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お買い物①
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翌日、約束通り私はべリアと城下街へ散策に来ていた。
流石帝都と言うべきか、ありとあらゆる店が立ち並び、そこかしこから客呼びの声が聞こえる。
勝手知った道とは言え、沢山の人が行き交う様子はべリアの言う通り、迷子になりそうだ。
魔族領で頂いた緑のワンピースを着た私に対して、ベリアは支給されている青い騎士服を着ている。
非番なのに私服で来なかったのか?と尋ねると、こっちの方が動きやすいからと笑っていた。
「良い朝だな。リリィ」
「そうね。もう少し距離を開けてくれないかしら」
「相変わらず連れないなぁ」
つまらなさそうにべリアがそっと距離を取る。
だってこの男、さっきから無駄に近いし、さっきからずっと目立っているんだもの。
顔が良いとどんな服でも似合ってしまうのか、騎士服を来たベリアに道行く人の視線が集まっている。
確かに似合っているけれども!
日用品を買いに来たのに視線が気になってどうにも落ち着かない。
等の本人は周囲からの視線に気付いていないのか、それとも気にしていないのか、街の賑わいを興味深そうに眺めている 。
「さぁ、何処に行くんだリリィ」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
城下町の地理など知りもしない癖に、ベリアは私の手を引っ張り先へと進んでいく。
思わず私がたたらを踏んだ所でようやく立ち止まり「すまん。はしゃぎすぎた」とばつの悪そうな表情を浮かべた。
「次やったら置いていくから」
と言うと、捨てられる寸前の子犬のような表情を浮かべた。
まるで、私が悪者みたいじゃない。
気にすること無く足を進め、洋服屋に入る。
王城では衣食住の食と住は保証されている。
食は最近までまともじゃなかったけれど・・・。
侍女服は支給されているものの、私服は追放された時来ていた服と魔族領で用意して貰ったこのワンピースのみだった。
僅かながらお給金も入ったし、そろそろ新しい服が欲しい。
「いらっしゃいませーどの様な服をお探しですか?」
店内に入るなり早速女性の店員が声をかけてくる。
私ではなく、ベリアに。
ほんのりと頬を染めている所申し訳ないが、ここで売っているのは女性物の服である。
ベリアを押し退け店員に、「動きやすい服で出来ればワンピースが欲しいんですが」と話しかける。
「少々お待ち下さい」
そう言ってしばらくの後店員が数着の服を持ってくる。
「こちらは動きやすさと洗いやすさを重視した最近の流行りのワンピースになります。御試着なさいますか?」
「はい・・・ちょっとこれ持ってて」
鞄をベリアに預け試着室へと向かう。
一応ベリアに念を押しておこう。この男何をしでかすか分からないし。
「開けたら殺すわよ」
「流石の俺でもそれはしないぞ」
俺をなんだと思ってるんだ。とベリアは肩をすくめた。
それから数着の服を試着したのだけれど、一着は白に花柄のワンピースに決めた。
そして、二着目をレースとフリルの入った黒のワンピースと青のリボンが付いたワンピースとで悩んでいた。
どちらも捨てがたいが、予算的には二着しか買えない。
「ねぇ、どっちがいいと思う?」
交互にワンピースを宛がいながらベリアに訊ねるも、彼はしばらく悩んだ後に「どっちも似合ってる」と言った。
「どちらも買えば良いだろう?俺が買ってやる」
「駄目よ!」
ベリアだって私服を買った方が良いだろうし、彼にとっては人間領での初めての買い物なのだ。
まずは彼の買いたいものを買うべきである。
悩んだ末に、黒のワンピースを買うことにした。
お会計をして店を出る。
「ありがとうございましたー」
にこやかに手を振る店員だが、視線はベリアだ。
ベリアもベリアで、機嫌良く店員に手を振っている。
全くこの男は!
その思わせ振りな態度が後々どれだけ面倒なことになるのか分かっていないのだ。
「次は貴方の服よ!」
店員に手を振るべリアを引きづるようにして次の店へと向かう。
この男の事だ、本当に必要最低限の服しかもっていないのだろう。
「別にこれで十分だろう?」
「良いから!」
私の想像通り、王城で支給される服で十分だと言い張るベリアを引き摺り礼服を販売している店へと向かう。
礼服なんて持っていないのだろう。
一介の騎士とは言え何があるか分からない。
礼服の1つは持っておかないと。
「全くリリィは強引だな。人形にでもなった気分だ」
ぶつくさ文句を言うベリアを試着室に押し込む。
何着か来て貰ったが、顔が良いだけにどれも似合ってしまう。
「うーん」
悩みに悩んだ末、白い礼服を買うことにした。
白ならば式典やパーティのどちらでも着ることが出来るだろう。
金髪碧眼の現在の彼に白の礼服は良く似合っていた。
買い込んだ服を全てベリアに持たせ、お店を出たのが丁度お昼前。
ランチタイムになると、この辺りの食事処はどこも混みあうだろうという事で、少し早いけれどもお昼にしようと沢山の食べ物屋さんが連なる通りへと向かった。
流石帝都と言うべきか、ありとあらゆる店が立ち並び、そこかしこから客呼びの声が聞こえる。
勝手知った道とは言え、沢山の人が行き交う様子はべリアの言う通り、迷子になりそうだ。
魔族領で頂いた緑のワンピースを着た私に対して、ベリアは支給されている青い騎士服を着ている。
非番なのに私服で来なかったのか?と尋ねると、こっちの方が動きやすいからと笑っていた。
「良い朝だな。リリィ」
「そうね。もう少し距離を開けてくれないかしら」
「相変わらず連れないなぁ」
つまらなさそうにべリアがそっと距離を取る。
だってこの男、さっきから無駄に近いし、さっきからずっと目立っているんだもの。
顔が良いとどんな服でも似合ってしまうのか、騎士服を来たベリアに道行く人の視線が集まっている。
確かに似合っているけれども!
