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act1 激甘悪夢のはじまり
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そしてちょうど1週間後、金曜日の夜に彼の家へと押しかけた。
「いや、俺の家の住所なんで知ってるわけ?」
「学校の名簿をちょちょっとお借りして…」
ドアを開けた彼は呆れた顔で私を見ると玄関の前に置き去りにするのも嫌なのか私の腕を引いた。
「ちょうど今メシ作ってたんだけど食うか?」
「いいんですか?」
「セックスの途中で腹鳴らされても萎えるからな」
思ったよりいつも通りだ、と思っていたところに爆弾を投下される。まぁ、確かにセックスはするんだけど…こうもはっきりと言われてしまうと変に意識してしまう。
「まぁ、そう緊張すんな。すぐとって食おうなんて思っちゃいねぇよ」
ミートソースのスパゲティをお皿に盛りながらそう言う彼だが緊張しない訳がない。
「それにしてもまさか本当にシにくるなんて思いもしなかった。彼氏とか…いないのか?」
「な、ないない!」
彼氏がいるのにホイホイ釣られるようなそんなチャラついた女に見えていたんだろうか。必死に否定しながら、夕飯の手伝いをする。とは言ってもほとんど料理はできていたのでフォークを出したり、コップに飲み物を注ぐくらいだが。…にしてもやけにスパゲティの量が多い気がする。軽く5人前くらいあるんじゃないか。
「これ、一人で食べるつもりだったの…?」
「半分食って残りは明日の朝メシにでもしようかと思ってたけど」
それでも2.5人前を食べようとしていたのか。そう言えば昼休憩中に用務員室に行った時も弁当箱が3つくらい並んでいたような気がする。
「体動かすからメシいくら食っても足りねぇんだよな。ま、この後お前と運動もするしお前もちゃんと食っておけよ」
1.5人前程の量を差し出されて、せっかく痩せる努力をしたのに…と思いつつも良い香りが食欲をそそってありがたくもらうことにする。
「い、いただきます…」
弁当を持ってきてるくらいだから料理するのは分かってたけど、結構腕がいいんだなと思いながら料理を眺める。
「なんだ、なんか苦手なものでも入ってたか?」
「いやいや、あまりに美味しそうで!」
口に入れると見た目通り美味しくて二口目三口目もパクパクと食べ進めてしまう。何かスパイスのようなものが入っているのか鼻から良い香りが抜けていく。
「そんな焦って食うと詰まらせるぞ」
「だってすごいおいしいんだもん!トマトの味が濃くて!」
「親父が家で作ってるやつでな、たまに持ってきてくれるんだ」
珍しく嬉しそうに笑う口元につい見惚れてしまう。いつもは鼻で笑ったり皮肉げな笑いしか見せないんだけど…
「エリスさんのご家族って農家やってるの?」
「まぁな、ガキの頃からよく手伝わされたよ」
どうりで色々と器用に用務員の仕事をするものだ。外での作業に昔から慣れているからだろう。そうやって食べ進めているとあっという間に完食してしまった。
「あー!美味しかった。ご馳走様でした!」
「お前…呑気に食ってるけど何しに来たか忘れたわけじゃないよな」
水を飲みながらそう言う彼に、今更ながら交渉を思い出した。今更怯んだところで意味はないしこの1週間で既に覚悟は決めている。全ては理想の肉体美のデッサンのため、つい椅子の上なのに正座になってしまう。
「じゅ、準備は出来ておりますので!」
「……………………………………………ブハッ!」
私は真剣に言っているのにエリスさんは長い沈黙の後思いっきり吹き出してそのまま爆笑までした。こっちは色々悩んで来てるのにそれはあんまりじゃないかと睨んでも彼にはまったく効いていないようで更に腹立たしい。
「んじゃ…よっ、ベッド行くか?」
突然持ち上げられてスタスタと歩かれるものだからされるがままに受け入れてしまう。暴れたら落ちるのは怖いし口だけで無駄な足掻きをする。
「おっ、お皿とかっ!洗わなくちゃ…っ、油汚れが…っ」
「気にするとこそこかよ、いいよ明日やっとくから…それともなんだ、まだ準備出来てない?風呂とか入りたいか?」
「そ、それは…もう入ったから大、丈夫…だけど」
「ヤる気満々じゃねぇか、俺ももう浴びてるし…このまま抱いても、いいんだよな?」
ギィとドアが開いてその奥のベッドが目に入ると顔が熱くなる。
(こ、ここで…エリスさんに…)
そんなのを見ている間も無くその上に押し倒されてしまう。エリスさんが上から覆いかぶさるとベッドが軋む音を立ててただそれだけで体がぴくりと反応してしまう。
