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宝石とパンダ
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「お加減はいかがでございますか?」
「ええ、かなりいいわ」
私が医師の問い掛けに答えると、医師の方は少し意外そうな様子を見せた。
「そうですか、少し休まれたのが良かったのでしょう。奥様は回復がお早いようですな」
「私が倒れた原因をご存知ですの?」
不可思議過ぎる鉱山での出来事の理由を知る可能性は低いと思いつつも、医師に一応問い掛けてみる。
「いえ、直接の原因は存じませんが、奥様が意識を失われた原因は推測できます」
「まあ、何ですの!?」
「はい、よくある事例と致しましては、魔力の枯渇で倒れられるという事があります。しかし、倒れられた直後に診察させて頂きましたが、奥様のご様子は魔力の枯渇の症状とは少し違うようでした」
成程、魔力を使い過ぎるとかなり危険だと互助組合長も言っていました。
魔力を使い果した状態で魔法を使おうとすると、自身の生命力までも消費してしまうので、とても危険なようです。
けれど、私の場合は違うと医師が言っていますね。
「魔力を使い過ぎると、それ以上の力の消耗を防ぐ為に心音が極端にゆっくりになり身動きもほぼしなくなります。体の無意識の自衛本能ですね。しかし、奥様にはその兆候は見られませんでした」
「つまり、他の原因があるという事ですよね?しかも、原因の推測は付いていらっしゃると先程言われましたわね?」
頭の良い人の性と言おうか、それとも医者の性なのか、医師の説明は若干回りくどく、思わず急かすように口を挟んでしまう。
「はい、恐らく奥様が倒れられた原因は急激に魔力が失われたからだと考えられます。魔法を使用した時のように自らの意思で魔力を消費するのではなく、外部からの要因で吸い取られ、体がそれに耐えられなかったのでしょうな」
「それは珍しい事なのですよね?」
「そうですね、しかし、魔力を吸い取る魔物もいるようで、冒険者などから稀にそういう話を聞きます。まあ、魔力を吸い取られて枯渇状態になり倒れる者もいますので、通常はどちらで倒れたのか判別は難しいのですが、奥様の場合は魔力の枯渇の所為でない事は確実です」
ふむ、急激に血を失った時になる失血性ショックみたいな感じかな?いや、ちょっと違うのか?
まあ、簡単に言うと体がびっくりして倒れちゃったって感じかな。
この世界では大なり小なり皆が魔力を持っているので、魔力も人の体を構成する一部なのだろう。
「では、今後何かお体に差し障りが出るような事はないと考えてよろしいのでしょうか?」
それまで黙って聞いていたベルタが、心配そうに医師に問い掛ける。
「はい、お休みになれば魔力も体力も回復されるでしょう。後は、滋養のあるものでもお食べになって下さい」
「そうですか、安心いたしました。本当にありがとうございました」
「それでは、また何かありましたらすぐにお呼び下さい」
そう言うと、医師はベルタに見送られ帰って行った。
さて、取り敢えず意識を失った理由は分かった。
では、なぜ、魔力は急激に吸い取られたのか?
やはり、あの鉱山の宝石に触れた所為だと考えるのが、妥当なのだろうけど、、、
「ベルタ、鉱山での様子を教えてくれるかしら?」
「はい、私も一緒に入った三人から聞いた話ですので詳しい事は存じませんが、奥様が宝石に触れた瞬間目が眩むような光に包まれ、そして、次に三人が目を開けた時には奥様が倒れられ、、、壁にあったはずの宝石は消えていた、との事です」
「え!?宝石がなくなったの!?」
「はい、壁から何かくり抜かれたような跡が残るのみで、跡形もなかったようです」
ベルタが困惑をあらわにする。
確かに驚きだ。あれ程大きなものが急になくなるなんて、、、
しかも、硬くて掘り出せなかったはずのものがなぜ消えたのか?疑問ばかりが思い浮かぶ。
「他に変わった事はなかったのね?」
「はい、あっ、いえ、ありましたね」
私の問い掛けに、ベルタの視線が私の枕元に向かう。
そこでは、パンダが可愛らしくうつ伏せになり寝ていた。
ああ、この子がいましたね。
最大の疑問のはずなのに忘れていました。
一体この子はなぜここに?いや、そもそもなぜ、パンダがこの世界に?謎ばかりです。
「この子はなぜここにいるの?」
取り敢えず、目下の問題から片付けていこう。
「はい、この、、、聖獣様が奥様から離れようとしなかったのです。それに、近くにいると奥様の呼吸が落ち着くようでしたので、、、聖獣様ですし、危険もないかと思いまして」
聖獣、、、やっぱりそういう認識だよね。
ベッカーのよく分からない決め付けで聖獣認定されたパンダだが、まさか本当にこの世界で見る事になるとは思いませんでした、、、
どうせ聖獣は幻の存在だし、本物のパンダがこの世界に現れる事もないだろうし、と否定しなかったツケがこんな形で回ってくるとは考えてもいませんでした。
ベッカー、、、どうしてくれるの!?否定しなかった私も悪い?いや、そうだけどさ!もう!どうしてこうなるかな!?
