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act3 ハッピーバースデー
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「大事に使わせてもらう。ありがとな」
「ハンドクリームはあとで塗ってあげるね」
「ん…」
そうして料理に手をつけ始める。どれもお店で食べるような手の込んだ下味のしっかりした料理だ。あの叔父様、優しくて紳士的で料理もうまい、昔は…いや今も現在進行形でモテているんじゃないか。
「エリスさんのお父様すごく料理上手なんだね、エリスさんの味はお父様に似てる気がする」
「料理は全部親父から教わったからな。」
「へぇ、私も教わろうかな」
「その時は俺が教える」
エリスさんの堅い声に驚きつつも「お願いします」と返す。この人…何かを教えるということに向いてなさそうだが大丈夫なのだろうか。仲良くなれていることを喜べばいいのかなんだか複雑だ。
「普段はお前も料理するのか?」
「まぁ、簡単なものだけどね、結局仕事終わりに絵描くことに没頭してたらあっという間に時間過ぎていっちゃうし」
「じゃあ簡単に作れるものから教えてやるか」
なんだか突然声色が明るくなったような気がする。今日のエリスさんは機嫌が良かったり悪かったり…なんだかよくわからない。二人では到底食べきれないと思っていた料理の数々はどんどんお皿が空になっていく。
「はぁ、うまかった…」
「最後はケーキですよエリスさん!お父様から食後に冷蔵庫から出すように言われてたんです」
「あ?ケーキ?親父そんなものまで用意してたのか?」
冷蔵庫から箱を取り出す。よく見ると人間の村で人気のケーキ屋さんの箱だ。箱を開けるとホールのいちごのケーキで料理でお腹いっぱいになったがこれは別腹。
「すっごくおいしそうですよ」
「ほう、確かにうまそうだな」
「30本ろうそく立てる?」
「いやいくつだよ、やんねぇよ」
小さめのホールケーキだったので4等分にしてそれを渡す。私ももらっていいとのことだったのでありがたくいただくことにする。
「甘いもの、好きなのか?」
「はい、特にいちごが大好きで」
「そっか…ほら、生クリームついてるぞ」
エリスさんは私の口の横を手でぬぐってそれを舐めとった。机を挟んでいるから結構距離があるのに少し立ち上がって屈み込むように腕を伸ばされあっという間に距離を詰められてしまう。
「お前たまにガキっぽいとこあるよな…こんなとこにつけんなって。」
「ありがとう…ございます。ほんとはもっとしっかりしてるはずなんだけど、エリスさんの前だと気が抜けちゃうのかな。リラックスしちゃうっていうか」
彼の行動に顔を熱くしながら辛うじて言葉を絞り出した。
「気が抜ける、ねぇ。喜んでいいんだか」
ケーキを先に食べ終えたエリスさんは立ち上がってお皿を片付け始める。私、何かまずいことでも言ったのだろうか。真意を掴めない私は首を傾げた。だが、その後は別段空気が悪くなることもない。
(また一瞬機嫌が悪くなったような気がしたのは気のせい、か)
最後に残しておいたイチゴを口に含んで私も片付けの手伝いをする。空になった皿をエリスさんが洗い物をする流しへと持っていき、残りのケーキは冷蔵庫へと入れ直す。そしてすっかり何も無くなったテーブルの上を布巾で拭く。その後は残りの洗い物を手伝ってあっという間に片付けは終わった。
「んじゃ…ハンドクリーム塗ってくれるか?」
エリスさんは私を軽々と持ち上げてソファの上に座って、その上に私を座らせた。あまりに体格差があって自分が子供のようだと錯覚してしまう。エリスさんにプレゼントしたハンドクリームは私も普段使っているものだ。エリスさんから手渡された缶のケースに入ったそれを開けて指に少量取り出して慣れた手つきで差し出された手にゆっくりと刷り込む。
「うっ、痛そう…」
「まぁその痛みにも慣れてきたけどな」
「もっと自分を大事にして、薬用のハンドクリームだから良くなるといいんだけど」
乾燥してところどころあかぎれを起こしたり、ささくれ立っているところもある。これでは軍手をして作業するのも擦れて痛いだろう。
「なんかべとべとして変な感じがする…でもまぁ…乾燥の痛みは和らいだな」
「ならよかった、こんな感じで朝夕…あと痛かったら昼休憩中とかに使ってみて」
ある程度塗り終わったので立ち上がろうとすると手首をつかまれて膝の上に戻される。
「へっ、あの…エリスさん?」
「一番楽しみにしてた誕生日プレゼント、欲しいんだけど」
何事かと思う間もなくワイシャツの隙間から手が侵入してきて、察した私は体を強張らせた。しかしエリスさんは遠慮ない手つきで下着の中の乳房を揉みこむ。
「ちょっ、だめ…っ、ですって…今日は…っ、そんなつもりで…」
「俺はそういうつもりで呼んだんだけど?」
そのままスカーフを外され、せっかく消えかけていたキスマークに上書きするように噛みつかれる。お腹もがっしりと掴まれ、もう完全に逃げ場を失ってしまう。
「なぁ、くれよ…お前を抱きたい」
首元に熱い息がかかって体が勝手に敏感に反応する。この家に入った時点で私はこの雄にとらわれている。私もその気にさせられてしまい、だけどかろうじて抵抗する。
「わ、わかった…分かったから…シャワーだけ…浴びさせてください、昨日の夜から…入ってないから」
「気になんねぇのに」
すん、と鼻を寄せられて恥ずかしくて勢いよく立ち上がった。流石に突然のことで反応が遅れたエリスさんからは割と簡単に逃れられる。だがこの後は簡単にいかないだろう。このまま帰るのは無理だということは悟っている。時間稼ぎにしかならないシャワーを浴びに重い足取りでリビングを出た。
「ハンドクリームはあとで塗ってあげるね」
「ん…」
そうして料理に手をつけ始める。どれもお店で食べるような手の込んだ下味のしっかりした料理だ。あの叔父様、優しくて紳士的で料理もうまい、昔は…いや今も現在進行形でモテているんじゃないか。
「エリスさんのお父様すごく料理上手なんだね、エリスさんの味はお父様に似てる気がする」
「料理は全部親父から教わったからな。」
「へぇ、私も教わろうかな」
「その時は俺が教える」
エリスさんの堅い声に驚きつつも「お願いします」と返す。この人…何かを教えるということに向いてなさそうだが大丈夫なのだろうか。仲良くなれていることを喜べばいいのかなんだか複雑だ。
「普段はお前も料理するのか?」
「まぁ、簡単なものだけどね、結局仕事終わりに絵描くことに没頭してたらあっという間に時間過ぎていっちゃうし」
「じゃあ簡単に作れるものから教えてやるか」
なんだか突然声色が明るくなったような気がする。今日のエリスさんは機嫌が良かったり悪かったり…なんだかよくわからない。二人では到底食べきれないと思っていた料理の数々はどんどんお皿が空になっていく。
「はぁ、うまかった…」
「最後はケーキですよエリスさん!お父様から食後に冷蔵庫から出すように言われてたんです」
「あ?ケーキ?親父そんなものまで用意してたのか?」
冷蔵庫から箱を取り出す。よく見ると人間の村で人気のケーキ屋さんの箱だ。箱を開けるとホールのいちごのケーキで料理でお腹いっぱいになったがこれは別腹。
「すっごくおいしそうですよ」
「ほう、確かにうまそうだな」
「30本ろうそく立てる?」
「いやいくつだよ、やんねぇよ」
小さめのホールケーキだったので4等分にしてそれを渡す。私ももらっていいとのことだったのでありがたくいただくことにする。
「甘いもの、好きなのか?」
「はい、特にいちごが大好きで」
「そっか…ほら、生クリームついてるぞ」
エリスさんは私の口の横を手でぬぐってそれを舐めとった。机を挟んでいるから結構距離があるのに少し立ち上がって屈み込むように腕を伸ばされあっという間に距離を詰められてしまう。
「お前たまにガキっぽいとこあるよな…こんなとこにつけんなって。」
「ありがとう…ございます。ほんとはもっとしっかりしてるはずなんだけど、エリスさんの前だと気が抜けちゃうのかな。リラックスしちゃうっていうか」
彼の行動に顔を熱くしながら辛うじて言葉を絞り出した。
「気が抜ける、ねぇ。喜んでいいんだか」
ケーキを先に食べ終えたエリスさんは立ち上がってお皿を片付け始める。私、何かまずいことでも言ったのだろうか。真意を掴めない私は首を傾げた。だが、その後は別段空気が悪くなることもない。
(また一瞬機嫌が悪くなったような気がしたのは気のせい、か)
最後に残しておいたイチゴを口に含んで私も片付けの手伝いをする。空になった皿をエリスさんが洗い物をする流しへと持っていき、残りのケーキは冷蔵庫へと入れ直す。そしてすっかり何も無くなったテーブルの上を布巾で拭く。その後は残りの洗い物を手伝ってあっという間に片付けは終わった。
「んじゃ…ハンドクリーム塗ってくれるか?」
エリスさんは私を軽々と持ち上げてソファの上に座って、その上に私を座らせた。あまりに体格差があって自分が子供のようだと錯覚してしまう。エリスさんにプレゼントしたハンドクリームは私も普段使っているものだ。エリスさんから手渡された缶のケースに入ったそれを開けて指に少量取り出して慣れた手つきで差し出された手にゆっくりと刷り込む。
「うっ、痛そう…」
「まぁその痛みにも慣れてきたけどな」
「もっと自分を大事にして、薬用のハンドクリームだから良くなるといいんだけど」
乾燥してところどころあかぎれを起こしたり、ささくれ立っているところもある。これでは軍手をして作業するのも擦れて痛いだろう。
「なんかべとべとして変な感じがする…でもまぁ…乾燥の痛みは和らいだな」
「ならよかった、こんな感じで朝夕…あと痛かったら昼休憩中とかに使ってみて」
ある程度塗り終わったので立ち上がろうとすると手首をつかまれて膝の上に戻される。
「へっ、あの…エリスさん?」
「一番楽しみにしてた誕生日プレゼント、欲しいんだけど」
何事かと思う間もなくワイシャツの隙間から手が侵入してきて、察した私は体を強張らせた。しかしエリスさんは遠慮ない手つきで下着の中の乳房を揉みこむ。
「ちょっ、だめ…っ、ですって…今日は…っ、そんなつもりで…」
「俺はそういうつもりで呼んだんだけど?」
そのままスカーフを外され、せっかく消えかけていたキスマークに上書きするように噛みつかれる。お腹もがっしりと掴まれ、もう完全に逃げ場を失ってしまう。
「なぁ、くれよ…お前を抱きたい」
首元に熱い息がかかって体が勝手に敏感に反応する。この家に入った時点で私はこの雄にとらわれている。私もその気にさせられてしまい、だけどかろうじて抵抗する。
「わ、わかった…分かったから…シャワーだけ…浴びさせてください、昨日の夜から…入ってないから」
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