失恋の特効薬

めぐみ

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失恋の特効薬

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「ノア…ごめんね、色々気ぃ使わせちゃったみたいで。」

「気にすんな、昔馴染みの仲だ。今更遠慮もクソもねぇだろ」

ノアはタバコを吸いながらずっと私の隣を歩いてくれた。ぶっきらぼうな雰囲気はあるが彼が優しいことは長い付き合いで知っている。なんだかんだで面倒見のいい彼は兄がいればこんな感じなんだろうかと思わせる。

「家に酒あるから二次会でもするか。飲みたりねぇだろ?」

「え、いいの?」

「ははっ、さっきの落ち込みようはどうした。そこは反応早ェのな」

彼の言葉にカチンと来るがそれもわざとだということは分かっている。

「ノアの家にあるお酒全部飲み干してやるんだから!ツマミも!」

「おー怖ェ怖ェ…酒樽準備しといた方がよかったか?」

そうしてノアの家に着くと、話通り何種類かのお酒が出されて選び放題の私は上機嫌で好きにあおった。飲食店のオーナーをしているノアは料理上手で器用な手つきでどんどんツマミも出てくるのだ。

「お前はよく頑張ったよ」

「でしょーッ!?っていうか20年以上の好意に気付かないハーヴィルも鈍過ぎ!女遊び激しいくせに女心ぜんっぜんわかってないし!」

酒もどんどん進んでいき完全にタチの悪い酔っ払いになってしまう。ノアが欲しい言葉をくれるのをいいことに調子に乗って酒を飲む手が止まらない。
明日も仕事休みだし…と思いながら飲んでいるとだんだん意識がぼんやりとしてくる。ノアが何か言っていて私を抱えてどこかへと歩いていく。お姫様抱っこなんて子供ぶりでテンションがおかしくなった私はキャッキャと笑いながら彼の首にしがみついた。






…で、なんでこうなったんだっけ??気付いたら体はフカフカのベッドの上に横たわっていてなんだか気持ちいい。
口内に入ってくる水分にぼんやりしていた意識が少しずつ正常に戻ってくる。そうして視界いっぱいに入ったのは上半身裸のノアだった。

「ぁ…え…っ」

「いいって言ったのはお前だからな?」

なんの話だっけと思いながらゴリ、と押し当てられる硬い感触に硬直した。これって…もしかして、もしかしなくてもノアの股間…だったりするんだろうか。
押し当てられてるものに視線を向けるのが怖くて熱くなる顔でノアを見つめることしかできない。

「別に俺だってこういうこと目当てでお前のこと持ち帰ったわけじゃないぞ。だが、思った以上に根は深そうだし…こういうことで忘れんのもまた手かと思ってな」

「の、あ…その、化粧…とか、落とさないと…」

「はは…っ、気にするとこそこか。終わってから一緒に風呂に入りゃいい、湯は沸かしてあるからよ」

ノアは笑いながら私の長い髪を手ですいた。そうして瓶の水を口に含んだと思ったら口移しで水を飲ませてくる。もしかして先ほどの水分も口移しの水だったのだろうか。わけがわからなくなって視線を泳がせると再び唇が重なって今度は舌が入ってくる。ただの昔馴染みで…兄のように慕っていた男が突然異性を感じさせて瞼を閉じることしかできない。
20年以上片思いしてきた私と女を食い荒らしてきた男の経験値の差は歴然だった。初めてだけどたった数秒でわかる、ノアのキスはすごく気持ちいい。口内を舐められるたびに腰のあたりがぞわぞわして、慣れない私に合わせて呼吸のタイミングをくれる。

「ナタリア…」

知らない、見たことない。こんな熱っぽい顔をしたノアなんて。咄嗟に逃げるように体ごと横向きにすると耳の中に舌が差し込まれてちゅっちゅという音が鼓膜をくすぐった。そうしてそのまま背中にあるドレスのチャックを下げられて抵抗も虚しくドレスの中の素肌をまさぐられてしまう。

「の、のあぁ…」

「怖いことはしねぇ…俺のことハーヴィルだと思って楽しむのも一興だろ?」

「む、無理だよぉ…だってノアは…ノア、だもん…っ」

いくら顔が似てるとは言え私からしたら全く別の人間だ。ハーヴィルにはハーヴィルの、ノアにはノアの良さがある。ノアの手が一瞬ぴたりと止まったが、すぐに動きが再開される。

「じゃあ…俺に抱かれて忘れちまえばいい」

ノアの手は止まることなく下着越しに胸を揉みしだいていく。自分で触ってもなんともないのにノアに触られていると思うと途端に恥ずかしさがこみ上げてきて、だけど力は思うように入らない。

「あっ……ん、ふぅ……」

「声我慢すんな……ほら、こっち向け」

ぷち…と下着のホックも外されてそのままドレスの上半身の部分と一緒に脱がされる。ノア同様裸になった上半身は彼の方へ向かい合わされてそのまま抱きしめられる。うるさいくらいの激しい心音がノアにも聞こえてると思うとさらに顔が熱くなった。

「んん……のあ……のあぁ……」

「どうした?」

「き、緊張する…だって、こんな、ノアとこんなこと…」

「ははっ、可愛い奴だな」

ノアは笑って頭を撫でてくれる。そうして頬に口付けながら彼の指先が下半身へと伸びていき、割れ目をなぞった。

「ひぁっ!のあ……っ」

「濡れてんぞ、ナタリア」

「わ、分かんない…っ、待って、待ってノアっ!」

ノアのゴツゴツした指が私の中を弄ってわけがわからなくなる。人には誰も触れさせたことのないそこによりにもよってノアの指が入ってる。くちゅくちゅと音が鳴るたび本当に自分が濡れているのだと思い知らされてその事実だけで頭がおかしくなりそうだった。

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