「奥様、お加減がお悪いのでしたら、休まれた方が、、、」
私が頭を抱えていると、ベルタが気遣わしげな様子で声を掛けてくれる。
「ありがとう、大丈夫よ。それで、この子はどこから来たの?」
「それが、よく分からないのです。カールが連れて来たのですが、どうも、鉱山の中にいたらしいんです。それも、例の光の後、忽然と姿を現し、倒れられた奥様の傍に座っていたと、、、」
「そうなの、、、」
う~ん、状況証拠からいうと、どう見てもこのパンダはあの鉱山での出来事に無関係ではあり得ないでしょうね。
そして、多分、宝石が消えた事とも関係がある?
順を追って考えてみよう。
私が宝石を撫でた瞬間、あの光は起きた。
という事は、私の魔力を急激に奪ったのはあの宝石、なのだろうか?
普通の宝石にそんな力があるはずもないが、あれは国宝の"輝石"と同じものだったと考えれば、この不可思議な現象もあり得ない事ではないのかも知れない。
けれど、あの宝石は消えてしまった。
代わりに現れたのが、このパンダ。
この世界にいないはずの生物。
そう、私しか現物を知らないはずのもの、、、
「他に何か気付いた事はあったのかしら?」
何か他の手掛かりが欲しくて、ベルタに問い掛ける。
特に有益な答えを期待をしていた訳ではなく、なんとなく口をついた問い掛けだった。
「あ、そうでした!ドミニクが言っていたのですが、この聖獣様には奥様の魔力が強く感じられるそうです。ドミニクは魔力に敏感で、人の魔力の細かな違いが分かるそうなのです」
パンダに私の魔力が?
、、、確証はないが、一つの仮説が私の頭に思い浮かぶ。
つまり、あのパンダはあの宝石から生まれた。
生まれたという表現が正しいのかは分からないが、あの宝石は卵のようなものだったと考えると、宝石が消えてパンダが現れた説明がつく。多分。
そして、卵が孵るには栄養となる魔力が大量に必要だった。
私の魔力は枯渇してはいないが、かなりの量が体から奪われている。
よく魔力量が多いと言われる私がそう感じるのだから、他の人から同じだけの魔力を取り込む事は不可能だろう。
アマーリエがこの鉱山を買わず、私が態々宝石を見に来なければ、この出来事は起こらなかった。
もしかしたら、宝石は見つかる事もなく、今も地中に埋まっていたかも知れない。
運命?必然?よくは分からないが、何かに導かれている気がしてくる。
ポス。
私が考えに沈んでいると、いつの間に起きたのか、パンダが私の膝の上に座ってこちらを見ていた。
まだ疑問が残っていました。
なぜ、この子はパンダなのか?
本当に推測でしかないが、やはり私の魔力を糧に生まれたからという説明が一番しっくりくる。
魔力の持ち主の想像する形を持って生まれてくる?のだろう。
そんな生物いるのか!?って感じだが、まあここにいるんだから仕方ないでしょう。
、、、まさか本当に聖獣だったりなんかしちゃったりして?まさかね?ハハハハハハ、ハァ。
まあ、不幸中の幸いは、面倒事の種になりそうだった宝石がなくなった事かな!
"輝石"とか見つけたら大騒動間違いなしですからね~
代わりにパンダが現れたけど、まあ、いいでしょう!良かったという事で!ね!パンダ君!
ポトッ。 コロリ。
、、、さ、さあ、お医者さんの言う通り体を休めましょうかね!お休みなさい~
「お、奥様!それはなんでございますか!?」
「何かしら?ベルタ、私は気分が優れないので休みますわ」
ベルタの驚愕を無視して体を横たえる。
「奥様!何かしら?じゃありませんわ!奥様にも見えていらっしゃるでしょう!?現実逃避はお止めください!無駄な抵抗ですわ!」
目を瞑って、正しく現実逃避をしようとした私の肩をベルタが揺さぶる。
現実逃避くらいさせてよ!お願い!
こんなの現実じゃないはずだよ!
パンダの手からポトッと宝石か落ちたなんて見間違いだよ!でしょ!?
しかも、鉱山にあった宝石の小さいバージョンっぽいだなんて、現実のはずないよ!
、、、"輝石"?
いやいやいやいや、違うはず!違うよ!違うでしょ!?違うと言ってください!
あ~~~~~~!!
