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9. Crafting!これ使う人限られてるね!

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 放課後、家庭科室にやってきた私と凪。凪は両手に紙袋を持っていた。

「今日は何を作るんですか?」

「今日は…これを作ろうと思う」

「これって……シュシュですか?」

「ああ」

「何故に?」

「特に深い理由はない……が、お前の髪を結ぶときに使えるだろ?」

「いや、まあ、そうですけど……」

 我男子ぞ?と言いたくなるが、元女子だったこともあり、嫌悪感は全くないし、髪を結べたら何でもいいかなと思ってしまう。1回ヘアゴムが切れて、代わりに輪ゴムで結おうとしたら、凪に怒られたし、クラスメイトには涙ながらにめちゃくちゃ止められたため、それからちゃんとヘアゴムで結うようにしているのだ。


 私達はシュシュ作りに没頭した。凪はフワフワとした白い生地を使って作っていき、私は黒いシンプルな生地を使って作っていく。

「この生地はいつものお店で買ったんですか?」

「ああ、いい生地が入ったと聞いてな。それと他にいくつか取り寄せたんだ」

 凪には、行きつけの手芸屋さんがあって、そこの店主さんと仲が良いため、良い商品が入荷したら連絡をくれるのだ。

「できた」

「え、早くないですか?流石ですね……」

「まあ、こんなもんだろ」

「あ、じゃあ次はこの生地で作って下さい。私、この生地好きです」

「分かった」

 凪は私が差し出した濃紺の布にラメが控えめに入っているものを受け取り、シュシュを作り始めた。



 いつの間にか夕暮れ時になり7個目のシュシュを作り終えた私はそろそろ帰宅を促そうと凪の方を見た。
 凪は黙々と大小様々な大きさのシュシュを量産しており、机の4分の1が埋まるくらい作っていた。

「凪、そろそろ帰りませんか?」

「…………ああ、そうだな」

 作っていた物を素早く終わらせると、凪は机の上にあるシュシュの山に気がつく。

「これ、作りすぎじゃないですか?」

「あー……没頭して、つい」

「どうするんですか、これ。私こんなにいらないんですけど……」

「余ったのは、いつものようにネットで売ればいい」

 そうですね。と返事をしながら大量のシュシュを布地を入れていた袋に詰め、持って帰ることにした。
 部屋に帰ってから、欲しい物だけ頂戴することにしよう。

「あ、良ければ、自分の分以外にいくつか貰ってもいいですか?」

 そう訊ねると、特に理由を追求することなく、いいぞ、と快諾してくれた。
 私は一言お礼を言い、シュシュを詰めながら欲しい物に目星を付けていった。

「……白川、ちょっといいか?」

「え、なんですか?」

 私の質問に答えることなく、凪は私の髪を手に取った。
 急に近づいてきて、私の髪を弄る。
 その行為に、ああ、髪をアレンジしたかったんだな。と察し、これ私じゃなかったら惚れてたなと目からハイライトが消えて空笑いをする。

「できたぞ」

 スマホのカメラ機能を鏡替わりにして見せてくれた凪。
 私の髪はサイドを三つ編みにされ、セミロングの髪をお団子にされていた。お団子をまとめるために使われたシュシュは、私の瞳と同じ色…水色のシフォン生地のものだった。

「あら、可愛いですね。明日もやってくれます?」

 私が聞けば凪から、気が乗ったらな、と曖昧な返事を貰ったのだった。




 翌日の朝、凪に前回より凝ったアレンジをされ、朝からキャーキャー言われたことをここに記しておこう。

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