そんな私を知ってか知らずかゆっくり顔が近付いてそっと唇が重なる。ただ仕事で顔を合わせる間柄だった彼とキスをしている現実を受け止められなくてパニックに陥りながらもなんとか平静を装おうとする。
「いや、俺の家の住所なんで知ってるわけ?」
「学校の名簿をちょちょっとお借りして…」
ドアを開けた彼は呆れた顔で私を見ると玄関の前に置き去りにするのも嫌なのか私の腕を引いた。
「ちょうど今メシ作ってたんだけど食うか?」
「いいんですか?」
「セックスの途中で腹鳴らされても萎えるからな」
思ったよりいつも通りだ、と思っていたところに爆弾を投下される。まぁ、確かにセックスはするんだけど…こうもはっきりと言われてしまうと変に意識してしまう。
「まぁ、そう緊張すんな。すぐとって食おうなんて思っちゃいねぇよ」
ミートソースのスパゲティをお皿に盛りながらそう言う彼だが緊張しない訳がない。
「それにしてもまさか本当にシにくるなんて思いもしなかった。彼氏とか…いないのか?」
「な、ないない!」
彼氏がいるのにホイホイ釣られるようなそんなチャラついた女に見えていたんだろうか。必死に否定しながら、夕飯の手伝いをする。とは言ってもほとんど料理はできていたのでフォークを出したり、コップに飲み物を注ぐくらいだが。…にしてもやけにスパゲティの量が多い気がする。軽く5人前くらいあるんじゃないか。
「これ、一人で食べるつもりだったの…?」
「半分食って残りは明日の朝メシにでもしようかと思ってたけど」
それでも2.5人前を食べようとしていたのか。そう言えば昼休憩中に用務員室に行った時も弁当箱が3つくらい並んでいたような気がする。
「体動かすからメシいくら食っても足りねぇんだよな。ま、この後お前と運動もするしお前もちゃんと食っておけよ」
1.5人前程の量を差し出されて、せっかく痩せる努力をしたのに…と思いつつも良い香りが食欲をそそってありがたくもらうことにする。
「い、いただきます…」
弁当を持ってきてるくらいだから料理するのは分かってたけど、結構腕がいいんだなと思いながら料理を眺める。
「なんだ、なんか苦手なものでも入ってたか?」
「いやいや、あまりに美味しそうで!」
口に入れると見た目通り美味しくて二口目三口目もパクパクと食べ進めてしまう。何かスパイスのようなものが入っているのか鼻から良い香りが抜けていく。
「そんな焦って食うと詰まらせるぞ」
「だってすごいおいしいんだもん!トマトの味が濃くて!」
「親父が家で作ってるやつでな、たまに持ってきてくれるんだ」
珍しく嬉しそうに笑う口元につい見惚れてしまう。いつもは鼻で笑ったり皮肉げな笑いしか見せないんだけど…
「エリスさんのご家族って農家やってるの?」
「まぁな、ガキの頃からよく手伝わされたよ」
どうりで色々と器用に用務員の仕事をするものだ。外での作業に昔から慣れているからだろう。そうやって食べ進めているとあっという間に完食してしまった。
「あー!美味しかった。ご馳走様でした!」
「お前…呑気に食ってるけど何しに来たか忘れたわけじゃないよな」
水を飲みながらそう言う彼に、今更ながら交渉を思い出した。今更怯んだところで意味はないしこの1週間で既に覚悟は決めている。全ては理想の肉体美のデッサンのため、つい椅子の上なのに正座になってしまう。
「じゅ、準備は出来ておりますので!」
「……………………………………………ブハッ!」
私は真剣に言っているのにエリスさんは長い沈黙の後思いっきり吹き出してそのまま爆笑までした。こっちは色々悩んで来てるのにそれはあんまりじゃないかと睨んでも彼にはまったく効いていないようで更に腹立たしい。
「んじゃ…よっ、ベッド行くか?」
突然持ち上げられてスタスタと歩かれるものだからされるがままに受け入れてしまう。暴れたら落ちるのは怖いし口だけで無駄な足掻きをする。
「おっ、お皿とかっ!洗わなくちゃ…っ、油汚れが…っ」
「気にするとこそこかよ、いいよ明日やっとくから…それともなんだ、まだ準備出来てない?風呂とか入りたいか?」
「そ、それは…もう入ったから大、丈夫…だけど」
「ヤる気満々じゃねぇか、俺ももう浴びてるし…このまま抱いても、いいんだよな?」
ギィとドアが開いてその奥のベッドが目に入ると顔が熱くなる。
(こ、ここで…エリスさんに…)
そんなのを見ている間も無くその上に押し倒されてしまう。エリスさんが上から覆いかぶさるとベッドが軋む音を立ててただそれだけで体がぴくりと反応してしまう。
そんな私を知ってか知らずかゆっくり顔が近付いてそっと唇が重なる。ただ仕事で顔を合わせる間柄だった彼とキスをしている現実を受け止められなくてパニックに陥りながらもなんとか平静を装おうとする。
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