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失恋の特効薬
おまけ
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今日は仕事も休みでノアの仕事の手伝いをしていた。相変わらず魔猪のステーキのおかげで店は繁盛していて今雇っている人間だけでは到底足りないらしい。
「正直毎日でもいて欲しいぐらいだ…とはいえ、今の仕事辞めてくれなんて軽々しく言えないしな」
ノアはようやくはけてきた店内を見て大きくのびと欠伸をする。早朝からの狩りは流石に辞めたが仕込みや店の繁盛具合、また2号店の準備で結局忙しいままだ。
そんな時に一組の来客があり、その予想外な人物に目を丸くする。
「ハーヴィル!…と奥さん?」
ハーヴィルの隣にはショートカットのスラッとした女の人が立っており、ハーヴィルと仲睦まじく手を繋いでいる。結婚式の時と可愛らしい印象というよりは今はかっこいい女性という印象が強い。
「あぁ、ミサ…彼らは俺の従兄弟のノア兄さんとその妻で俺たちの幼馴染のナタリアだ。」
ハーヴィルが私たちを紹介するとミサと呼ばれた彼女はノアとハーヴィルを見比べるように視線を動かした。
「し、白いハーヴィル…?」
彼らがあまりにも似ているから驚いているのだろう。彼女の新鮮な反応に笑ってはいけないと思いつつ口元が緩んだ。
「白いハーヴィルって…まぁ確かにお姉ちゃんからしたらそうかもしれないな」
「あ、声は違うんだ」
「そりゃ何もかもおんなじってわけじゃねぇよ。兄さんの親父と俺のの母親が兄妹でな…顔はその血筋のせいなんだ」
「な、なんか変な感じ…」
私は長年彼らとの付き合いがあるから何も思わないが、自分の夫にそっくりな人が突然現れたらそれは違和感があるだろう。
「その、ナタリアさんは…ハーヴィルとノアさんの違いはどういうところだと思います?」
「え!?」
突然話を私に振られて動揺する。つい最近まで好きだった男と今現在夫である男の違うところを言うなんてなかなかに難易度が高い。
「ハーヴィルはやっぱり未来の村長だから広い目でみんなのこと見れるよね、あと嫌なくらい察しがいい。」
「あれ俺貶されてる?」
「まぁ良くも悪くもね」
次はノアの方を見ると気まずそうな顔をしている。ハーヴィルの次に自分はどんなことを言われるのだろうかと気を揉んでいるのだろう。
「ノアは…」
そんな彼を安心させようと彼の手をそっと握るとびくりと強張る。
「本当に困ってる…誰も気付かない困ってる人を見つけられるような人。だから好きになったっていうか…あー、恥ずかしい」
自分で言っておいて途中から沸騰したやかんのように顔が熱くなる。ミサさんも何故か「きゃー」と顔を赤くして私とノアを交互に見た。
「幼馴染から結婚に繋がるって良いところも悪いところも知っててその上で相手として選んでるっていうのが良いですよねぇ…素敵」
「俺たちだっていろいろとロマンチックだっただろ」
「久しぶりの再会が他の女性との性行為の途中だった男にそれだけは言われたくない」
ミサさんの言葉にハーヴィルが対抗するがバッサリ切り捨てられる。どうやらこの二人の恋の流れも一癖も二癖もあったようだ。苦笑いしながら二人を見つめているとノアが私をキッチンの方へと手を引いた。そうして徐に冷蔵庫を開けたと思ったら、その陰に隠れて突然口付けをした。
「ハーヴィルの前で俺の好きなとこ言ってくれるなんて…すげぇ嬉しかった」
ノアの顔はすっかり緩んでおりそれを隠すように口元を覆った。しかし真っ赤になった顔がそれを隠しきれておらず胸が甘く締め付けられる。
「今男の人として好きなのはノアだけだから…」
