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予期せぬ事態です
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さあ、今日は何して過ごしましょう?
ヴィアベルは本館に行っちゃったし、図書室で読書でもしようかな!
「ベルタ、図書室に参ります」
ベルタに告げて部屋を出る。
図書室では基本的に1人で過ごす。
侍女たちもお茶の用意はするが側に控えることはない。
アマーリエの習慣だったので、皆心得た様に下がって行く。
"図書室に行く"はアマーリエが1人になりたい時の言葉だったのだ。
「え、食べたの!?」
図書室への廊下を歩いていると、侍女の声が聞こえてきた。
何となく侍女達の死角である扉口の陰に隠れてしまう。
私におしゃべりを聞かれたと思ったらきっと慌てるよね。
まだ完全には以前のアマーリエを払拭できていないだろうし、平謝りとかされたらすごく気不味い。
あ、でも、このままだと立聞きになっちゃう?
「ええ、すっごく美味しかった!」
「ずるいわ!」
「そうよ、そうよ!」
案の定、侍女達は私に気付かず話し続ける。
「"グラタン"っていうらしいわ。クリーミーで熱々で本当に美味しかった、、、」
味を思い出しているのか、侍女の1人が陶酔したように呟くと、他の侍女が羨ましそうな声を上げる。
「いいな~私昨日は本館の方の担当だったの」
「私も、、、最近陽光館を担当したいって人が多いのよ。以前は押し付け合いだったのにね」
「そうね~」
各家人の専属侍女以外の者達は持ち回りで部屋の清掃などを行っているので、本館と陽光館のどちらを担当するのかはシフトによるのだろう。
どうやら、話の中心になっているのはグラタンを作った時に厨房にいた侍女のようだ。
昨日ベッカーが帰ってから厨房に行くと、お馴染みのクルトとダミアンと侍女数人がいた。
調理見習いの2人に料理の手伝いを頼むと、「料理長を呼んできます!」と言って走って行った。
まだ連れて来てと頼んでいないのになぜ?と思って聞いてみると、呼ばなかったらヤバい事になるとのことだった。
料理長、、、
それからすぐに料理長がやって来た。
一応、多忙の料理長を呼び出したお詫びを述べると、全く問題ないので今後もいつでも呼んでくれと言われました、、、仕事大丈夫ですか?
心配になってベルタに確認すると、副料理長に全て押し付け、、、いや、任せているそうだ。
可哀想な副料理長、、、中間管理職な感じかな。
副料理長には申し訳ないが、料理長を止められそうにないので、早く終わる為にもすぐに作り始める事にした。
まずはパスタ生地を作る。マカロニの為だ。
市販のマカロニの形状を手作りで作るのは難しそうなので、似た形のパスタを作った。
皆、パスタにも驚いていた。いろいろな形に成形して各種料理に使える事を教えると、料理長が感激していた。
あ、ロールケーキの時の二の舞!?となったが、やっちゃった後でした。しょうがないよね?
暫くは晩餐にパスタ料理が並ぶ事になるのでしょう、、、
パスタを完成させ、ホワイトソースを作った。
バターで小麦粉を炒めたものに牛乳を混ぜる際、泡立て器を使うとダマが出来にくいと教えてみた。
家庭料理の知識をプロの料理人に教えるのもどうかと思うが、初心者なのでまあいいでしょう。
焼き上ったグラタンをオーブンから取り出すと、皆のゴクリと唾を飲む音がした。
チーズの香ばしい香りがなんとも食欲をそそります。
久々のグラタンは美味しかったです!皆も絶賛してくれました。
勿論、ヴィアベルも晩餐で、フーフーしながら美味しそうに食べていました。うちの子可愛い!
今おしゃべりしている侍女は、試食の際「美味しい」を連呼していたので、余程気に入ったのだろう。
まあ、料理長の美辞麗句の数々には適わないが、、、「燦然と輝く大海原のようなグラタン」って何?訳わかんないよ!そんな事ではグルメリポーターの座はベルタから奪えませんよ!
「そうだ!近々"ミルクレープ"が食べられるって噂が流れてるんだけど、本当なの!?」
「ええ、奥様がそう仰っていたらしいわ」
「やった!!楽しみ過ぎる!生きてて良かった~」
大袈裟な人がここにもいますね。まあ、喜んでくれているみたいで良かったです。
しかし、噂が広がるの早いですね。実行しないと恨まれそうです。
「でも、奥様変わったよね」
1人の侍女がボソリと呟くと、皆も同意の声を上げた。
「ええ!ヒステリックに叫ぶ事をなくなったし、癇癪を起こして魔法で物を壊すこともなくなったわ。穏やかになってまるで別人ね!」
「確かに!魔法が暴発した時は本当に怖かったわ」
そう言って、侍女がブルッと身を震わせた。
「皆、陽光館で勤めるのが不安だって言っていたものね」
「そうね、奥様程の魔力を持った人なんてそうはいないと思うわ」
口々に魔力の恐ろしさを語る侍女達に思わず溜息が出た。
ハァ、皆にはかなり迷惑を掛けていたみたいですね、、、申し訳ないです。
頑張って魔力の制御が出来るようになります!
