14 / 28
14. Happening!落ちた2人の雨宿り!
しおりを挟む「いった…」
身体中を打ち付けたものの、落ち葉がクッションとなって、最悪の状態になることは避けられた。
不幸中の幸いというべきだろうか…私は体を起こして、近くにいた桜城くんに声をかける。
「桜城くん、大丈夫ですか?」
「な、なんとか…」
「落ち葉がクッションになって良かったですね」
「そうだな……でも、これからどうすれば……」
「まずは、雨を凌げる場所に行きましょう」
私達は辺りを見渡して、雨が凌げそうな場所を探す。
「あ、雪月!向こうに小屋みたいなのがあるぞ!」
「小屋……なるほど、桜城くんお手柄です。ひとまずそこへ行きましょう。立てますか?」
「おう!大丈夫……っ!」
立ち上がろうとした桜城くんが顔を顰めて体勢を崩した。
失礼します、と私は桜城くんの足を確認すると、左の足首が腫れていた。
「さっき捻ったのかもしれませんね……」
「で、でも、大丈夫だ。これくらいなら何とか……」
「無理をしないでください。悪化してしまいます。私の肩を貸しますので、支えにしてください」
「……ありがとう」
私は微笑んで、さ、行きますよ。と桜城くんに肩を貸し、小屋まで歩くのだった。
小屋は長年使われていないもので古びていたが、雨は凌げるので、中で小雨になるのを待つことにした。
ふと桜城くんを見ると、小さく震えていた。
「桜城くん、寒いですか?」
「ん……ちょっとな。雨で体が冷えたのかも」
「……私のジャージを着てください。濡れてはいますが、何も無いよりはマシでしょう」
「え、でも、それだと雪月が……」
「私は大丈夫ですので、ご心配なく」
そう言って、私は桜城くんに長袖のジャージを羽織らせる。桜城くんは小さくありがとうと言ってジャージに腕を通した。
いやぁ、桜城くんと体型が似てて良かった。もし私が桜城くんより小さかったら、貸すことが出来なかったから。
「……雪月、ごめんな。俺のせいで……」
膝を抱え、落ち込んだ様子でそう言った桜城くんに、私は言った。
「そうですね、雨の時の山道は滑りやすくなって危険だと言おうと思ったのに、桜城くんはそのまま突っ走ってしまいましたからね」
桜城くんは、ウッ、と痛いところを突かれて何も言えなくなっている。
「でも、私も追いかけながらでも言えばよかったので、私にもほんのちょっとですが、非はあります。すみません」
「雪月は悪くない!悪いのは俺だから……」
「まあ、過去のことを嘆いても仕方ありませんし。私もそんなに怒ってないので、大丈夫ですよ。それに、桜城くんが見つけたこの小屋、ここからなら、何となく帰り道が分かります」
「本当か!あ、でも、俺足手まといになるんじゃ……」
「大丈夫です。私、そんなヤワじゃないので!」
ドヤッと胸を張って答えると、桜城くんの顔に少し笑顔が戻った。
私は微笑み、桜城くんと共に壁を背に座り、雨音をBGMに雑談に興じるのだった。
1
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!
彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど…
…平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!!
登場人物×恋には無自覚な主人公
※溺愛
❀気ままに投稿
❀ゆるゆる更新
❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第12回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️
どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。
彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。
だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。
どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。
同室の奴が俺好みだったので喰おうと思ったら逆に俺が喰われた…泣
彩ノ華
BL
高校から寮生活をすることになった主人公(チャラ男)が同室の子(めちゃ美人)を喰べようとしたら逆に喰われた話。
主人公は見た目チャラ男で中身陰キャ童貞。
とにかくはやく童貞卒業したい
ゲイではないけどこいつなら余裕で抱ける♡…ってなって手を出そうとします。
美人攻め×偽チャラ男受け
*←エロいのにはこれをつけます
平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!
彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。
何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!?
俺どうなっちゃうの~~ッ?!
イケメンヤンキー×平凡
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる