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「よし、もう降りる準備しとけよ」
「?!早っ!」
俺が戸惑っていると、間も無く家々が一度に霧散して、大きな山が現れた。
「あそこにある白い建物が気象台だ。潜入まではしなくていいが、張り込んで監視するぞ」
「…………、あっ、うん」
ここまで手際がいい秀逸な人材だったとは。いやいや、最初っから信頼はしてたんだけど。
車はその山の近くに停まった。駐車場などではもちろんなく、青々とした草が生えている地面の上だ。
「よし、そいじゃ、急いで登るぞ」
「分かった」
車を飛び降りて、細い登山道を駆け上がる。
そんなに傾斜はキツくないが、何しろ気がセっているもんだから、小さな石にさえつまずいてコケそうになった。
「よし、あれだ。間に合った……かな?」
「多分、イケたとおもうけど」
気象台に異変という異変は見受けられないように思えた。ひとまず安心だろう。
「あんまり気を抜くなよ。いつ、どのような攻撃をされるかも分からないんだから」
「う、っぷ、そだな」
鼓動が激しく音をたてている。うるさい。
「念のため、もうちょっと近づこう。それから、三手に別れてそこの木々の後ろにでも隠れておけば良い。俺たちだけでは物足りないが、牽制にはなるだろうよ」
「よっしゃ」
パッと散らばる。
俺は、気象台のそばの木の後ろに体をピッタリと寄せた。
「?!早っ!」
俺が戸惑っていると、間も無く家々が一度に霧散して、大きな山が現れた。
「あそこにある白い建物が気象台だ。潜入まではしなくていいが、張り込んで監視するぞ」
「…………、あっ、うん」
ここまで手際がいい秀逸な人材だったとは。いやいや、最初っから信頼はしてたんだけど。
車はその山の近くに停まった。駐車場などではもちろんなく、青々とした草が生えている地面の上だ。
「よし、そいじゃ、急いで登るぞ」
「分かった」
車を飛び降りて、細い登山道を駆け上がる。
そんなに傾斜はキツくないが、何しろ気がセっているもんだから、小さな石にさえつまずいてコケそうになった。
「よし、あれだ。間に合った……かな?」
「多分、イケたとおもうけど」
気象台に異変という異変は見受けられないように思えた。ひとまず安心だろう。
「あんまり気を抜くなよ。いつ、どのような攻撃をされるかも分からないんだから」
「う、っぷ、そだな」
鼓動が激しく音をたてている。うるさい。
「念のため、もうちょっと近づこう。それから、三手に別れてそこの木々の後ろにでも隠れておけば良い。俺たちだけでは物足りないが、牽制にはなるだろうよ」
「よっしゃ」
パッと散らばる。
俺は、気象台のそばの木の後ろに体をピッタリと寄せた。
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