「ええ、かなりいいわ」
私が医師の問い掛けに答えると、医師の方は少し意外そうな様子を見せた。
「そうですか、少し休まれたのが良かったのでしょう。奥様は回復がお早いようですな」
「私が倒れた原因をご存知ですの?」
不可思議過ぎる鉱山での出来事の理由を知る可能性は低いと思いつつも、医師に一応問い掛けてみる。
「いえ、直接の原因は存じませんが、奥様が意識を失われた原因は推測できます」
「まあ、何ですの!?」
「はい、よくある事例と致しましては、魔力の枯渇で倒れられるという事があります。しかし、倒れられた直後に診察させて頂きましたが、奥様のご様子は魔力の枯渇の症状とは少し違うようでした」
成程、魔力を使い過ぎるとかなり危険だと互助組合長も言っていました。
魔力を使い果した状態で魔法を使おうとすると、自身の生命力までも消費してしまうので、とても危険なようです。
けれど、私の場合は違うと医師が言っていますね。
「魔力を使い過ぎると、それ以上の力の消耗を防ぐ為に心音が極端にゆっくりになり身動きもほぼしなくなります。体の無意識の自衛本能ですね。しかし、奥様にはその兆候は見られませんでした」
「つまり、他の原因があるという事ですよね?しかも、原因の推測は付いていらっしゃると先程言われましたわね?」
頭の良い人の性と言おうか、それとも医者の性なのか、医師の説明は若干回りくどく、思わず急かすように口を挟んでしまう。
「はい、恐らく奥様が倒れられた原因は急激に魔力が失われたからだと考えられます。魔法を使用した時のように自らの意思で魔力を消費するのではなく、外部からの要因で吸い取られ、体がそれに耐えられなかったのでしょうな」
「それは珍しい事なのですよね?」
「そうですね、しかし、魔力を吸い取る魔物もいるようで、冒険者などから稀にそういう話を聞きます。まあ、魔力を吸い取られて枯渇状態になり倒れる者もいますので、通常はどちらで倒れたのか判別は難しいのですが、奥様の場合は魔力の枯渇の所為でない事は確実です」
ふむ、急激に血を失った時になる失血性ショックみたいな感じかな?いや、ちょっと違うのか?
まあ、簡単に言うと体がびっくりして倒れちゃったって感じかな。
この世界では大なり小なり皆が魔力を持っているので、魔力も人の体を構成する一部なのだろう。
「では、今後何かお体に差し障りが出るような事はないと考えてよろしいのでしょうか?」
それまで黙って聞いていたベルタが、心配そうに医師に問い掛ける。
「はい、お休みになれば魔力も体力も回復されるでしょう。後は、滋養のあるものでもお食べになって下さい」
「そうですか、安心いたしました。本当にありがとうございました」
「それでは、また何かありましたらすぐにお呼び下さい」
そう言うと、医師はベルタに見送られ帰って行った。
さて、取り敢えず意識を失った理由は分かった。
では、なぜ、魔力は急激に吸い取られたのか?
やはり、あの鉱山の宝石に触れた所為だと考えるのが、妥当なのだろうけど、、、
「ベルタ、鉱山での様子を教えてくれるかしら?」
「はい、私も一緒に入った三人から聞いた話ですので詳しい事は存じませんが、奥様が宝石に触れた瞬間目が眩むような光に包まれ、そして、次に三人が目を開けた時には奥様が倒れられ、、、壁にあったはずの宝石は消えていた、との事です」
「え!?宝石がなくなったの!?」
「はい、壁から何かくり抜かれたような跡が残るのみで、跡形もなかったようです」
ベルタが困惑をあらわにする。
確かに驚きだ。あれ程大きなものが急になくなるなんて、、、
しかも、硬くて掘り出せなかったはずのものがなぜ消えたのか?疑問ばかりが思い浮かぶ。
「他に変わった事はなかったのね?」
「はい、あっ、いえ、ありましたね」
私の問い掛けに、ベルタの視線が私の枕元に向かう。
そこでは、パンダが可愛らしくうつ伏せになり寝ていた。
ああ、この子がいましたね。
最大の疑問のはずなのに忘れていました。
一体この子はなぜここに?いや、そもそもなぜ、パンダがこの世界に?謎ばかりです。
「この子はなぜここにいるの?」
取り敢えず、目下の問題から片付けていこう。
「はい、この、、、聖獣様が奥様から離れようとしなかったのです。それに、近くにいると奥様の呼吸が落ち着くようでしたので、、、聖獣様ですし、危険もないかと思いまして」
聖獣、、、やっぱりそういう認識だよね。
ベッカーのよく分からない決め付けで聖獣認定されたパンダだが、まさか本当にこの世界で見る事になるとは思いませんでした、、、
どうせ聖獣は幻の存在だし、本物のパンダがこの世界に現れる事もないだろうし、と否定しなかったツケがこんな形で回ってくるとは考えてもいませんでした。
ベッカー、、、どうしてくれるの!?否定しなかった私も悪い?いや、そうだけどさ!もう!どうしてこうなるかな!?