日用品を買いに来たのに視線が気になってどうにも落ち着かない。
等の本人は周囲からの視線に気付いていないのか、それとも気にしていないのか、街の賑わいを興味深そうに眺めている 。
「さぁ、何処に行くんだリリィ」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
城下町の地理など知りもしない癖に、ベリアは私の手を引っ張り先へと進んでいく。
思わず私がたたらを踏んだ所でようやく立ち止まり「すまん。はしゃぎすぎた」とばつの悪そうな表情を浮かべた。
「次やったら置いていくから」
と言うと、捨てられる寸前の子犬のような表情を浮かべた。
まるで、私が悪者みたいじゃない。
気にすること無く足を進め、洋服屋に入る。
王城では衣食住の食と住は保証されている。
食は最近までまともじゃなかったけれど・・・。
侍女服は支給されているものの、私服は追放された時来ていた服と魔族領で用意して貰ったこのワンピースのみだった。
僅かながらお給金も入ったし、そろそろ新しい服が欲しい。
「いらっしゃいませーどの様な服をお探しですか?」
店内に入るなり早速女性の店員が声をかけてくる。
私ではなく、ベリアに。
ほんのりと頬を染めている所申し訳ないが、ここで売っているのは女性物の服である。
ベリアを押し退け店員に、「動きやすい服で出来ればワンピースが欲しいんですが」と話しかける。
「少々お待ち下さい」
そう言ってしばらくの後店員が数着の服を持ってくる。
「こちらは動きやすさと洗いやすさを重視した最近の流行りのワンピースになります。御試着なさいますか?」
「はい・・・ちょっとこれ持ってて」
鞄をベリアに預け試着室へと向かう。
一応ベリアに念を押しておこう。この男何をしでかすか分からないし。
「開けたら殺すわよ」
「流石の俺でもそれはしないぞ」
俺をなんだと思ってるんだ。とベリアは肩をすくめた。
それから数着の服を試着したのだけれど、一着は白に花柄のワンピースに決めた。
そして、二着目をレースとフリルの入った黒のワンピースと青のリボンが付いたワンピースとで悩んでいた。
どちらも捨てがたいが、予算的には二着しか買えない。
「ねぇ、どっちがいいと思う?」
交互にワンピースを宛がいながらベリアに訊ねるも、彼はしばらく悩んだ後に「どっちも似合ってる」と言った。
「どちらも買えば良いだろう?俺が買ってやる」
「駄目よ!」
ベリアだって私服を買った方が良いだろうし、彼にとっては人間領での初めての買い物なのだ。
まずは彼の買いたいものを買うべきである。
悩んだ末に、黒のワンピースを買うことにした。
お会計をして店を出る。
「ありがとうございましたー」
にこやかに手を振る店員だが、視線はベリアだ。
ベリアもベリアで、機嫌良く店員に手を振っている。
全くこの男は!
その思わせ振りな態度が後々どれだけ面倒なことになるのか分かっていないのだ。
「次は貴方の服よ!」
店員に手を振るべリアを引きづるようにして次の店へと向かう。
この男の事だ、本当に必要最低限の服しかもっていないのだろう。
「別にこれで十分だろう?」
「良いから!」
私の想像通り、王城で支給される服で十分だと言い張るベリアを引き摺り礼服を販売している店へと向かう。
礼服なんて持っていないのだろう。
一介の騎士とは言え何があるか分からない。
礼服の1つは持っておかないと。
「全くリリィは強引だな。人形にでもなった気分だ」
ぶつくさ文句を言うベリアを試着室に押し込む。
何着か来て貰ったが、顔が良いだけにどれも似合ってしまう。
「うーん」
悩みに悩んだ末、白い礼服を買うことにした。
白ならば式典やパーティのどちらでも着ることが出来るだろう。
金髪碧眼の現在の彼に白の礼服は良く似合っていた。
買い込んだ服を全てベリアに持たせ、お店を出たのが丁度お昼前。
ランチタイムになると、この辺りの食事処はどこも混みあうだろうという事で、少し早いけれどもお昼にしようと沢山の食べ物屋さんが連なる通りへと向かった。
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