剛柔なお前の為。

pom

文字の大きさ
上 下
168 / 171

ep 166 鎮火

しおりを挟む


大河はリビングに向かい、ソファーに座ると近くに置いてあったスポーツ雑誌を読み始める。


そしてある記事を見るなり目を見開いて記事に驚愕していた。


一方その頃、翔吾と翔磨はシャワーを浴びた後、急いで身体を拭きあげている。


翔吾 「……後は、オヤジだけだな。」


翔磨 「……ああ。…大河は大丈夫だとは思うが……オヤジと浩介のケアを信じよう。…無闇に行動を起こすなよ。」


翔吾 「…わかってるって。」


翔磨は話しながなら、自身のアナルに塗り薬を塗る。


翔磨 「それより、お前の凶器なんとかしろ!!」

翔吾 「人の事あんまり言えないぜ……ってか兄貴もマゾだったのかよ////」


翔吾は翔磨の耳たぶを指で摘む。
 

翔磨 「違うっつの!/////何か、大河の目で睨まれると興奮しちまうんだよ/////……お前もわかんだろ。」


翔磨は翔吾の背中を、手のひらで撫で下ろす。


翔吾 「んっ///// ああ。わかる……全く別人になってる……俺、あの大河兄ちゃんには逆らえねー////…こえーんだよ」


翔磨 「お互い、チキン野郎だったなw」


2人は小突き合いながら大河のいるリビングに向かう。





翔磨 「大河、何読んでんだ…………ぁw」


翔吾 「んー?スポーツ雑誌?今週のか。」


大河は2人に記事開いて見せつける。


大河 「これって、この前の休日の取材?だよな。」


翔吾 「…何て書いてあんだ。…んーーーと………ぶぁはっ!www」


笑い出した翔吾に大河は睨み付ける。


翔吾 「………ごめんなさい。…でもこれはw」



記事の内容はこのようなものであった。



〔突撃!!坂鬼選手の休日と家族サービス〕


先日、モールにて坂鬼選手とそのご兄弟に遭遇した。
 
次男さんは体格に非常に恵まれており、鋭い目付きと溢れ出すオーラは未来の翔磨氏を思わせる程の期待を感じさせた。
翔磨氏に負けずと劣らずの品格である。


一方で末っ子さんは2人に比べると小柄で大人しげな様子であるが、年下であるのにも関わらず落ち着きのある方である。
そして、服の下からでも容易に肉体美が想像がついてしまう。
何よりも、鮮烈であったのは時折見せる彼のはにかむ笑顔である。
青年になりかけている凛々しい顔付きの中に人々を寄せ付ける魅力を感じさせる。


坂鬼選手はこう語る。  


「母が亡くなって以来、弟には世話になってばかりでした。ちっぽけな事しかできませんが、兄としてアイツらには、もう我慢はして欲しくないんです。」


文章の背景には翔磨の普段着の写真と、顔は写ってないがくり抜かれた2人が並ぶ写真が乗せられていた。

そして翔吾のシルエットには次男、大河のシルエットには三男と記載されていた。


翔磨 「いや、俺もジムの奴らが言ってくるまで知らなかったんだよw」


翔吾 「…まー、身長と体格だけで判断したんじゃね?w ……てか、兄貴って結構有名だったんだな意外だぜ」

大河 「…俺も別にいいけど。……確か兄貴、人気あんだなぁー。。かっこいい///」


翔磨は上機嫌になり、2人の首に腕を回して引き寄せる。


翔磨 「だろーw お前らのお兄ちゃんはすげーんだぞ!見直したかw!」


2人は苦笑しながら翔磨をあしらっていた。



三人はしばらくソファーで各々雑誌を読んでいると、大河の吐息が聞こえて来た。


翔磨と翔吾は読んでいた雑誌を閉じ、大河に話しかける。


翔磨 「大河、寝るならベットに行けー。首痛めるぞー。」


翔吾 「抱っこして連れて行ってやろうか?w」


大河はフッと、寝ぼけながら目を覚ます。


大河 「……ぁ。…っ。…いや、いい………ねみぃ…」

大河はむくっと立ち上がって、2人に構う事なく2階に上がっていく。


翔磨と翔吾は後ろからついていき、リビングや廊下の電気を消しながら進む。

翔磨 「おやすみ……」

翔磨は挨拶しながら自分の部屋に入っていった。


大河はベットにダイブして、ど真ん中で眠りについた。

翔吾は電気を消してゆっくりと進み、無理矢理大河の隣に寝転ぶ。


大河 「……せめー。。…ぁちー。。」

大河はTシャツを脱ぎ捨て上半身肌になった。


翔吾は大河のむっちりと少し冷んやりした筋肉に手を当てて、軽く抱きしめる。


以前に大河の胸筋についた、傷があったところを撫でながら翔吾は心の中で呟く。


翔吾 (大河兄ちゃん……俺達と浩介さん、どっちが好きなんだよ////……行くなよ、何処にも…。もう少しだけ…)


翔吾は大河を取られないように包容して眠りについた。




--------------大河の期待------------------



朝が来た。

夏入り、日の出が早くなる。


大河は熱苦しくて目覚める。

あまり気持ちが良くない起き方をしてしまった。


大河を抱きしめていた大きな弟の腕を、ぺしんっと軽く叩いた。


翔吾 「んん゛ーー。あちーー。。」


翔吾は寝返りを打ちながら寝言を言っている。


大河 「こっちのセリフだっての…」
大河 (そろそろエアコン付けて寝ようかな。)

大河は起き上がり、Tシャツを着るといつものようにトイレをして仏壇向かう。


水を替えようとすると大河は気付く。


大河 (あれ?もう替えてある…)


大河は翔座か翔磨が変えたのだと思い、どちらかを探す。


すると、畳の間から物音と声が聞こえてくる。





しおりを挟む

処理中です...