「でも、、、部屋や家具はすごい事になったけど、怪我人はいなかったわよね」
「そうね、運が良かったわ!」
「まあ、それもそうだけど、奥様も制御できないなりに魔力を人に向けないようにはしてらしたんじゃないかしら?」
「迷惑だったけど、悪意はなかったものね。アンネリース様の我儘をすごく酷くして拗らせまくった感じね」
、、、何ていうか、この屋敷の人は皆お人好し?
悪意はなかったと言ってくれているが、アマーリエの振る舞いはひどく扱い難くて自分勝手なものだった。
敬遠されてはいても嫌われていない事が不思議で仕方ない。ちょっと子供の我儘扱いだし、、、
今更ですが、これ以上、立聞きするのも申し訳ないので、そろそろ図書室に向かいましょうかね。
物音を立てないようにそっと扉口の陰から出て歩き出すと、侍女達の話す声も段々と聞こえなくなり図書室に到着した。
さて、何の本読もうかな?
、、、やっぱり魔法の本だよね。予習は大事だし!
ペラペラと読み進んでいく。
ふむふむ、色々書かれていますね、、、あ!これいいかも!
「"結界を作る魔法"かぁ、ヴィアベルを守る為にこれは役立つよね!」
やり方は、、、魔力を意識し結界を張る範囲を設定する、そして、、、閉じる?
「"閉じる"って何?ん~よく分かんないな?やっぱり習わないと難しいよね、、、」
鍵を掛ける感じなのかな~
魔力は意識しなくてもある、範囲は陽光館?、で鍵を「ガチャ」っと回すジェスチャーをしてみる。
、、、うん、何も起こらない。
結界なら誰にも迷惑が掛からないのでいいかと思ったけれど、本で理解するのは無理ですね。
少し期待外れな気持ちで本を見ていると、扉がトントンとノックされる。
「どうぞ」
お茶だろうと思って声を掛けると、ベルタが急いで入って来た。
「奥様!」
ベルタは緊迫した様子で話し始めようとしたが、私の手元の魔法の本を見た瞬間、ピタリと動きを止めた。
「ど、どうかしたの?」
「奥様、、、何かされましたね」
ベルタが思い切り断定口調で聞いてきた。
え?別に何もしてない、よね?したの?え??
「し、してない、わよ?」
否定した私にベルタの疑いレベルではない視線が突き刺さる。
絶対に信じてませんね。ベルタさんはやっぱり勘が良すぎます。
っていうか、何が起こったの!?
教えて!いや、聞きたくないです!ごめんなさい!
ヴィアベルは本館に行っちゃったし、図書室で読書でもしようかな!
「ベルタ、図書室に参ります」
ベルタに告げて部屋を出る。
図書室では基本的に1人で過ごす。
侍女たちもお茶の用意はするが側に控えることはない。
アマーリエの習慣だったので、皆心得た様に下がって行く。
"図書室に行く"はアマーリエが1人になりたい時の言葉だったのだ。
「え、食べたの!?」
図書室への廊下を歩いていると、侍女の声が聞こえてきた。
何となく侍女達の死角である扉口の陰に隠れてしまう。
私におしゃべりを聞かれたと思ったらきっと慌てるよね。
まだ完全には以前のアマーリエを払拭できていないだろうし、平謝りとかされたらすごく気不味い。
あ、でも、このままだと立聞きになっちゃう?
「ええ、すっごく美味しかった!」
「ずるいわ!」
「そうよ、そうよ!」
案の定、侍女達は私に気付かず話し続ける。
「"グラタン"っていうらしいわ。クリーミーで熱々で本当に美味しかった、、、」
味を思い出しているのか、侍女の1人が陶酔したように呟くと、他の侍女が羨ましそうな声を上げる。
「いいな~私昨日は本館の方の担当だったの」
「私も、、、最近陽光館を担当したいって人が多いのよ。以前は押し付け合いだったのにね」
「そうね~」
各家人の専属侍女以外の者達は持ち回りで部屋の清掃などを行っているので、本館と陽光館のどちらを担当するのかはシフトによるのだろう。
どうやら、話の中心になっているのはグラタンを作った時に厨房にいた侍女のようだ。
昨日ベッカーが帰ってから厨房に行くと、お馴染みのクルトとダミアンと侍女数人がいた。
調理見習いの2人に料理の手伝いを頼むと、「料理長を呼んできます!」と言って走って行った。
まだ連れて来てと頼んでいないのになぜ?と思って聞いてみると、呼ばなかったらヤバい事になるとのことだった。
料理長、、、
それからすぐに料理長がやって来た。
一応、多忙の料理長を呼び出したお詫びを述べると、全く問題ないので今後もいつでも呼んでくれと言われました、、、仕事大丈夫ですか?
