魔女の秘密〜魔女は急の事態に戸惑う。

遊園地デート2

　小屋の中に入ると店員さんがこちらに来て
「いらっしゃいませ。本日は、どちらかなさいますか？」
　と聞いてきて下さったので咲良は手を上げて
「私です。お願いします。」
　と言うと店員さんは笑って服を取りに行った。
　そして戻って来ると
「お客様でしたら、こちらとこちらが似合うと思いますよ。」
　そう言って店員さんが見せてくれた服は2着あった。
　1着目はメイド服で、2着目は上が着物で下がスカートになっている服だった。
　どちらも可愛いくて咲良がどっちにしょうか悩んでいると、店員さんが、
「彼氏さんはどっちが彼女さんに似合うと思いますか？」
　と、火夏に聞いていた。
　突然、店員さんに話しかけられた火夏は少し驚いていた様子だったが、話しかけられた内容で彼も少し考えてから口を開きました。
「俺はこれが良いと思います。」
　彼が選んでくれた服は2着目だった。
「で、では、これを着ますね。」
　と言うと彼は少し顔を紅くして、「ああ。」と頷いた。
　咲良が火夏の顔を見ていると
「では、彼女さん、早速この服を着てみましょう。」
　と店員さんに言われてそのまま咲良は、小部屋に案内された。



　咲良が小部屋に行ってから２５分後、咲良が戻って来た。
「ひ、火夏─────────。」
　と呼び(？)ながら駆け寄って来た彼女を抱き留めて、火夏は彼女に聞いた。
「どうしたんだ？」
　すると、彼女は困惑している様子で、口を開いた。
「実は、この服をあげると言われたんですが、受け取ってしまっても本当に良いんでしょうか？」
　と聞かれたので火夏は店員に聞いた。
「何故、あの服を咲良にあげるんですか？」
「店長からお客様に似合う服はプレゼントするようにと言われておりますから。」
　その言葉の後、店員が詳しい説明を始めた。
　どうやら、この小屋の中にある服は全て古い服をリメイクしているものらしく、その服が似合う人に貰って欲しいというリメイクをした人の願いを叶える為に、ここでこの店を始めたらしい。
　ちなみに、服が無くなったらここは無くなるらしい。
　それを聞いて本当に貰っても良いのかと思ったが、店員に頼まれたので俺は咲良に許可を出す前に小声で服に呪文(？)を唱えた。
「隠形しているものよ、姿を現したまえ。急々如律令！」
　火夏の目には、何も映されなかった。
　なので火夏は咲良に
「貰っても大丈夫だと思う。」
　そう言うと咲良は店員にお礼を言うと火夏に向かって
「では、火夏、もう出ましょう。」
　と言って小屋から出て行った。


「火夏、次はどこに行きますか？私、ここに何度も来ているので恐怖系とさっきのお店以外なら、全て乗ったことがあるんです。」
　と言われ火夏は、
「そうか。では、苦手克服の為にお化け屋敷に行こう。」
　と言うと咲良は震えながら言った。
「えっ、そ、それってどうしてもですか？拒否権はないんですか？」
　内心震えながら言った彼女を"小動物みたいだ。"と思いながらもそれを表に出さないように口を開いた。
「拒否権はない。・・・だが、大丈夫だ。お化け屋敷というのは、人間が人間を恐怖のどん底に突き落とすものだ。それに、本物の霊が出ても俺がどうにかしてやるから、安心して入れば良い。」
　と言うと咲良は不安そうにこちらを見て、
「火夏、本当に大丈夫なんですか？本物の霊が出ても・・・。」
　と聞いてきた。
　火夏はそんな彼女を安心させるように小さく微笑む。
「ああ。大丈夫だ。俺には奥の手があるから。」
　すると彼女は自分の頬を２回叩くとこちらを真摯な瞳で見ると、
「分かりました。行きましょう。・・・でも、今回だけでお願いします。」
　と言われたので火夏は「ああ。」と頷くとお化け屋敷に向かって歩き出した。