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act1 激甘悪夢のはじまり
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「エリスさんっ、絵のモデルになって!」
「またお前か、断る」
私、シャノン・ヴァーノンが勤める中学校の用務員をしている彼、エリス・スチュアートは心底嫌そうな表情をして私を見た。嫌そうな顔、とはいえ彼の目元は無造作に伸ばされた前髪で隠れうかがえる表情は口元で感じ取るしかない。
「えー!いいじゃんいいじゃん!その肉体美晒さないのは勿体無いよ」
「俺の体目当てのド変態美術教師が、こんなのが教師なんて世も末だな」
この世界には獣人という存在がいる。種類は獅子や狼といった大型獣から兎や鼠といった小動物まで。一見外見は普通の人間のようだが、姿をその獣に変えられたり、動物のような優れた五感を備えていて普通では無い。それぞれ一族は大体はまとまった集落で暮らしており、ここは熊の獣人の村にある中学校で、全校生徒も50人ほどの小さな学校だ。そこで私は美術教師として、彼は用務員として働いていた。勿論私たちも獣人だ。
彼は息を吐きながら雑草の入ったゴミ袋を焼却炉に投げ込んだ。そんな彼の服装はつなぎの胸元をはだけさせて汗が滴っていた。隙間から見える胸元や腹筋は大層なものだと窺える。初めて彼に出会った時はもっさりして陰気そう、人付き合いも下手で周囲からも避けられがちで近寄りがたかった。だが、夏のある日彼のはだけた服を見てあまりの肉体美に美術家としての血が疼いた。それ以降毎日このやりとりをして早2年になる。
「ド…っ、ド変態なんてひどい!てか生徒も居るようなところでそんなこと言わないでよ!」
「ド変態だろーが、俺の体見て以来追っかけまわしやがって。仕事の邪魔だから出ていけ」
「美術の授業で使う木材をエリスさんに手伝ってもらって裏山で探してくださいって校長に言われて」
私の言葉にエリスさんは隠そうともせず舌打ちをして首にかけたタオルで体を拭いて、つなぎのチャックを首まで上げた。目の保養がなくなってなんだか残念に思うが「ついてこい」という言葉に大人しく従った。
裏山は彼が校内で1番よく知っている。軽い足取りで黙々と歩いていくが、慣れない私は辿々しくついて行った。
「おい、大丈夫か」
柄にもなく腕を貸してくれる彼に目を丸くする。先程の会話からもわかるように”ド変態”とか平気で言うような人なので優しさは滅多に出さない。怪しみながらも優しさを無下にもできず、彼の手を借りた。
「よっ…と、ここからは歩けるか?」
「あ、りがと…」
あの逞しい筋肉を持っているだけある。軽々と私を持ち上げて足場が悪いところから安定したところに運んでくれた。悔しいがなんだかその男らしさにときめいてしまう。
「お前基本ちんちくりんだがおっぱいだけは上物だよな」
彼は私の胸を掴んでふにふにと揉みしだいた。前言撤回。私は腕を振りかぶって彼の頬を思いっきり引っ叩いた。
「ってぇな…俺のおっぱいは視姦してるくせに俺が揉むのはだめなのかよ」
「だめに決まってるでしょ!」
「あーあ、そうかよ。セックスさせてくれたら絵のモデルもやってやってもいいんだけどな」
軽い冗談なんだろうが私はその言葉に反応した。2年粘ってきた中で彼は今まで全く折れたことがなかったので食い付かずにはいられなかった。
「ほ、ほんと?!」
「まぁ、最近めちゃくちゃ溜まってるし…女いねぇからな…なーんて真に受けんじゃねぇ…」
彼が何かを言っている間私は脳内でぐるぐると考え込んでいた。無駄に発達した胸のせいで誤解されがちだが私はガチガチの処女だ。でも気まぐれでもこんな提案をされたら逃すわけにはいかない。
「じゃあ!1週間…っ、待ってくれませんか?」
「は?」
「それまでに心の準備しておくので!」
それだけ言って私はエリスさんから離れたところで木材の採取を始めた。こう宣言した以上もう後戻りはできない。
その日から肌の手入れを念入りにして下着も新しいものを買ってみる。1週間というわずかな時間だが諦めは見せず運動なんかして少しでも痩せるよう努力した。
正直、行為自体に興味がないと言えば嘘になる。知り合いの経験談によると気持ちいいっていう話だし、並の人間程度に性欲だってある。ただ仕事と絵画のことばかりで機会はすっかり失っていたが。