「奥様、お加減がお悪いのでしたら、休まれた方が、、、」
私が頭を抱えていると、ベルタが気遣わしげな様子で声を掛けてくれる。
「ありがとう、大丈夫よ。それで、この子はどこから来たの?」
「それが、よく分からないのです。カールが連れて来たのですが、どうも、鉱山の中にいたらしいんです。それも、例の光の後、忽然と姿を現し、倒れられた奥様の傍に座っていたと、、、」
「そうなの、、、」
う~ん、状況証拠からいうと、どう見てもこのパンダはあの鉱山での出来事に無関係ではあり得ないでしょうね。
そして、多分、宝石が消えた事とも関係がある?
順を追って考えてみよう。
私が宝石を撫でた瞬間、あの光は起きた。
という事は、私の魔力を急激に奪ったのはあの宝石、なのだろうか?
普通の宝石にそんな力があるはずもないが、あれは国宝の"輝石"と同じものだったと考えれば、この不可思議な現象もあり得ない事ではないのかも知れない。
けれど、あの宝石は消えてしまった。
代わりに現れたのが、このパンダ。
この世界にいないはずの生物。
そう、私しか現物を知らないはずのもの、、、
「他に何か気付いた事はあったのかしら?」
何か他の手掛かりが欲しくて、ベルタに問い掛ける。
特に有益な答えを期待をしていた訳ではなく、なんとなく口をついた問い掛けだった。
「あ、そうでした!ドミニクが言っていたのですが、この聖獣様には奥様の魔力が強く感じられるそうです。ドミニクは魔力に敏感で、人の魔力の細かな違いが分かるそうなのです」
パンダに私の魔力が?
、、、確証はないが、一つの仮説が私の頭に思い浮かぶ。
つまり、あのパンダはあの宝石から生まれた。
生まれたという表現が正しいのかは分からないが、あの宝石は卵のようなものだったと考えると、宝石が消えてパンダが現れた説明がつく。多分。
そして、卵が孵るには栄養となる魔力が大量に必要だった。
私の魔力は枯渇してはいないが、かなりの量が体から奪われている。
よく魔力量が多いと言われる私がそう感じるのだから、他の人から同じだけの魔力を取り込む事は不可能だろう。
アマーリエがこの鉱山を買わず、私が態々宝石を見に来なければ、この出来事は起こらなかった。
もしかしたら、宝石は見つかる事もなく、今も地中に埋まっていたかも知れない。
運命?必然?よくは分からないが、何かに導かれている気がしてくる。
ポス。
私が考えに沈んでいると、いつの間に起きたのか、パンダが私の膝の上に座ってこちらを見ていた。
まだ疑問が残っていました。
なぜ、この子はパンダなのか?
本当に推測でしかないが、やはり私の魔力を糧に生まれたからという説明が一番しっくりくる。
魔力の持ち主の想像する形を持って生まれてくる?のだろう。
そんな生物いるのか!?って感じだが、まあここにいるんだから仕方ないでしょう。
、、、まさか本当に聖獣だったりなんかしちゃったりして?まさかね?ハハハハハハ、ハァ。
まあ、不幸中の幸いは、面倒事の種になりそうだった宝石がなくなった事かな!
"輝石"とか見つけたら大騒動間違いなしですからね~
代わりにパンダが現れたけど、まあ、いいでしょう!良かったという事で!ね!パンダ君!
ポトッ。 コロリ。
、、、さ、さあ、お医者さんの言う通り体を休めましょうかね!お休みなさい~
「お、奥様!それはなんでございますか!?」
「何かしら?ベルタ、私は気分が優れないので休みますわ」
ベルタの驚愕を無視して体を横たえる。
「奥様!何かしら?じゃありませんわ!奥様にも見えていらっしゃるでしょう!?現実逃避はお止めください!無駄な抵抗ですわ!」
目を瞑って、正しく現実逃避をしようとした私の肩をベルタが揺さぶる。
現実逃避くらいさせてよ!お願い!
こんなの現実じゃないはずだよ!
パンダの手からポトッと宝石か落ちたなんて見間違いだよ!でしょ!?
しかも、鉱山にあった宝石の小さいバージョンっぽいだなんて、現実のはずないよ!
、、、"輝石"?
いやいやいやいや、違うはず!違うよ!違うでしょ!?違うと言ってください!
あ~~~~~~!!
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4/20ようやく誤字チェックが完了しました
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