨て去る。
「そうか、綾音の好きなキャラクターならさぞかし素敵なキャラなんだろうね。」
「そ、そうだね!ま、まぁなに?、それ私のなんだけどお兄ぃがまたやりたいならまた貸してあげるよ!うん!なんなら持ってて!」
そう言い残して妹は春乃の部屋を出ていった。
「綾音、いわゆる腐女子ってやつだったのか……?」
そんなことを考えながらキャラ紹介に目を通す。そんな事をしていたら寝落ちしていた。
「あの後結局学校忙しくなっちゃって、ゲームの続き、やれなかったな。」
そんな前世を思い出し、元の世界に帰りたいなと感傷に浸る俺。
しかし数秒後、俺は後悔する。なんでしっかりあのゲームをやらなかったのかと。
「ん?王立エリアス魔法学園?白豚リンシャ?……えええ!!!」
今更になって気がついた。6年間もその事に気が付かずに生活していた自分が恐ろしい。
そう、俺は前世でプレイした事のあるBLゲームの世界に、しかも悪役令息に転生していたのである。
普通に面白かったのだ。
「不覚にもキュンとした…」
いや俺何言ってんの、無いから、全然ありえないから。
何とも自分のチョロさにため息がでる。
あれ、前にも確かこんなことがあったような。なんだっけ、思い出せ俺……
「ん、なんだこれ。」
たまたま学校が休みだった春乃は、朝ポストを確認すると何か入っているのを発見した。
「王立エリアス魔法学園!ネバーランド物語……?なんだそれ、やたらとカタカナと漢字を混ぜるじゃないか。」
どうやら学園物のノベルゲームの様だ。
春乃は暇だったのでそのゲームをプレイしてみることにした。
「うぅ、なんて良い奴なんだ!王子ぃ!こんな俺を褒めてくれるのかぁ!」
この男、泣いている。ちょろい。
主人公がどんなに失敗してもカバーをし、慰めてくれる。成功したらそりゃもう信じられないくらい褒める。
春乃のメンタルはほぼ死んでいた。忙しい家族に心配かけまいと普通にしているが、一人の時は完全な鬱だった。
そんな彼に、全肯定してくれる王子は刺さる。
「俺男だけど、王子惚れたよ!ん、まてよ?俺、男、主人公の一人称、俺…」
今までなんの違和感も感じていなかったが、今になって気がついたようだ。
そう。王子も、主人公も、皆男である。
「……BLゲーム、?」
衝撃を受けた。
今まで乙女ゲームだと思っていた。
随分とボーイッシュな主人公だと思っていた。
まぁ、面白かったのは事実なので気にするのを辞めることにした。
「にしてもこの悪役令息、救いようがないな、頭弱そうだし。典型的な当て馬って感じ。」
そんなことを考えていたら、下の階が騒がしい。
何かあったのかと思ったら、誰かが階段をのぼってきて俺の部屋のドアを叩いた。
「お兄ぃ!開けるよ!」
なんとも慌てた表情でドアを開けたのは妹だった。
両者の間に気まずい空気が流れる。
まぁそうだろう。なんたって自分の兄がBLゲームをプレイしていたわけだ。
気まずい。非常に気まずい。
「お、お兄ぃ、そのゲーム、お、面白かった…?」
恐る恐る口を開く妹。
もしかしたらこれは妹のゲームだったのかもしれない。
「そうだね。面白かったよ。特にこの王子。俺は好きだよ。」
春乃は意地でも可愛い妹の前では、爽やかなイケメンのイメージを崩すまいと爽やかに返した。
この男、シスコンである。
春乃の返事を聞き、どこかほっとした様子の妹を見て自身も一息つく。
「そ、そっかぁ!お兄ぃはヴィクトル王子が好みなのかぁ!い、意外だなぁ!」
その後も妹は早口で語る。
どうやらヴィクトル王子は王道キラキラ王子様なため、属性完全丸かぶりな兄とは合わなさそうだ。と言う事らしい。
しかし春乃の本質は、キラキラ王子なんかと程遠い、根暗なメンヘラとでも言っておこうか。とりあえずキラキラしてるのは人前だけである。
「そう言う綾音は、誰が好みなんだい?」
少し気になったので聞いてみた。
そしたらこちらも意外な返事が。
「わ、私はリンシャ様が好きだよ!まぁ、王子ルートしかやってないお兄ぃには理解し難いかなw」
その後も妹はブツブツとリンシャ様とやらの事を話している。隠しルートが~、とか、元がいいから痩せたら死ぬほど美人で~、とか、声が小さかったのであまり聞こえなかった。
しかし驚いた。あの白豚が好きだと、妹もしかしてデブ専だったの!?とか考えてしまった春乃。
直ぐにそんな考えを捨て去る。
「そうか、綾音の好きなキャラクターならさぞかし素敵なキャラなんだろうね。」
「そ、そうだね!ま、まぁなに?、それ私のなんだけどお兄ぃがまたやりたいならまた貸してあげるよ!うん!なんなら持ってて!」
そう言い残して妹は春乃の部屋を出ていった。
「綾音、いわゆる腐女子ってやつだったのか……?」
そんなことを考えながらキャラ紹介に目を通す。そんな事をしていたら寝落ちしていた。
「あの後結局学校忙しくなっちゃって、ゲームの続き、やれなかったな。」
そんな前世を思い出し、元の世界に帰りたいなと感傷に浸る俺。
しかし数秒後、俺は後悔する。なんでしっかりあのゲームをやらなかったのかと。
「ん?王立エリアス魔法学園?白豚リンシャ?……えええ!!!」
今更になって気がついた。6年間もその事に気が付かずに生活していた自分が恐ろしい。
そう、俺は前世でプレイした事のあるBLゲームの世界に、しかも悪役令息に転生していたのである。
54
お気に入りに追加
1,552
あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当

悪役令息、皇子殿下(7歳)に転生する
めろ
BL
皇子殿下(7歳)に転生したっぽいけど、何も分からない。
侍従(8歳)と仲良くするように言われたけど、無表情すぎて何を考えてるのか分からない。
分からないことばかりの中、どうにか日々を過ごしていくうちに
主人公・イリヤはとある事件に巻き込まれて……?
思い出せない前世の死と
戸惑いながらも歩み始めた今世の生の狭間で、
ほんのりシリアスな主従ファンタジーBL開幕!
.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
HOTランキング入りしました😭🙌
♡もエールもありがとうございます…!!
※第1話からプチ改稿中
(内容ほとんど変わりませんが、
サブタイトルがついている話は改稿済みになります)
大変お待たせしました!連載再開いたします…!


転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

『悪役令息』セシル・アクロイドは幼馴染と恋がしたい
佐倉海斗
BL
侯爵家の三男、セシル・アクロイドは『悪役令息』らしい。それを知ったのはセシルが10歳の時だった。父親同士の約束により婚約をすることになった友人、ルシアン・ハヴィランドの秘密と共に知ってしまったことだった。しかし、セシルは気にしなかった。『悪役令息』という存在がよくわからなかったからである。
セシルは、幼馴染で友人のルシアンがお気に入りだった。
だからこそ、ルシアンの語る秘密のことはあまり興味がなかった。
恋に恋をするようなお年頃のセシルは、ルシアンと恋がしたい。
「執着系幼馴染になった転生者の元脇役(ルシアン)」×「考えるのが苦手な悪役令息(セシル)」による健全な恋はBLゲームの世界を覆す。(……かもしれない)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる