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オーブンの日
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「お母様、、、僕、少しお腹が痛いです、、、」
「え!大丈夫!?」
ヴィアベルに即座に駆け寄り、お腹にそっと手を当てる。
「はい、でも、今日は本館には、、、」
床を見ながら後ろめたそうにボソボソと話すヴィアベルに、「ああ、成程」と得心する。
これも成長の証といえるのかな?
今日はオーブンが搬入される日なのだ。
陽光館ではその話で持ちきりで、当然、ヴィアベルの耳にも届いたのだろう。
まあ、一大イベントのような雰囲気で皆ソワソワしているので、そりゃあ子供の好奇心は刺激されますよね。
それにしても、我儘などほぼ言わないヴィアベルが仮病を使うなんて!
フラクスブルベ家に生まれた男子として厳しく躾けられ、しかも、ヒステリックな母親と共に育ったヴィアベルは、普通の子供よりも明らかに大人びている。
物分かりが良過ぎるのも、逆に少し心配です。もっと悪戯っ子でいいんだよ!と言いたくなる。
とはいえ、ここで甘やかしては駄目ですよね。
「そう、では、お医者様をお呼びしましょう。苦いお薬を頂いて、今日はお部屋で一日中安静にしていなければいけないわね」
「その、、、はい、、、」
「ヴィアベル?」
口籠るヴィアベルの頰を優しく撫でると、幼い瞳がこちらを見た。
「お母様、、、ごめんなさい、僕、本当はお腹痛くありません、、、オーブンが見てみたくて、、、」
後悔をいっぱいに滲ませた声でヴィアベルが呟く。
うん、なんていうか、やっぱりうちの子真面目!こちらが何か言う前に既に反省して落ち込んでいる。
子供が一度は言いそうな嘘だよ?
この生真面目さはクリストハルト様に似たのかな?
あの人、一筋縄ではいかない曲者感はかなり漂っているが、根はかなり真面目な人だと思う。
「、、、僕の事嫌いになりましたか?」
「!そんな訳ないでしょう!お母様はどんな時もヴィアベルを愛してるわ。でも、人を騙す行為は良くないわ。そうでしょう?」
「はい、ごめんなさい」
う~ん、"叱る"って難易度高い!
嘘は良くない。でも、生真面目過ぎるのも息苦しくないのかな?と思ってしまう。
ちょっとくらいの嘘ならいいよ、と言うわけにもいかないし、、、
いろいろな経験をして成長していくと分かっているが、やはり、どうかこの子の人生が厳しいものにならないように、と思ってしまう。
本当に子育ては、難しいです。
何が正解なのかはっきり分かればいいけど、そんな訳にもいきません。
だから、せめて誠実でいよう。逃げる事だけはしません。
「ヴィアベル、今日はバームクーヘンというお菓子を作るの。お母様、頑張るから一緒に食べてね?」
「はい!僕も頑張ってお勉強してきます!」
「ええ、じゃあ、お茶の時間に今日の成果を発表しあいましょうね」
「はい!」
元気に返事をしたヴィアベルをハグして、見送る為に玄関まで手を繋いで行きました。
二人で延々と手を振り合っていたら、ベルタに「いい加減になさってください」と叱られちゃった。すみません。
それでは、厨房に向かいましょうかね!
バームクーヘンの為の片栗粉はもう用意できています。
後は、材料を混ぜ合わせるだけなので、特にする事はありません。
勿論、私は何もさせてもらえませんよ!指示する人が一番凄いんです、と皆が言います。ホントに?宥められてる感が半端ないです。ちぇっ。
厨房に近付くと、話し声が聞こえてきた。
この声は料理長ですね。
いつも通り熱く語っているみたいだ。
この間も軽い気持ちでリクエストしたサラダのせいで、ヒートアップして大変でした。
こちらの世界ではあまり生野菜を食べる文化がありません。
でも、熱を加えたら壊れる栄養もあります。
なので、単純に食べたかったのもあり、食卓に出してもらった。
すると、サラダ??と疑問符がつくものが運ばれて来ました。
食べたら歯が丈夫になりそうな野菜達。カレーの具か!?って感じでした。
違うよ!!
料理長を前にして微に入り細に入り懇々と説明しましたとも!!
その時点で、「おお!」と感動していたのに、続いてドレッシングの説明に入ったらもう大変でした。
「お、奥様、貴女様は神の御使わされた料理の化身なのでございますね、、、」
と、拝み出す始末。
なんでやねん!アホか!チャウチャウちゃうねん、ちゃうちゃう!、、、失礼、取り乱しました。
そういう訳で現在のフラクスブルベ家の食卓には多彩なサラダが並び、ビアンカ様にもご好評を頂いております。どうもです!
サラダなので、料理長は葉物野菜を使う事も覚えました。
葉物野菜のレパートリーを増やしたいのか、庭をうろうろ。仕方がないので、スキルで食べらそうなものを教えてあげました。
怪しい草を混入したら駄目ですよ!
「奥様!オーブンが届いたようです」
「そう、では、設置してもらって」
やっと来たね!さあ、作りましょうか!
巨大なオーブンの設置には苦労しましたが、なんとか設置完了しました。
続いて下の受け皿の部分にバームクーヘンの生地を流し込み、横に渡した棒につけて棒を回しながら焼いていきます。
辺りに甘い甘い匂いが充満してきます。
これだよね~
前世で学校に行く途中にあった小さな洋菓子工房がバームクーヘンを焼いてる時の匂い!
多分、今、陽光館中がこの匂いで満たされている事でしょう。
幸せな匂いです~
「ハァ、、、」
彼方此方から吐息のような陶然とした溜息が聞こえてきます。
皆もこの匂いにやられているみたいですね。
いつも通りベルタは涙を流し、料理長は感動に打ち震えています。
お約束ですね!
感動しつつも順調にバームクーヘンは回し焼きされ、独特の丸い層が出来上がっていきます。
「奥様、如何でしょう?」
「そうね、これくらいでいいわ。粗熱が取れたら切りましょうか」
「はい!」
皆、バームクーヘンが冷めるのを固唾をのんで見つめている。
そんなに直ぐには冷めないんですけどね。
料理長に着いて来ている料理人や見習い達は生地が余っていたので、次のバームクーヘンの作成に移っている。頑張って!
今日ここへ来るメンバーを決める際、かなりの混乱があったそうだ。
本館で仕事がある為、全員来るわけにはいかない。「私が!いや、私が!」と、血を見そうになったのを、なんとか料理長が宥めたとベルタが言っていました。
私の知らない間に話がかなり大きくなっています。
バームクーヘン作るだけだよ?
「奥様、宜しいでしょうか?」
オーブンの搬入に着いて来てそのまま残っていたベッカーが話しかけてきた。
「ええ、何かしら?」
「最初にオーブンの発注を頂いた時は、正直戸惑いを覚えておりました。しかし、オーブンが出来上がるにつれ私の中である想いが芽生えました。そして、今日実際に見て確信に変わりました!」
ベッカーが何やら熱く語りかけてくる。
ど、どうしたの?
「奥様!バームクーヘン屋を開きましょう!」
「は?」
なんだかまた大袈裟な話になってきました。
ロゴマークにレシピ本に調理器具の普及に纏わる彼是。後なんだっけ?まだまだ色々ありますよ。
、、、もう、いいんじゃないかな?
「え!大丈夫!?」
ヴィアベルに即座に駆け寄り、お腹にそっと手を当てる。
「はい、でも、今日は本館には、、、」
床を見ながら後ろめたそうにボソボソと話すヴィアベルに、「ああ、成程」と得心する。
これも成長の証といえるのかな?
今日はオーブンが搬入される日なのだ。
陽光館ではその話で持ちきりで、当然、ヴィアベルの耳にも届いたのだろう。
まあ、一大イベントのような雰囲気で皆ソワソワしているので、そりゃあ子供の好奇心は刺激されますよね。
それにしても、我儘などほぼ言わないヴィアベルが仮病を使うなんて!
フラクスブルベ家に生まれた男子として厳しく躾けられ、しかも、ヒステリックな母親と共に育ったヴィアベルは、普通の子供よりも明らかに大人びている。
物分かりが良過ぎるのも、逆に少し心配です。もっと悪戯っ子でいいんだよ!と言いたくなる。
とはいえ、ここで甘やかしては駄目ですよね。
「そう、では、お医者様をお呼びしましょう。苦いお薬を頂いて、今日はお部屋で一日中安静にしていなければいけないわね」
「その、、、はい、、、」
「ヴィアベル?」
口籠るヴィアベルの頰を優しく撫でると、幼い瞳がこちらを見た。
「お母様、、、ごめんなさい、僕、本当はお腹痛くありません、、、オーブンが見てみたくて、、、」
後悔をいっぱいに滲ませた声でヴィアベルが呟く。
うん、なんていうか、やっぱりうちの子真面目!こちらが何か言う前に既に反省して落ち込んでいる。
子供が一度は言いそうな嘘だよ?
この生真面目さはクリストハルト様に似たのかな?
あの人、一筋縄ではいかない曲者感はかなり漂っているが、根はかなり真面目な人だと思う。
「、、、僕の事嫌いになりましたか?」
「!そんな訳ないでしょう!お母様はどんな時もヴィアベルを愛してるわ。でも、人を騙す行為は良くないわ。そうでしょう?」
「はい、ごめんなさい」
う~ん、"叱る"って難易度高い!
