【完結】『ルカ』

瀬川香夜子

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三章

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 いつも、耳の奥には母の声が張り付いていた。

 覚えている一番古い記憶にも父の姿はない。ずっと母と二人だけだった。
 母に何かをしてもらった記憶はない。あの人はどうしてリアを産んだのかと不思議に思うほどリアに、いや子供に関心のない人だった。
「子供ってほっといても意外と生きていけるもんね」
 煙草を片手に母がそう零しているのを聞いた時、この人は本当にリアの生き死にに興味がないのだと悟った。
 外に出て、「あ、今日って晴れてたんだ」ってただ気づいたことを口にしただけ。そこに感情は乗らない。次の瞬間には何を言ったのかさえ忘れている。そんな声だった。
 幼い頃のリアは、母にそんな態度を取られることがとても悲しくて辛かった。
(どうしてお母さんはリアに優しくしてくれないの?)
 触れてほしい、褒めて欲しい、名前を呼んで欲しい。
 小さな体の中に燻る願いは少しずつ大きくなる。しかし、母にそれを告げることはなかった。幼いながらにどんな答えが返って来るのか察していたからだと思う。
 ある程度体が成長して一人で外に出られるようになると、母に買い物を頼まれることが増えた。リアは、自分に任されたことが嬉しくて喜んで請け負う。
 母は買ってくるものを口で言うだけなので、自分でメモを取った。時々メモを覗き込んだ母が「下手くそ」と笑うのでそれを狙っていたのもある。そんなことは本当に気まぐれで片手で数えられるぐらいしかなかったけれど。
 しかし、母が少しの間だけでもこちらに眼を向けてくれている時が、幼いリアにとっては幸福で一番幸せな時間だった。
 任されたことをこなしてもっと頑張ればその時間が増えていくのだと、純粋にリアは信じていた。
 いつものように母に言われて買い物に出た日。その日は途中から雨が降ってきた。
 傘を持っていなかったリアは走って家を目指したが子供の短い足ではどうしても時間がかかる。買い物を両手で胸に抱いて身体を丸めたところで幼い身体では雨から守ることも出来ない。
 結局家に行きつく頃にはリアも買い物のびっしょりと濡れていた。
 玄関を開けて中に入る。家に上がるのを躊躇したが母がタオルを持って来てくれるわけもないので仕方ない。
 リアと母が二人で住んでいる家は広くない。玄関すぐにキッチンがあり、奥に一つ部屋がある。あとは風呂とトイレが別であった。ただ、それだけのもの。
 キッチンのテーブルに買った物を置く。その音でリアに気付いたのか横になっていた母がリアを視界にとらえてすぐに眉を吊り上げた。
「アンタそんなびしょ濡れで何してんの⁉」
 あまり聞かない母の大きな声は恐怖を呼ぶ。立ち尽くして「あ、あ」と言い訳もできずにいるリアに母は焦れたのか頭を掻きむしって乱暴に髪を払った。
「こんな雨の中どこ行ってたのよ」
「か、買い物に……」
「買い物?ああ、さっき頼んだやつか……こんな濡れたら煙草だって吸えないじゃない。お金無駄にしたわ」
 袋を覗き込んでうんざりした顔を隠しもせず母は言う。母はリアを責めようと思って言っているのではない。買ってきたリアに配慮しようという気持ちがないだけで思ったことを素直に述べているだけだ。
「ごめんなさい……」
 失敗したという事実が母への恐怖を上回る。身体が震えて何度も細い謝罪を繰り返した。
「アンタもさ、そんな恰好で家に入って来ないでよ。床が濡れるじゃない」
 ポタポタとリアの身体から滴る水滴を見て、不快さを滲ませた顔。喉が痙攣して口が上手く回らない。
「もういいからちょっと外に出ててくれる?これから人来るから」
 自分の服を脱いで床を拭こうとしたが濡れた布で拭きとれるわけがない。頭上でため息と共に声が落とされる。
 家に誰かが訪れるのは初めてではない。そういう時、母は必ずリアを外に出していた。今回もそれの延長だったのだろうが、リアの頭には違う意味で届く。
 失敗したから捨てられるのだと思った。
「ご、ごめんなさい、次は間違えないから嫌いにならないで」
「は?」
 身を屈めたまま母の足に手を伸ばす。低く漏れた声が更に恐怖に拍車をかけたがすぐに空気を割くように笑い声が響く。
「あはは、アンタそれ本気で言ってんの?」
 心底おかしそうに腹を抱えて笑う母を、何が起きているのかわからず見上げることしか出来ない。ひとしきり落ち着いたのか息を整えながら母は口の端を上げる。ハッキリとリアに向けられた嘲笑に、ただ心が追い付かない。
「嫌いにならないで、て好かれてるとでも思ったの?」
「え、」
「もしかしてせっせと買い出しに行ってたのも私に嫌われないため?変な期待しないでよ、アンタのことなんて何とも思ったことないわよ。まあ便利だなとは感じてるけど……誰がアンタなんて好きになるのよ」
「お母さんは、リアのこと……」
 続きはなんて言おうとしたのかわからない。嫌いなのと聞いても母はまた嘲るように笑うだろうと確信があった。
「ほら、さっさと家でてよ。来ちゃうでしょ」
 濡れた体に触れるのも嫌なのかシッシッと獣でも追い払うように手を振る。いや、こんな状況でなくても母から触れられた記憶などリアにはなかった。
 真っ白になった頭でも、母の言うことを聞かなくてはと自然と足が外を向く。ぐっしょりと濡れた靴を履きなおす。体重をかけると靴底から水が浮き上がってきて嫌な気分になった。
「そういえばアンタ、リアって名前だったわね」
 そう言った母の表情は背中を向けていたからわからない。多分いつものように何も考えずに言っただけだ。それでも、リアの心を壊すには十分だった。
「子供産めば何か変わるかと思ったけど人ってそんな簡単には変わらないわよね」
 古い建て付けの扉が軋む音と共に聞こえた声はリアに向けられたものではない。もう母の視界にリアはおらず、一人でぽつりと漏らしただけ。
 家の前にいることも出来ずにリアは近くの公園に向かった。
(いたい、いたい、いたい)
 体中を痛みが襲う。ギリギリと締め付けられるような苦しさに息が詰まる。溢れ出す衝動のまま雨の中を走り出す。
 痛いと声を上げることすら出来ずにリアは小さな体でその痛みを堪えた。
(どうして、どうして)
 なぜリアの母はリアのことを見てくれない。触れてくれない。名前を呼んでくれない。行き交う親子のように一緒に手を繫いで買い物に行きたかった。微笑みを浮かべて柔らか声で名前を呼んで欲しかった。それを欲したこと自体が間違いだったのだろうか。
――期待しないでよ
 母の声が聞こえる。
「そうだよ、初めから期待なんてしなきゃよかったんだ」
 そうすればこんなに傷つくことなんて無いのだから。リアのことを好きな人なんていないのだから期待しなければいい。
 実の親にすら愛してもらえない子供に、一体誰が愛をくれるというのだ。

 しばらくして、母の再婚を気にリアは教会に迎えられることになる。七つの時のことだった。

 たくさんの子供を見るのは初めてだった。
 無邪気に笑って遊んでいる子供を見ながらリアはいつも隅にいた。気遣った職員のものが声をかけてくれたが「大丈夫」と笑って返した。
 教会には様々な年齢の子供がいる。リアが入った当初は上は十ぐらいの子供から下は生まれたばかりの赤子までいた。
 教会の門に置かれた赤ん坊に一番に気付いたのはリアだった。
 泣き声が聞こえたのだ。フラフラと導かれるように探し当てて小さな命の塊を見つけた。白い布で包まれてリアよりもずっと小さな体いっぱいに大きな声で泣いていた。
「捨てられちゃったの……?」
 どうしたら泣きやむのだろうと考えても、リアには赤ん坊の泣きやませ方などわからない。職員を呼んで来ようと立ち上がれば、赤ん坊がリアを見た気がした。泣き声が一層大きくなってまるでリアが離れるのを拒むみたいだった。
 短くて小さな手が伸びて宙を掻く。触れようと手を伸ばせば、赤ん坊の小さな両手で指を掴まれる。リアが腕を引けばすぐに振りほどけてしまう、そんな大した力もない小さな手。
 でも、引き離せなかった。
「あ、ぁあ……」
 小さな掌から熱が伝わる。逃がさないように懸命にリアの指に縋る姿に嗚咽が漏れる。
「あああ~~」
 気づけば声を上げて泣いていた。ボロボロと流れる涙を拭いもせず、喉が擦り切れるような大きな声で叫んでいた。
 赤ん坊もビックリして一度声を止めたが、すぐにリアと重なる。その内気づいた職員が訪れるまでリアは赤ん坊の横に座り込んで二人で泣きじゃくっていた。

