剛柔なお前の為。

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ep 1 坂鬼家 朝のルーティンから始まる。

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〔坂鬼家 朝のルーティン 〕



 カーテンの隙間から青白い朝日が差込み、鳥が鳴き始めた。


大河 「………ぁちー。。」


腹の上に置かれた拳が傷だらけの手を退ける。


上半身だけ起こし、少し背伸びをする。


ぐーっと伸ばせば背中から一気に快感が走る。

気持ちがいい。


大河 「っしゃ。、起きるか……」

と大河はポツリと呟く。


すると退かしたはずの大きな手が動き、ゆっくりと大河の背中に回る。

むっくりと腹に顔を埋め始めた。



大河は目の前にいる無駄にデカい弟に微睡ながら話しかける。


大河 「おい。翔吾、離せ。動けね…」
大河 (なんかこいつまた、拳の傷増えてないか?…)


さらに回した手に力が入り、二の腕、前腕の筋肉が少し盛り上がる。



翔吾「ん゛ー。…」


大河よりも低い重低音な声が腹に伝わる。
 

大河 「おい。いい加減離せ」


トイレに行き用を足したい為、大河は力を入れて隙間を広げる。

翔吾「…んだよ。」

大河 「んだよじゃねーよ、朝だ。離せ」

翔吾「まだ眠ぃー。も少しいいだろ。。」

大河 「わーかったら、どいてくれ。」

翔吾 「……。」


すーと、腕を退かし大河を解放する。

翔吾 「も少し寝るわ…」

といって翔吾はまた眠りにつく。



大河はベットから起きて立ち上がるとデカい弟を見た。


体を横にして寝ているため、こちらに顔が向いている。


翔吾は左眉上に傷がある。


起きていると目付きはよくないが、寝ている時は無邪気な寝顔に変わるため、大河は少し頬かあがる。


大河は、くしゃりと翔吾のスポーツ刈りの頭撫でる。


弟である翔吾は兄である大河の言う事は大抵は大人しくきく。

歳下という事もあり何だかんだ、兄として少し甘やかしてしまうようだ。


しかし、そろそろ自分の部屋で寝てもらいたい大河である。



着替えて自分の部屋を出て2階の廊下の電気をつける。


1階へ降りて行き、トイレで用を足して、顔を洗い、ついでに歯磨きをする。


キッチンに向かいガラスカップ一杯の水を注ぐ。


そしてリビングの隣にある和室に向かう。


仏壇に座り、母の写真のとなりにあるコップの水を取り替える。



水をコトッと置いて、リンを二回鳴らす。



手を軽く合わせ
「おはよ。。」と呟く大河。

音が消え始めると同時に、ふすまが開く音が響く。

大河は座ったまま、ふすまの方に顔を向ける。




? 「…おう、大河相変わらずはえーな。」

ニヤリと笑う強面。


180後半はある大柄な男。タオルを首にかけ汗を拭いてる。


肩、腕、足にかけて筋肉がガッチリとしている為かより大きく見える。



寝起きの為か無精髭と短髪の跳ねた寝癖が目立つ。大人の色気と子供っぽさが共存している。



大河 「おはよ。父さん。」


微笑みながら座布団から立ち上がる。

大河の父親である。
坂鬼翔座(さかき しょうざ)


元日本国対テロ部隊所属 小隊長 
(親族にには内密にされている。)


現 警視監 である。



翔座 「ん、おはよーさん」


ニカッと笑い、目が細まり少し目尻にシワができる。

悪ガキが笑ったような顔だ。



大河 「飯できるまで時間かかるから、コーヒーでも飲むか?」


翔座 「いや、筋トレで汗かいちまったから、さきに風呂入るわ。」


大河 「わかった、風呂の水後で洗濯で使うから抜かないでいいよ。」


翔座 「ほいよ。」


大河は空いたふすまから出ていきキッチンへ向かう。



後ろ姿の息子を、優しく愛おしそうに見つめる翔座。



翔座は仏壇の前には座らず、腰を折りかがめてりんを二回鳴らす。

妻の写真を見つめて呟く。

翔座 「和泉(いずみ)ちゃん、やっぱ子供は可愛いもんだな…。」


写真を見つめる眼差しは、先程の大河を見る目と変わらず、優しい。


りんの音が消えることを確認したら
翔座は風呂に向かった。



----------所は変わりキッチへ。----------


朝の準備は忙しい。


大体は大河が用意を行う。



この家には食に飢えた野獣どもがいるから、食事には手を抜けない。


大河はキッチンへ着くと朝食の準備に取り掛かる。


昨日の余り物の煮物と味噌汁の具材、納豆など朝食の材料を賞味期限を見ながら冷蔵庫を物色して行く。



鮭を焼いてる間にだいこんの味噌汁を作りながら、卵焼きを作っている。


すると2階の階段からドコっ、ドコっとゆっくり降りてくる音がする。


男は朝食の匂いに釣られて起きてきた様だ。



? 「おはょ゛。…」

この男もまた、身体がでかい。

父親の翔座と同じくらいの大きさだが、肩幅が広く背中が大きい。


腕の筋肉もさることながら背筋から下半身への肉体は完璧に鍛え上げている。



実戦向きの筋肉。日焼けをしている為よりはっきりと肉付きがよく分かる。


ただ、眠くて目が余り空いてない。


ツーブロックで片方だけ剃り込みが入っており少し赤く、焦げ茶色い短髪が所々跳ねている。


大河は顔だけを見て「おはよう」とだけ返した。


? 「ん゛ぁーーーー。ねみー。大河 コーヒー貰えるか?」

と、くっきりと割れた肉付きの良いお腹をかきながら、ソファーに腰掛けTVを付ける。


大河 「あいよ、兄貴」

と、大河がコーヒーを差し出すと


「さんきゅっ。」と口を尖らせ両手で貰う男は。



坂鬼家三兄弟の長男 

坂鬼 翔磨 (さかき しょうま)

総合格闘技 チャンピオン


目が冴えてきたのか、コーヒーで目がだんだんと開き、目付きは鋭くなる。


時折見せる笑顔は強面を打ち消す。






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