失恋の特効薬

めぐみ

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失恋の特効薬

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「は、あ…っ、ナタ、リア…っ、おい!悪い…っ、起きてくれ…!ナカに出しちまった」

ハーヴィルの腰が引き抜かれて、開いた脚の間からこぷり、と液体が漏れ出る。ハーヴィルのペニスを見てみると同じような体液が先端から垂れていてお腹に何が入ってるのかを理解した。

「え、ぁ…ど、しよ…っ」

「とりあえず掻き出すからこのまま浴室に連れていくな?」

ノアの顔が見れない。以前シたときは外に出してくれた。きっと彼が達する直前に彼の背に脚を絡ませてしまった私が原因だろう。
浴室に着くとノアは私を膝の上に乗せて床に座ると脚を開脚させられる。先ほどの行為で開き切った秘穴は入ってきた指を易々と受け入れて中にある液体は掻き出されていく。

「あ、ぁ……っ、んぅっ」

指が奥の方まで侵入してきて奥からどろりとした体液が掻き出される度に反応してしまう。これは仕方のないことで何もやましい事なんてないはずなのに恥ずかしくて顔を手で覆ってしまう。しばらくその行為が続いたあとようやくノアに開放された秘部はひくひくと痙攣していた。
最後にシャワーを押し当てられて奥まで洗い流され、ノアの子種が排水口へと消えていった。

「掻き出したとはいえ確実に避妊できたわけじゃねぇからな、生理来なかったり…体おかしくなったらすぐ言うんだぞ?…て、そうじゃねぇな」

ノアはおもむろに私と向き合ったかと思うと深々と頭を下げた。

「えっ、ちょっ…ノアっ?!」

「今回の件は本当に心から申し訳ないと思ってる。お前は本意じゃないかもしれないが俺には腹の子ごとお前を養う覚悟はある。だから迷惑かけるとか変な遠慮は絶対にしないでくれ」

「あ、いや…頭上げてノアっ、その、私も行為に夢中になっちゃって…足巻きつけた自覚はあるし…ノアだけのせいじゃないから!」

恥ずかしいことを口走ってしまっていたがノアにだけ責任は押し付けられない。互いに謝罪をして、ノアは私を優しく抱きしめた。

「ナタリアはそうやって言ってくれるが…いくら不意のことだったとはいえ俺がお前の脚の力…押しのけられないと思ったか?」

「え、それってどういう…」

「抜こうと思えば出来たはずなのに…俺はそれをしなかった。お前を俺のにしたいって気持ちがもたげたのも否定できない」

その言葉の意味を理解できないほど鈍くない。でも彼の過去を知った今ではどうして自分がという気持ちが強かった。

「あんなことした後に言うのはずるいが…俺は完全にお前に堕ちちまったんだよ。ハーヴィルを好きでありながら、俺を俺としてちゃんと見てくれるお前に」

そう思うと先ほどのやたらと甘い行為と言葉にも納得がいく。その意味を知ると思い出して全身が熱くなるのを感じた。

「お前は…どうだ?失恋したばかりだ、俺を好きになったかなんて傲慢なことは聞けない。だが、少しは俺のこと男として意識してくれたりはするのか?」

「ヒ、ぁ──」

ノアの懇願するような低い声が私の耳の中に響いて思わず声が漏れる。ノアの顔も赤くなっていて珍しい彼の姿を見て彼の言葉に嘘や偽りはないのだと思い知らされた。

「ハーヴィルへの気持ち…整理がついてないから…はっきりとしたこと言えないけど、ノアの気持ちは…正直自分でも驚いてるくらいには嬉しい、し…ノアのことはその、今男の人として意識してるのはある…」

あんなことをしておいて意識をしないなんて無理だ。ノアはそれを聞いて嬉しそうに微笑むと私を再び強く抱きしめた。

「今はとりあえずそれだけ聞けりゃ十分だ。しかし時間が勿体無かったな…こんなに近くに俺の理想は居たのに…気付くのに30年もかかっちまった。」

どうやらノアは惚れた相手にはとことん触れていたいらしい。明らかに先週より接触が増えているし甘やかされるのが好きだと言えばとことん頭を撫でてくる。

「このままいても風邪引くから湯船浸かるか」

汗を流すためにもちょうどいいかもしれない。そう思って彼の提案を呑んで再び湯船に浸かった。就寝をしてもいい頃合いではあったがもう少しノアととりとめもない話をしていたい。

「そういえば…ナタリアはハーヴィルのどこを好きになったんだ?」

「へっ!?」

じっと見つめられながら突然問いかけたノアの質問はあまりにも予想外で変な声が出てしまう。ハーヴィルのことを好きになったきっかけなんてあまりにも昔過ぎてすぐに思い出せない。

「10歳前の女の子なんて年上のお兄さんがかっこよく見えちゃう年頃じゃない?」

「いやでもその想いが今の今まで続いてるんだからリアルタイムで好きなとこあるんだろ?」

「んー…普段ヘラヘラしてるように見えてやればできるどころか一位を掻っ攫っていっちゃうところかなぁ。ほら、柄の悪い男の人が雨の中で捨て猫拾ってるといいイメージになっちゃうのと似てるやつ!」

ノアは私の言葉を聞いて遠い目をした。思い当たるところがあるんだろう。

「あとあんなんだけど子供には優しいし、面倒見いいからなぁ…あ!でもノアもそこは一緒か。あと仲間のために人を怒れるところも好きになっちゃったなぁ」

「ふーーーーーーーーーーん」

「不機嫌になるならそんなこと聞かなきゃいいのに」

「いや、そうだな…俺から聞いといて悪い…思えば思うほどハーヴィルには敵わねぇと感じて。男の俺からしてもアイツは良い男だ。」

私の答えに不満そうに臍を曲げた態度をとったノアは流石に大人気ないと感じたのか苦笑いをしながら私の頭を撫でた。ノアにも良いところがあるのにどうして分かってくれないんだろう、彼だって優しくて大人の余裕があってハーヴィルと並んでも顕色ない男だ。しかしそんな気休めの言葉じゃ癒せないくらい彼の心の傷は深いのかもしれない。

「でもハーヴィルは結婚しちゃったわけだし、みんなノアの魅力に気付いちゃうかも」

沈んだ表情を見せるノアの頭を慰めるように撫でながらそう言うと、ノアは目を見開いて驚いた表情を見せたのちにふわりと柔らかい笑みを浮かべた。

「俺ァ、お前だけが俺を好きになってくれればこれ以上ないくらい幸せだよ」

ノアは自分によりかかるように私の体を抱き寄せると額にキスを落とす。ノアの温かくて逞しい肌の感触とその猛々しさに反した優しいキスに身を預けた。

「なんだ、…はは、眠くなってきたか…?寝室に連れてくから寝てもいいぞ?」

彼の呼吸に合わせて動く胸板に顔を寄せていると、それが心地よくてウトウトしてしまう。目を擦って意識を取り戻そうとするがそれを諌めるようにとんとんと一定のリズムで私の肩を撫でた。

「おやすみナタリア…良い夢みろよ?」

そうして私の意識はどんどん微睡みの中へと落ちていった。
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