「またお前か、断る」
私、シャノン・ヴァーノンが勤める中学校の用務員をしている彼、エリス・スチュアートは心底嫌そうな表情をして私を見た。嫌そうな顔、とはいえ彼の目元は無造作に伸ばされた前髪で隠れうかがえる表情は口元で感じ取るしかない。
「えー!いいじゃんいいじゃん!その肉体美晒さないのは勿体無いよ」
「俺の体目当てのド変態美術教師が、こんなのが教師なんて世も末だな」
この世界には獣人という存在がいる。種類は獅子や狼といった大型獣から兎や鼠といった小動物まで。一見外見は普通の人間のようだが、姿をその獣に変えられたり、動物のような優れた五感を備えていて普通では無い。それぞれ一族は大体はまとまった集落で暮らしており、ここは熊の獣人の村にある中学校で、全校生徒も50人ほどの小さな学校だ。そこで私は美術教師として、彼は用務員として働いていた。勿論私たちも獣人だ。
彼は息を吐きながら雑草の入ったゴミ袋を焼却炉に投げ込んだ。そんな彼の服装はつなぎの胸元をはだけさせて汗が滴っていた。隙間から見える胸元や腹筋は大層なものだと窺える。初めて彼に出会った時はもっさりして陰気そう、人付き合いも下手で周囲からも避けられがちで近寄りがたかった。だが、夏のある日彼のはだけた服を見てあまりの肉体美に美術家としての血が疼いた。それ以降毎日このやりとりをして早2年になる。
「ド…っ、ド変態なんてひどい!てか生徒も居るようなところでそんなこと言わないでよ!」
「ド変態だろーが、俺の体見て以来追っかけまわしやがって。仕事の邪魔だから出ていけ」
「美術の授業で使う木材をエリスさんに手伝ってもらって裏山で探してくださいって校長に言われて」
私の言葉にエリスさんは隠そうともせず舌打ちをして首にかけたタオルで体を拭いて、つなぎのチャックを首まで上げた。目の保養がなくなってなんだか残念に思うが「ついてこい」という言葉に大人しく従った。
裏山は彼が校内で1番よく知っている。軽い足取りで黙々と歩いていくが、慣れない私は辿々しくついて行った。
「おい、大丈夫か」
柄にもなく腕を貸してくれる彼に目を丸くする。先程の会話からもわかるように”ド変態”とか平気で言うような人なので優しさは滅多に出さない。怪しみながらも優しさを無下にもできず、彼の手を借りた。
「よっ…と、ここからは歩けるか?」
「あ、りがと…」
あの逞しい筋肉を持っているだけある。軽々と私を持ち上げて足場が悪いところから安定したところに運んでくれた。悔しいがなんだかその男らしさにときめいてしまう。
「お前基本ちんちくりんだがおっぱいだけは上物だよな」
彼は私の胸を掴んでふにふにと揉みしだいた。前言撤回。私は腕を振りかぶって彼の頬を思いっきり引っ叩いた。
「ってぇな…俺のおっぱいは視姦してるくせに俺が揉むのはだめなのかよ」
「だめに決まってるでしょ!」
「あーあ、そうかよ。セックスさせてくれたら絵のモデルもやってやってもいいんだけどな」
軽い冗談なんだろうが私はその言葉に反応した。2年粘ってきた中で彼は今まで全く折れたことがなかったので食い付かずにはいられなかった。
「ほ、ほんと?!」
「まぁ、最近めちゃくちゃ溜まってるし…女いねぇからな…なーんて真に受けんじゃねぇ…」
彼が何かを言っている間私は脳内でぐるぐると考え込んでいた。無駄に発達した胸のせいで誤解されがちだが私はガチガチの処女だ。でも気まぐれでもこんな提案をされたら逃すわけにはいかない。
「じゃあ!1週間…っ、待ってくれませんか?」
「は?」
「それまでに心の準備しておくので!」
それだけ言って私はエリスさんから離れたところで木材の採取を始めた。こう宣言した以上もう後戻りはできない。
その日から肌の手入れを念入りにして下着も新しいものを買ってみる。1週間というわずかな時間だが諦めは見せず運動なんかして少しでも痩せるよう努力した。
正直、行為自体に興味がないと言えば嘘になる。知り合いの経験談によると気持ちいいっていう話だし、並の人間程度に性欲だってある。ただ仕事と絵画のことばかりで機会はすっかり失っていたが。
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