嘘は良くない。でも、生真面目過ぎるのも息苦しくないのかな?と思ってしまう。
ちょっとくらいの嘘ならいいよ、と言うわけにもいかないし、、、
いろいろな経験をして成長していくと分かっているが、やはり、どうかこの子の人生が厳しいものにならないように、と思ってしまう。
本当に子育ては、難しいです。
何が正解なのかはっきり分かればいいけど、そんな訳にもいきません。
だから、せめて誠実でいよう。逃げる事だけはしません。
「ヴィアベル、今日はバームクーヘンというお菓子を作るの。お母様、頑張るから一緒に食べてね?」
「はい!僕も頑張ってお勉強してきます!」
「ええ、じゃあ、お茶の時間に今日の成果を発表しあいましょうね」
「はい!」
元気に返事をしたヴィアベルをハグして、見送る為に玄関まで手を繋いで行きました。
二人で延々と手を振り合っていたら、ベルタに「いい加減になさってください」と叱られちゃった。すみません。
それでは、厨房に向かいましょうかね!
バームクーヘンの為の片栗粉はもう用意できています。
後は、材料を混ぜ合わせるだけなので、特にする事はありません。
勿論、私は何もさせてもらえませんよ!指示する人が一番凄いんです、と皆が言います。ホントに?宥められてる感が半端ないです。ちぇっ。
厨房に近付くと、話し声が聞こえてきた。
この声は料理長ですね。
いつも通り熱く語っているみたいだ。
この間も軽い気持ちでリクエストしたサラダのせいで、ヒートアップして大変でした。
こちらの世界ではあまり生野菜を食べる文化がありません。
でも、熱を加えたら壊れる栄養もあります。
なので、単純に食べたかったのもあり、食卓に出してもらった。
すると、サラダ??と疑問符がつくものが運ばれて来ました。
食べたら歯が丈夫になりそうな野菜達。カレーの具か!?って感じでした。
違うよ!!
料理長を前にして微に入り細に入り懇々と説明しましたとも!!
その時点で、「おお!」と感動していたのに、続いてドレッシングの説明に入ったらもう大変でした。
「お、奥様、貴女様は神の御使わされた料理の化身なのでございますね、、、」
と、拝み出す始末。
なんでやねん!アホか!チャウチャウちゃうねん、ちゃうちゃう!、、、失礼、取り乱しました。
そういう訳で現在のフラクスブルベ家の食卓には多彩なサラダが並び、ビアンカ様にもご好評を頂いております。どうもです!
サラダなので、料理長は葉物野菜を使う事も覚えました。
葉物野菜のレパートリーを増やしたいのか、庭をうろうろ。仕方がないので、スキルで食べらそうなものを教えてあげました。
怪しい草を混入したら駄目ですよ!
「奥様!オーブンが届いたようです」
「そう、では、設置してもらって」
やっと来たね!さあ、作りましょうか!
巨大なオーブンの設置には苦労しましたが、なんとか設置完了しました。
続いて下の受け皿の部分にバームクーヘンの生地を流し込み、横に渡した棒につけて棒を回しながら焼いていきます。
辺りに甘い甘い匂いが充満してきます。
これだよね~
前世で学校に行く途中にあった小さな洋菓子工房がバームクーヘンを焼いてる時の匂い!
多分、今、陽光館中がこの匂いで満たされている事でしょう。
幸せな匂いです~
「ハァ、、、」
彼方此方から吐息のような陶然とした溜息が聞こえてきます。
皆もこの匂いにやられているみたいですね。
いつも通りベルタは涙を流し、料理長は感動に打ち震えています。
お約束ですね!
感動しつつも順調にバームクーヘンは回し焼きされ、独特の丸い層が出来上がっていきます。
「奥様、如何でしょう?」
「そうね、これくらいでいいわ。粗熱が取れたら切りましょうか」
「はい!」
皆、バームクーヘンが冷めるのを固唾をのんで見つめている。
そんなに直ぐには冷めないんですけどね。
料理長に着いて来ている料理人や見習い達は生地が余っていたので、次のバームクーヘンの作成に移っている。頑張って!
今日ここへ来るメンバーを決める際、かなりの混乱があったそうだ。
本館で仕事がある為、全員来るわけにはいかない。「私が!いや、私が!」と、血を見そうになったのを、なんとか料理長が宥めたとベルタが言っていました。
私の知らない間に話がかなり大きくなっています。
バームクーヘン作るだけだよ?
「奥様、宜しいでしょうか?」
オーブンの搬入に着いて来てそのまま残っていたベッカーが話しかけてきた。
「ええ、何かしら?」
「最初にオーブンの発注を頂いた時は、正直戸惑いを覚えておりました。しかし、オーブンが出来上がるにつれ私の中である想いが芽生えました。そして、今日実際に見て確信に変わりました!」
ベッカーが何やら熱く語りかけてくる。
ど、どうしたの?
「奥様!バームクーヘン屋を開きましょう!」
「は?」
なんだかまた大袈裟な話になってきました。
ロゴマークにレシピ本に調理器具の普及に纏わる彼是。後なんだっけ?まだまだ色々ありますよ。
、、、もう、いいんじゃないかな?
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