彼の頬をスリ…と撫でるとまた顔が近付いてきて…
「おーい、イチャイチャしてんの分かるからな?」
と、ハーヴィルの声が店内に響いて慌てて離れるのだった。
終わり
「正直毎日でもいて欲しいぐらいだ…とはいえ、今の仕事辞めてくれなんて軽々しく言えないしな」
ノアはようやくはけてきた店内を見て大きくのびと欠伸をする。早朝からの狩りは流石に辞めたが仕込みや店の繁盛具合、また2号店の準備で結局忙しいままだ。
そんな時に一組の来客があり、その予想外な人物に目を丸くする。
「ハーヴィル!…と奥さん?」
ハーヴィルの隣にはショートカットのスラッとした女の人が立っており、ハーヴィルと仲睦まじく手を繋いでいる。結婚式の時と可愛らしい印象というよりは今はかっこいい女性という印象が強い。
「あぁ、ミサ…彼らは俺の従兄弟のノア兄さんとその妻で俺たちの幼馴染のナタリアだ。」
ハーヴィルが私たちを紹介するとミサと呼ばれた彼女はノアとハーヴィルを見比べるように視線を動かした。
「し、白いハーヴィル…?」
彼らがあまりにも似ているから驚いているのだろう。彼女の新鮮な反応に笑ってはいけないと思いつつ口元が緩んだ。
「白いハーヴィルって…まぁ確かにお姉ちゃんからしたらそうかもしれないな」
「あ、声は違うんだ」
「そりゃ何もかもおんなじってわけじゃねぇよ。兄さんの親父と俺のの母親が兄妹でな…顔はその血筋のせいなんだ」
「な、なんか変な感じ…」
私は長年彼らとの付き合いがあるから何も思わないが、自分の夫にそっくりな人が突然現れたらそれは違和感があるだろう。
「その、ナタリアさんは…ハーヴィルとノアさんの違いはどういうところだと思います?」
「え!?」
突然話を私に振られて動揺する。つい最近まで好きだった男と今現在夫である男の違うところを言うなんてなかなかに難易度が高い。
「ハーヴィルはやっぱり未来の村長だから広い目でみんなのこと見れるよね、あと嫌なくらい察しがいい。」
「あれ俺貶されてる?」
「まぁ良くも悪くもね」
次はノアの方を見ると気まずそうな顔をしている。ハーヴィルの次に自分はどんなことを言われるのだろうかと気を揉んでいるのだろう。
「ノアは…」
そんな彼を安心させようと彼の手をそっと握るとびくりと強張る。
「本当に困ってる…誰も気付かない困ってる人を見つけられるような人。だから好きになったっていうか…あー、恥ずかしい」
自分で言っておいて途中から沸騰したやかんのように顔が熱くなる。ミサさんも何故か「きゃー」と顔を赤くして私とノアを交互に見た。
「幼馴染から結婚に繋がるって良いところも悪いところも知っててその上で相手として選んでるっていうのが良いですよねぇ…素敵」
「俺たちだっていろいろとロマンチックだっただろ」
「久しぶりの再会が他の女性との性行為の途中だった男にそれだけは言われたくない」
ミサさんの言葉にハーヴィルが対抗するがバッサリ切り捨てられる。どうやらこの二人の恋の流れも一癖も二癖もあったようだ。苦笑いしながら二人を見つめているとノアが私をキッチンの方へと手を引いた。そうして徐に冷蔵庫を開けたと思ったら、その陰に隠れて突然口付けをした。
「ハーヴィルの前で俺の好きなとこ言ってくれるなんて…すげぇ嬉しかった」
ノアの顔はすっかり緩んでおりそれを隠すように口元を覆った。しかし真っ赤になった顔がそれを隠しきれておらず胸が甘く締め付けられる。
「今男の人として好きなのはノアだけだから…」
彼の頬をスリ…と撫でるとまた顔が近付いてきて…
「おーい、イチャイチャしてんの分かるからな?」
と、ハーヴィルの声が店内に響いて慌てて離れるのだった。
終わり
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