 初めて人の熱に触れた。初めて誰かに手を伸ばされた。
 それだけで、泣きたくなるぐらいに嬉しかった。

 年を重ねるごとに自分よりも大きな子供は少なくなり、妹や弟たちが増えていく。リアは積極的に子供たちの面倒を見て回っていた。
 請われるまま遊びに参加して、呼ばれればすぐに飛んで行った。
 寂しいと泣けば抱き締めて背中をさすってやり、勉強の成果を報告されれば手放しで褒めた。
 自分が欲しくても得られなかったものを、リアは惜しみなく子供たちに捧げた。
 リアがそう接すれば接するほど鏡のように慕ってくれる子供たちに安堵していた部分もあった。
 自分の体が大きくなるほどに、子供の体の小ささに驚く。
 母にとっても自分はこう見えていたのかと過ってすぐに首を振る。子供を見るだけで守ってあげたいと込み上げる思いがある。それが過去の経験故なのか、それとも子供の小さな体躯と無邪気な笑みがそうさせるのかはわからない。
 けれど、母にとってはリアはきっと煩わしさでしかなかった。

 教会には笑い声、泣き声、とにかく子供たちの声が溢れていて退屈もせず楽しい日々。母と二人だけだった時とは違うそんな毎日が、リアにとっての新しい幸せだった。

 ある日、教会の視察に来た人の中に鮮やかな赤い髪を見つけた。
 貴族の人たちはみな艶やかな髪を持つ。赤い色を宿していたのだってその人だけではない。ただ、なぜか一人の人物が気になって仕方なかった。
 大した交流をしていたわけじゃない。ただ、優しい人だとは知っていた。
 困っていた時にすぐに手を伸ばして助けてくれた。ありがとうと言ったら不思議そうな顔をしていたけれど。
 事務的な会話のついでに子供たちと作った焼き菓子や花壇で育てていた花を包んで渡せば控えめな声で礼を言われる。
 いつもにこやかな表情はその時は鳴りを潜めて難しそうな顔をしてしまうから内心では迷惑に思っていたのかもしれない。
 けれど、次に来た時に美味しかったと言われたら、寂しそうにもう枯れてしまってと言われたら、堪らなく胸にこみ上げてくるものがあった。
 彼はゆるりと弧を描いた目元と口が印象的で、影では職員たちから若いのに物腰が柔らかで、と口々に褒められていた。
 ただ、リアの前では困惑と控えめな笑みを混ぜたような不思議な顔ばかりしていた。いつもそんな顔をさせてしまうのがなんだか申し訳なかったけれど、彼は仕事だから必ずリアにも話を聞きに来たしその時に一言二言子供たちにも声をかけてくれた。
 教会の子供たちのことはもちろん好きだが、彼に対しては皆とは違う想いを向けていた
 にこやかな笑みとリアの前での控えめな姿。どちらがあなたの本当の姿なのか気になった。もし、リアが孤児ではなく同じような立場だったならあなたはどんな顔を見せてくれるかと想像したことだってある。
 子供たちに声をかけられると、慣れていないのか戸惑ってキョロリと瞳を彷徨わせながらも真剣に話を聞こうとするところ。
 困っていることはないかと、静かな声で必ず聞いてくれる優しい所。彼と接する時間が増えれば増える程欲が深くなっていく。もっと話をしたい。一緒にいたい。時々、子供と触れ合うリアを見て、泣きそうに歪むあなたを子供と同じように撫でてあげたかった。
 この気持ちが一体なんなのかわかってはいたけれど、気づかない振りをして平素のように過ごした。
―――誰がアンタなんて好きになるの
 母のあの日の言葉は、まだ耳の奥に残っている。