心配になってベルタに確認すると、副料理長に全て押し付け、、、いや、任せているそうだ。
可哀想な副料理長、、、中間管理職な感じかな。
副料理長には申し訳ないが、料理長を止められそうにないので、早く終わる為にもすぐに作り始める事にした。
まずはパスタ生地を作る。マカロニの為だ。
市販のマカロニの形状を手作りで作るのは難しそうなので、似た形のパスタを作った。
皆、パスタにも驚いていた。いろいろな形に成形して各種料理に使える事を教えると、料理長が感激していた。
あ、ロールケーキの時の二の舞!?となったが、やっちゃった後でした。しょうがないよね?
暫くは晩餐にパスタ料理が並ぶ事になるのでしょう、、、
パスタを完成させ、ホワイトソースを作った。
バターで小麦粉を炒めたものに牛乳を混ぜる際、泡立て器を使うとダマが出来にくいと教えてみた。
家庭料理の知識をプロの料理人に教えるのもどうかと思うが、初心者なのでまあいいでしょう。
焼き上ったグラタンをオーブンから取り出すと、皆のゴクリと唾を飲む音がした。
チーズの香ばしい香りがなんとも食欲をそそります。
久々のグラタンは美味しかったです!皆も絶賛してくれました。
勿論、ヴィアベルも晩餐で、フーフーしながら美味しそうに食べていました。うちの子可愛い!
今おしゃべりしている侍女は、試食の際「美味しい」を連呼していたので、余程気に入ったのだろう。
まあ、料理長の美辞麗句の数々には適わないが、、、「燦然と輝く大海原のようなグラタン」って何?訳わかんないよ!そんな事ではグルメリポーターの座はベルタから奪えませんよ!
「そうだ!近々"ミルクレープ"が食べられるって噂が流れてるんだけど、本当なの!?」
「ええ、奥様がそう仰っていたらしいわ」
「やった!!楽しみ過ぎる!生きてて良かった~」
大袈裟な人がここにもいますね。まあ、喜んでくれているみたいで良かったです。
しかし、噂が広がるの早いですね。実行しないと恨まれそうです。
「でも、奥様変わったよね」
1人の侍女がボソリと呟くと、皆も同意の声を上げた。
「ええ!ヒステリックに叫ぶ事をなくなったし、癇癪を起こして魔法で物を壊すこともなくなったわ。穏やかになってまるで別人ね!」
「確かに!魔法が暴発した時は本当に怖かったわ」
そう言って、侍女がブルッと身を震わせた。
「皆、陽光館で勤めるのが不安だって言っていたものね」
「そうね、奥様程の魔力を持った人なんてそうはいないと思うわ」
口々に魔力の恐ろしさを語る侍女達に思わず溜息が出た。
ハァ、皆にはかなり迷惑を掛けていたみたいですね、、、申し訳ないです。
頑張って魔力の制御が出来るようになります!
「でも、、、部屋や家具はすごい事になったけど、怪我人はいなかったわよね」
「そうね、運が良かったわ!」
「まあ、それもそうだけど、奥様も制御できないなりに魔力を人に向けないようにはしてらしたんじゃないかしら?」
「迷惑だったけど、悪意はなかったものね。アンネリース様の我儘をすごく酷くして拗らせまくった感じね」
、、、何ていうか、この屋敷の人は皆お人好し?
悪意はなかったと言ってくれているが、アマーリエの振る舞いはひどく扱い難くて自分勝手なものだった。
敬遠されてはいても嫌われていない事が不思議で仕方ない。ちょっと子供の我儘扱いだし、、、
今更ですが、これ以上、立聞きするのも申し訳ないので、そろそろ図書室に向かいましょうかね。
物音を立てないようにそっと扉口の陰から出て歩き出すと、侍女達の話す声も段々と聞こえなくなり図書室に到着した。
さて、何の本読もうかな?
、、、やっぱり魔法の本だよね。予習は大事だし!
ペラペラと読み進んでいく。
ふむふむ、色々書かれていますね、、、あ!これいいかも!
「"結界を作る魔法"かぁ、ヴィアベルを守る為にこれは役立つよね!」
やり方は、、、魔力を意識し結界を張る範囲を設定する、そして、、、閉じる?
「"閉じる"って何?ん~よく分かんないな?やっぱり習わないと難しいよね、、、」
鍵を掛ける感じなのかな~
魔力は意識しなくてもある、範囲は陽光館?、で鍵を「ガチャ」っと回すジェスチャーをしてみる。
、、、うん、何も起こらない。
結界なら誰にも迷惑が掛からないのでいいかと思ったけれど、本で理解するのは無理ですね。
少し期待外れな気持ちで本を見ていると、扉がトントンとノックされる。
「どうぞ」
お茶だろうと思って声を掛けると、ベルタが急いで入って来た。
「奥様!」
ベルタは緊迫した様子で話し始めようとしたが、私の手元の魔法の本を見た瞬間、ピタリと動きを止めた。
「ど、どうかしたの?」
「奥様、、、何かされましたね」
ベルタが思い切り断定口調で聞いてきた。
え?別に何もしてない、よね?したの?え??
「し、してない、わよ?」
否定した私にベルタの疑いレベルではない視線が突き刺さる。
絶対に信じてませんね。ベルタさんはやっぱり勘が良すぎます。
っていうか、何が起こったの!?
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