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相変わらずサキに教えることは何も無く、私は生あくびばかりしていた。
サキは全く集中力を切らすこともなく、新たなドラゴンの上で飛びながら指示を出している。
ドウランもコクリコクリと誰かに相槌を打ちだした。
身体は眠らなくても生きていける仕様になっているから、これは、あれだな、ただ時間が過ぎるのを待っている状態だ。
しかし、敵襲は突然にやって来た。
まず私の首が刈られて消える。
もちろんタツもキヌもドウランも滅茶苦茶に潰された。
私が回復魔法を使おうとしても、全く通用しなかったし、第一どこに敵がいるのか分からない。
意識体のまま、時間をゆっくりと進めて考えてみたが、検討もつかなかった。
だが、やはりこのくらいでヤられるわけではない。
ドウランの時間を巻き戻す能力がちゃんとあるからだ。
一分ほど遡る。
「……いやぁ、怖かったねえ」
「でもこんなことも無きゃ楽しくないでしょ」
どうせ死んだって夢から覚めるだけかもしれないが、だからこそ、その危険を楽しむ余裕を持たなくちゃ。
「で、何なの?あれ」
「回復魔法が使えなかったんだけど」
「うん、どうやら、僕達の体の一部を抉り取って別の空間に飛ばしたらしいね」
「何でそう分かるの?」
「だって、感知もできなくて、回復魔法が使えないんだったら、そう考えるのが簡単でしょ?」
「まあ、そっか」
別の遠い空間から一瞬で攻撃を仕掛けてサッサと引き返していったのなら、その直前まで感知をするのは難しいし、蘇生する体も無いし。
もうすぐ時間が来る。
「サキはどうする?」
「狙いは私達なんだから、放っておけば?」
さっき、唯一サキだけが何の攻撃も受けていなかった。
「でも、サキが相手に攫われたらどうする?」
「攫ってるのは僕達の方だよ」ドウランは笑った。
一応、サキも連れて逃げることにした。
ふと気がつくと、彼女の動きがおかしい。
さっきまでドラゴン達と遊んでいたのに、今は小刻みに震えている。
「…ドウラン、サキの記憶は消しときなよ。その能力についてまだ説明もしてないのに」
「いいじゃん、ちょっと早めの社会見学だよ」
「どんな社会に身を置かせるつもり?!」
………ええと、この後ドウランがどうにかして敵を倒しましたとさ。
サキは全く集中力を切らすこともなく、新たなドラゴンの上で飛びながら指示を出している。
ドウランもコクリコクリと誰かに相槌を打ちだした。
身体は眠らなくても生きていける仕様になっているから、これは、あれだな、ただ時間が過ぎるのを待っている状態だ。
しかし、敵襲は突然にやって来た。
まず私の首が刈られて消える。
もちろんタツもキヌもドウランも滅茶苦茶に潰された。
私が回復魔法を使おうとしても、全く通用しなかったし、第一どこに敵がいるのか分からない。
意識体のまま、時間をゆっくりと進めて考えてみたが、検討もつかなかった。
だが、やはりこのくらいでヤられるわけではない。
ドウランの時間を巻き戻す能力がちゃんとあるからだ。
一分ほど遡る。
「……いやぁ、怖かったねえ」
「でもこんなことも無きゃ楽しくないでしょ」
どうせ死んだって夢から覚めるだけかもしれないが、だからこそ、その危険を楽しむ余裕を持たなくちゃ。
「で、何なの?あれ」
「回復魔法が使えなかったんだけど」
「うん、どうやら、僕達の体の一部を抉り取って別の空間に飛ばしたらしいね」
「何でそう分かるの?」
「だって、感知もできなくて、回復魔法が使えないんだったら、そう考えるのが簡単でしょ?」
「まあ、そっか」
別の遠い空間から一瞬で攻撃を仕掛けてサッサと引き返していったのなら、その直前まで感知をするのは難しいし、蘇生する体も無いし。
もうすぐ時間が来る。
「サキはどうする?」
「狙いは私達なんだから、放っておけば?」
さっき、唯一サキだけが何の攻撃も受けていなかった。
「でも、サキが相手に攫われたらどうする?」
「攫ってるのは僕達の方だよ」ドウランは笑った。
一応、サキも連れて逃げることにした。
ふと気がつくと、彼女の動きがおかしい。
さっきまでドラゴン達と遊んでいたのに、今は小刻みに震えている。
「…ドウラン、サキの記憶は消しときなよ。その能力についてまだ説明もしてないのに」
「いいじゃん、ちょっと早めの社会見学だよ」
「どんな社会に身を置かせるつもり?!」
………ええと、この後ドウランがどうにかして敵を倒しましたとさ。
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