 珍しく視察の団体からリアが呼ばれた日。いつもは職員の代表者が詳しい話をしているのに、と思いつつも素直に向かった。
 普段は見ない顔の男性がソファに座っていた。その向かいを勧められてしずしずと腰を下ろす。リアでもわかる上等な布を使った衣服。普段教会を訪れる人たちは動きやすさを重視しているからか比較的簡素な格好で来る。
 綺麗な刺繍の刻まれた鮮やかな服など初めてで圧倒されてしまった。明らかに視察の一団ではないその姿に、なぜ自分が呼ばれたのかわからない。
 その人の後ろにハリスが控えていたけれど、俯き気味の視線からは表情は窺えない。むしろどこか固い雰囲気を感じた。
 そうして貴族の男から繰り出されたのは驚きの内容だった。
 神は現代の今も身体を移り変わって生きていること。そして、次の依り代としてリアが選ばれたと興奮気味に言われた。
 リアの返答を聞くわけではなく、ただ確定した事実を述べに来たのだと男の様子から察した。
 日時を指定され、馬車で迎えに訪れると告げられる。男はしきりに「光栄」「名誉」という単語を繰り返し鼻息荒く募った。
 神に体を明け渡したら自分はどうなるのだろう。
 一瞬そう思わなかったわけではない。
 しかし、リアが大人しく従うだけで子供たちの未来がこれからも約束されるのなら。実の母にすら望まれなかったこの命が、何かの役に立つことが出来るのなら迷いはなかった。

 ただ、もし心残りがあるとするのなら……。


 浮上した意識と共に瞼を押し上げる。随分と高い位置に装飾の施された天井が見えた。起き上がれば、広い空間に置かれていた。丸く形取られた部屋は神殿の広間を思わせる。その中央の台座にリアは横たわっていた。
 ポタリと一つ、眼から滴が零れた。
「おれ、前からずっとハリスのことが好きだったんだ……」
 呟いた声は薄暗い部屋の中で僅かに響き渡る。
 母の冷たい声も眼差しもすべて思い出した。それでも、子供たちの声が、ハリスとの日々がそれを塗り替えて胸に暖かさを与えてくれる。
「昔から優しいのは相変わらずか……」
 だからこそ、リアもまたハリスの惹かれたのかもしれない。
(ここはどこなんだろう)
 見渡したところでわからない。けれど、どこか既視感を覚えた。
 台座から足をおろし、掌を上に向けた。
 体の中に魔力が巡る。今ならその使い方がわかる。
 そう間を置かずに掌の上に火が灯り、周囲が明るくなる。部屋にあるのはこの台座だけのようだ。グルリと視線を回してあることに気付く。
「誰かの肖像画……?」
 壁一面とまではいかないが、高さはリアの身長よりもずっと高く結構な大きさだ。
 光を近づけてよく観察する。
 段々と全貌が見えてきた。
 椅子に掛ける白髪の青年とその隣に立つ短い黒い髪の男の姿。
「この二人って……」
 際立った特徴は男はその頭に金の王冠を被り、赤く鮮やかなマントを羽織っている。対して青年は白く丈の長いシンプルな衣服を身に纏っている。しかし、何にも負けぬ印象を持たせるものを背中に宿していた。
「しろい、はね……」
 自分の上擦った声が鼓膜を揺らす。
 動揺から手が震える。白い羽を持つ人物をリアは知っている。絵本や神殿で嫌と言うほどに眼にしてきた。
 そして、この二人のことも知っていた。
「夢の二人……」
「それは初代国王アレク・アルギュレスと今は人の身に堕ちた神と呼ばれた者だよ」
 突然降りかかった知らぬ声に反射的に身体を跳ねさせて振り向く。
 いつの間にか数歩離れた場所に少女と言うには成熟した、しかし女性と呼ぶには幼さを宿した人物が立っていた。
「キミと会うのは二度目なんだけれど覚えているかな?リア」
 真っ白な髪を揺らして少女は笑った。

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