8 / 17
8
しおりを挟む「あっ、んあっ♡や、ぁあっ!ゲイル…っ♡っ、も、おかしく…っなりそ…っ!」
「は、あ…ッ、ン、またっ、イきそう?」
必死に首を縦に振ると顎を持ち上げられて食べられそうなくらい濃厚なキスをされる。唾液を流し込まれ、喉奥まで舌を押し込まれて、全身が彼の体液で満たされるような暴力的なキス。口の中でタバコの苦味が広がったが自然とそれを嫌だとは思わなかった。
これだけ乱暴に彼で満たされたらそれ以外のことは考えられなくなって彼にしがみつきながら絶頂した。
「ハ、ん…っ、キス、されながらイくの可愛い…っ、お、れも…っもう…ッぐ、ァアッ!…あぁ、あぁあ…っ」
それを追うように彼も私を抱きしめながらお腹の上に射精した。白くてダマになる程濃い精液がたっぷりと降りかかる。ゲイルはそのままぐったりと私に体重をかけて倒れこみ、腹部は彼の精液で互いにぐちゃぐちゃになった。
「すげー…気持ち良かった…」
呼吸を整えながら私に触れるゲイルの肌の感触がベトベトしているのに不快に感じなくて、彼の肩に擦り寄ると先ほどよりも強く私を抱きしめた。
「ヴァレリア…無理矢理してごめんな?体、大丈夫か?」
「い、まさら…っ」
笑ってそう答えるとどこからともなくハラハラと花びらが舞って2人に降りかかる。彼の魔力がまた感情に左右されているのだろう。
「あー…もう、これ恥ずかしいな」
ゲイルは照れ隠しをするように額に手を当てて顔を逸らした。しかし植物は落ち着くどころか私の脚にツルを絡ませてくる。なんだかその姿が愛おしく感じてしまう。
「ヴァレリア…俺の魔力全部吸い取って、そしたら多分消えるから」
自分の無意識の粗相に耐え切れないかのようにゲイルは私の手を掴んで自分の胸に触れさせたが私はそのまま吸い取らず彼の背中にしがみついた。
「このままでいい」
「いや、その…俺が恥ずかしいんだけど…」
「散々人を恥ずかしい目に合わせといて、不公平だからこのまま!」
押し負けたのかゲイルはそれ以上言わず、私の隣に横たわった。
「ヴァレリア…愛してる、おやすみ」
砂糖菓子のような甘ったるい言葉を吐かれて、彼の腕の中で眠気と余韻に浸る。これだけ優しさと甘さを向けられては、なんだか感情のはっきりしない自分がずるいように思えた。
鼻腔を甘い香りと草木の爽やかな香りがくすぐった。確かに家の裏はすぐ森だが、こんなにはっきりと自然の匂いを感じることはない。ベッドの上で身を捩ると体に草の感触を感じて慌てて飛び起きた。
「なっ…」
目を開けると部屋一面が木々に覆われ、床は芝生と花が生い茂っていた。腰には逃すまいとツタが絡みついてそれは隣でまだ気持ちよさそうに眠っている彼と繋がっていた。
「ちょっ、ちょっとゲイル…っ!起きてよっ!というかこの腰…っ!」
「ん、ヴァレ…リア…、おはよ」
彼に触れて魔力を吸い取ればいいだけのことだが、私は気が動転して慌ててゲイルを叩き起こした。寝ぼけ眼のゲイルは体を起き上がらせて私を見るとふにゃりと顔を緩ませて、起きがけ一発目から抱き寄せて深いキスをかましてきた。
「おい!廊下まで生い茂ったこの植物は…ッ!」
そのキスのタイミングは最悪で、どうやら廊下にまで達していた植物を見て慌てて入ってきた父に思いっきり見られてしまう。自分の娘と男が、朝から裸でベッドの上で濃厚なキスを交わしているシーンを。
「ゲイルダメだってば!!!!」
彼の体を突き飛ばし、その拍子に魔力も全て奪い取る。そこでやっと草木は消え去り、いつも通りの部屋へと戻る。しかしそうしたところで弁明などできない状況だ。父の視線の先には昨日脱がされた服があって顔から血の気が引くのが分かった。
「叔父さん?」
そんな父に追い討ちをかけるようにゲイルは声をかけ、全身の毛穴から汗が噴き出す感覚に陥った。自分が手を出しましたと言わんばかりの様相で何をしでかすのかと思うと下手に口出しすることもできない。
「まぁ、これだけそばにいて男女の関係になるなという方が難しいか」
しかし父は予想外にもため息をついたのちに、落ち着いた声色で歩み寄ってゲイルの顔面にバスローブを叩きつけた。
「だが覚えておくといい、火遊びのつもりなら必ず後悔させてやる。娘を傷つけたり、娘が他の男を選ぶようなことがあれば…お前を生かしておく必要はない。村人総出になってでも息の根を止めてやるから覚悟しておくんだな」
落ち着いた、なんていうのはとんでもない勘違いだったようだ。視線だけで人を殺せそうなほどにゲイルを強く睨みつけてとんでもない言葉を浴びせた。
「そんなつもりは毛頭ありませんのでご安心を。彼女のためなら命など惜しくないほど愛していますよ、神官様」
ゲイルはにっこりと笑って答えたがその場の空気は極寒だ。この場でどういう顔をしていいか分からないでいるとゲイルの腕が私を強く引き寄せて頭を撫でた。
「大丈夫、安心しろ…お前が怖がる必要はないから」
その優しい声色が凍りついた空気を溶かして包み込んでくれるようだ。彼の言葉通り安心してその胸に擦り寄った。
「娘ももう子供ではない。娘がいいなら、私は止めないが…互いに婚姻を結ぶ気があるのか?」
「私はありますが…彼女にはまだ心の整理が必要でしょう」
ゲイルの手がそっと私の肩を包み込んでバスローブを纏わせた。私が前の彼のことをどこかで思っていることなんて彼は察していて…急かさないでくれているのだと感じた。
「彼女の心の整理がつくまで私は待ちますし、心が癒せるならなんだってします。それまでは神官様にもお時間をいただきたいのです」
「…せいぜい私を失望させないでくれ。」
父は大きく息を吐いてそう言うと部屋から立ち去っていった。重い空気から逃れられた私はそこでやっと呼吸ができたような気がする。だけどいろいろ思い返すととんでもない話をしていた気がする。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる