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ep 8
しおりを挟む----------所変わって風呂場----------
翔吾はシャワーを頭からかぶり続けていた。
翔吾 (兄ちゃんがまた死合いをした?!あのクソ優しい兄ちゃんだぞ?、何か理由があるのか?それとも本当に殺り合うつもりで…)
翔吾は頭の中は混乱している。
翔吾 「結局また、俺は何も出来なかったの…か。」
翔吾は涙がこみ上げてくる。
不甲斐ないせいなのか、悲しいだけのか色々な感情が混沌とする。
翔磨 「翔吾、聞こえるか?」
翔吾 「ああ。」
翔磨 「………すまん。大河からお願いされた時、俺は断れなかった。あいつを堕として敗北させればもう二度あの“衝動”は起きないっと思ってたんだ。…読みが甘かった。ただ俺はまた、負けただけだ。お前のせいじゃない。」
翔吾 「…………。」
翔磨 「それと、あいつは俺たちの唯一の兄弟だ。今はただ、何事もなかったように受け入れてくれねーか?……頼む。アイツを否定したくはない。」
翔磨が脱衣所のを出る音が響く。
翔吾 「ああ。……分かってる……。」
翔吾の声は強い意志だが震えていた。
大河は、うっかりとしていた。
親父である翔座が今日は夕飯がいらないという事をすっかり忘れていたため、少し多く作りすぎてしまった。
唐揚げを揚げ終えて、盛り付ける。
ご飯、サラダやらスープやら並べていく。
翔磨は翔吾が風呂からあがるまでTVを見ていた。
大河の顔をあまり見ようとしない。
翔吾 「ぅぃー上がったぁぜ!」
少し元気がないが翔吾も気丈に振る舞ってくれているようだ。
翔磨 「うっし!食べよーぜぇ」
2人を先導する兄の翔磨。
3人が席に付き、「いただきます。」をする。
このとき会話は、ほとんど無かったが唐揚げはどんどん減っていく。
翔磨、翔吾が茶碗を大河に突き出しおかわりをねだると無言で受け取って、大河が大盛りによそう。
「うまうま」と言いながら食べ進める2人をみて、幸せだった。
だから大河は泣かなかった。
しかし、翔吾は我慢ができないようだ。
翔吾 「うめぇー、クソォー。。」
翔吾は泣きながら食べている。
翔磨は目は赤いが、2人を微笑ましく見つめ、ニヤっと笑ってる。
大河は2人に「おかわりいるか?」ときくと
2人は「「いる!」」と答えた。
------所変わってとある居酒屋にて-----
坂鬼翔座は携帯を眺めながら時刻を確認する。
昼飯を食い終え、腹が減りだす夕方とぎに、旧友の田中から送られてきた最悪の連絡。
何度も連絡が入っていたにも関わらず、仕事で連絡を取る事ができなかった。
《大河くんの衝動が再発した。大河くんと翔磨くんで死合いが発生、翔磨くんに大河くんを託したところ、翔磨は敗北したが大河くんの自我は壊れる事はなかった。不謹慎だが、二人とも幸い軽症だ。至急ご連絡をください。》
我が息子達に再び起こってしまった悪夢。
翔座は翔磨や田中達に一向に
「何故!縛り上げてでも止めなかったぁ!ぁ?!!」
と叫び暴れ尽くしたいのだ。
何も気づいてあげられず、止める事もできない父親を棚にあげて。
しかしそんなことをした所で大河が、自我を壊してしまうリスクがある事は明白だった。
壊れればそれで、最後だ。
と自分自身に言い聞かせる。
翔座はひとまず田中に、
《すまなかった、俺の子供達を守ってくれてありがとう。あとは俺に任せてくれ。ありがとう》
とだけを伝えた。
そして今翔座はある人物と待ち合わせをしている。
翔座 「ちっ!もう、待ち合わせ時間とっくに過ぎてんぞ!!……ばっくれられたかぁ?…」
翔座がひとりでボヤいていると、待ちわびていた男が姿を見せる。
? 「よぉー、久しぶりだなぁー?元気にしてたか?ちょい老けたなお前。」
翔座 「人を待たせておいて、ふざけるな。」
? 「おいおぃ、いきなりアポなしで会いてーって言ってきたのはお前だろ?」
翔座 「……ぅ。すまない。少し、取り乱した。」
? 「はっは!お前のそういう素直な所好きだぜぇー?」
翔座 「…………。」
? 「そんな顔、和泉のとき以来だなぁ。
…………なんだ?相当まいってるようだな。」
翔座 「……………。」
? 「とりあえず、酒呑みながら話そうぜ、あとつまみもな!」
翔座 「ああぁ。」
? 「それでこそ、俺の弟だぜ!なぁ?翔座ぁ!!」
ヘラヘラ笑うこの男は
鷹虎 浩二 (たかとら こうじ)
歳は翔座よりも少し上で、
身長も同じくらい180後半である。
しかし、筋肉と体格は翔座より大きくむっちりとしている。
短髪だか、オールバックで固めてありネクタイは緩く、無精髭が目立つ。
タバコが良く似合い、大人の色気が際立つ。
面白い事は好きだが、面倒な事はしない。
しかし、優しい目つきに男女が惚れる。
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